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陰キャの僕にも拒否権を与えてもらえませんか? 〜陽キャ女子の距離感がバグってて、逃げ場を封じられたのだが?〜  作者: 宮茉紀 古治
2学期開始編

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第58話 学校での彼女

 後日、僕は3人で図書館に向かった。いや、――向かわされた。


「大輝くんっ!」


 栞凛はなぜか、僕の左腕に抱きついてくる。


「だーくんっ!」


 栞凛に対抗するように、宮下さんまで抱きついてくる。


「離して。暑苦しい」

「えーっ! しょうがないなぁ!」

「だーくんったら、恥ずかしがり屋さんっ!」


 難しいやつらだな⋯⋯。


 

 ******



 図書館にて。勉強をしようとしてくれない2人。


「ねぇ〜大輝くんっ!」

「だーくんっ」


 僕に近づいてこようとしてくる。

 僕はわかりやすいようにため息をついた。

 

「⋯⋯図書館だから。静かに」


 図書館だということを知らないのか、ただ常識がないだけか、とにかく僕に構ってくるのが、うるさい。

 

「ちぇっ」

「ぷーっ」


 2人とも、わかりやすくふてくされている。頬を膨らませ、少し睨みつけられるような視線を送られる。


「⋯⋯はぁ」


 そんな2人に僕は、ため息で対抗した。⋯⋯まぁ、無駄なのだが。



 ******


 ついに勉強会を終え、ようやく帰宅した。家までついてこようとする2人を、なんとか追い払いっての、帰宅だった。すごく、長い戦いだった。

 

 僕はそんな疲れを誤魔化すようにベッドにダイブし、枕に顔を埋めた。


「⋯⋯なんか、いつもより、疲れた、な」


 今日はいつもの比にならないぐらいに疲れていた。すごく疲れていた。なのに――。


「でも⋯⋯」


 思わず、僕の口からは笑みがこぼれた。


「なんか⋯⋯よかった、かも」


 すごい疲れた。疲れさせられた。なのに、不思議と苛立ちはない。


「なんで、なんだろ」


 僕は、それが不思議でならなかった。

 栞凛がずっと『教えて』とうるさく求めてきたり、宮下さんが僕をなぜか引き留めようとしたり。2人が、なぜあんなに僕に構ってくれるのか、2人の利益はなんなのか。僕にはわからない。ただ、2人といると、なぜか楽しいと感じてしまう僕がいた。


「ごはんよー!」


 下から、母親の声が聞こえる。


「⋯⋯はーい」


 僕は枕に顔を埋めながら返事をした。



 翌日。

 僕は1()()()、学校に向かった。


「珍しいな⋯⋯あいつがこないなんて」


 今日は、珍しくいつもと違った。いつも来ているあいつ⋯⋯栞凛が、ここにいないのだ。


「⋯⋯どうせ寝坊か」


 僕は()()()()、置いていくことにした。


「⋯⋯はぁ」


 思わずため息が漏れてしまっていた。完全に、無意識のうちのものだった。

 

 ******

 


「あっ⋯⋯席替えしたのか」


 この間、2度目の席替えをしたばかり。栞凛とは、離された。代わりに、僕の隣には、宮下さんになっていた。


「だーくん! 改めて、よろしくねっ!」


 渾身の笑顔であろう表情で、宮下さんが話してくる。周りを見渡すと、やっぱり栞凛の姿は遠い。

 栞凛は、机に突っ伏していた。わかりやすく、落ち込んでいるように見える。


「何してんだ、あいつ」


 宮下さんは、そんな僕の視線を覆い隠すように、僕の前に立ちふさがってきた。


「だーくんっ、いっぱい、お話しようね?」


 可愛らしく小首をかしげながら、宮下さんはそう言った。


「⋯⋯う、うん」


 宮下さんは、そんな僕の返事に、わざとらしく微笑む。何か、違和感が、あるような⋯⋯。


「やった♪ 楽しみだね?」


 もう、まるで、強制されているような、そんな表情だった。


「ちょ、ちょっと、トイレ」


 僕は、そういう()()で、席を立った。

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