↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陰キャの僕にも拒否権を与えてもらえませんか? 〜陽キャ女子の距離感がバグってて、逃げ場を封じられたのだが?〜  作者: 宮茉紀 古治
2学期開始編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
56/72

第56話 乙女たちの気持ち

(なんで小春ちゃんも居残りなの!? せっかく2人きりだったのにー!)


 私は小春ちゃんの背中を睨みつけた。あの背中が、実に憎たらしい。


「おい、ちゃんとやれよ?」

「⋯⋯だって、大輝くん、どっか行っちゃうんだもん」


 私は、人さし指と人さし指のさきっちょ同士を、何度もぶつけ合った。


「すみません、ここ、教えてくれませんか?」


 憎たらしい、恨むべき者が、私の大輝くんに、いつのまにか近づいていた。


「ん? いいよ」


 私と小春ちゃんのときの態度が違うのは、なんでなんだろう。私のときは、あんなめんどくさそうだったのに。


「ありがとうございます!」


 丁寧に頭まで下げちゃって。アピールがわかりやすすぎるのよ。

 私は、白紙のワークを無視して、あの2人の背中を見る。


「ここはこうで⋯⋯」


 大輝くんの横顔が、すごくかっこいい。

 大輝くん、整えたらいい顔なのになー。もったいない⋯⋯。


「わかりやすいですね! あ、ここもいいですか?」


 私はずっと、大輝くんの横顔を見つめる。やっぱり、かっこいい。


「あ、うん」


 メガネなんか外して、髪の毛も整えれば、もーっと、かっこよくなるのになぁ。

 私は、それが悔しい。

 ――ん? あ、でもいいや。だってそうしちゃうと、大輝くんのかっこよさがバレちゃう!


「どう? わかる?」

「うーん、もう一度お願いします」


 私は、真面目に勉強をしてる2人の前を、堂々と通り過ぎた。


「トイレトイレ〜」


 そういう()()で席を立った。


「⋯⋯はい。あー、ちょっとわかってきました――」


 顔を赤くしちゃって。沸騰しそうじゃん、もう。

 小春ちゃんは、耳まで赤色に染めて、大輝くんの顔とワークを交互に見ていた。

 私なら、ずっと見るのに。小賢しいなぁ。


「⋯⋯はぁ」


 私の口からは、思わずため息が漏れた。



 ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



(どうにか、時間稼がなきゃ。栞凛ちゃんに、取られちゃう)


 私の頭は、目の前の徳村くんでいっぱいだった。


「やっぱり、徳村くんの説明、わかりやすいですね」


 私は適当に言葉を並べて、どうにか大輝くんを引き止めた。


「ねぇ、急に悪いけどさ⋯⋯」


 本当に、こんなこと言っていいのかな? 私、この世からいなくならないよね?


「あだ名とかでさ、呼んでも、いい?」


 そんな私の質問に、徳村くんは意外と悩んでくれた。多分、真面目に考えてくれてるんだよね。


「そうだな。そっちのほうが、親しいし、何より呼びやすい」

「⋯⋯うん!」


 私は、嬉しかった。大輝くんに、こんなこと言ってもらえるなんて。


「じゃあ、『だーくん』とか?」

「いや、なら『だー』でいいだろ。そっちのほうが効率いいし」


 確かにそうかもよ? どうしてさ、私の気持ちに気づかないのっ!?


「そうだけどっ! いいのっ! 『だーくん』ね?」

「⋯⋯まぁいいや」


 よかった。だーくん、諦めてくれたみたい。――って、これじゃあ私がやらせたみたいじゃん!


「で、どう? 解けそう?」

「うん。大丈夫。あ、でもこの問題がさ――」

「大輝くんっ! 教えて!」


 さっきトイレに行ったばっかのはずの栞凛ちゃんが、もう戻ってきた。こもってくれてよかったのに。


「はぁ⋯⋯。どこ?」


 今、ため息した? そんなに私と離れるのが嫌なのかな?


「えっと、まずここっ!」


 私は、離れていくだーくんの背中を、静かに見つめていた。遠くないはずなのに、なぜか、ものすごく遠く感じてしまう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。