表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陰キャの僕にも拒否権を与えてもらえませんか? 〜陽キャ女子の距離感がバグってて、ヤバすぎる件〜  作者: 古治
体育祭編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/26

第25話 仕方ないな

「なにこれ〜! めっちゃ美味しいんだけど!?」


 こいつ、なにを美味しいって言っているか。それは、ただのご飯だ。炊飯器で炊いたのをそのまんま入れただけの、ご飯だ。


「これだけでもう世界通用するよ!」


 これに関しては、僕がすごいんじゃない。これを作った炊飯器を作った人がすごいだけだ。


「じゃあ、次これ!」


 と、箸で掴もうとしたのは、ゆで卵だ。


「あ、やば!」


 ゆで卵が、栞凛の箸をするっと、抜け出した。


「ふぅ、危ない」

「おお、ナイス!」


 僕は素手でゆで卵をキャッチした。


「ちょうだい!」

「え、もう触っちゃったから」


 と、僕は断ろうとした。本当は、ただ僕が食べたいだけだ。


「いいよ! なんなら大輝くんが触ったから、美味しくなっちゃうよ!」


 それは本当に謎理論すぎる。水で洗ったからきれいならまだわかるが。


「さすがにそんなことないでしょ」

「ま、とにかくちょうだい!」


 僕の手から、ゆで卵が消え失せた。犯人はこいつだ。


「ん〜、おいし〜! めっちゃちょうどいい!」


 なにがちょうどいいのか。よくわからない。


「じゃあさ、大輝くんも、私の手作り、食べてみて!」


 あ、手作りね。そうか、手作りか。


「じゃ、いただきます」

 

 僕は一応ハンバーグから手を付けることにした。


「美味しいね」


 実際には、まあ、普通ぐらいって感じだ。別に、可もなく、不可もなく。

 さすがにそれは言えない。


「でしょ? やっぱ私天才!?」

「ふっ」


 僕はつい鼻で笑ってしまった。本当に、そんなつもりはある。

 うん、誰がこいつを天才というか教えてもらいたい。


「大輝くん、料理も私よりうまいじゃん! もう、何が出来ないの?」

「運動」


 僕は即答した。自分が思ったよりも早く声が出ていた。


「あ、そっか」

「うん」


 僕が運動できないのは、当たり前だ。運動できる陰キャなんてごく稀だ。運動できるやつは大体陽キャだけだろうと思う。




 気づいたときにはもう、弁当が空になっていた。

 時間はまだ11時30分過ぎぐらい。あと1時間半、なにをしようか。


「ねえ、お話、しよ?」

「わかった。(正直暇だし、まあいいか)」


 弁当を戻しに教室へ行くのもめんどくさい。それはやらなきゃいけないが。


「ねえ、そういえばさ、誕生日っていつだっけ? ちなみに私9月27日」

「僕は、8月15日」


 夏休み真っ只中。どうせ誰にも祝われないことだろう。


「わかった、8月15日、8月15日」


 なぜか、覚えようとしている。別に、こんなの覚えたとて、役に立つのはこないだろうが。


「ねえ、明日って何かあったっけ?」

「え、明日、休みでは?」


 一瞬、間があった。


「⋯⋯あ。確かに」

「来週行ったらすぐ夏休みだし」


 そのとき、栞凛が一瞬不敵な笑みを浮かべたのは気のせいか。


「そっ、か。夏休み、だ」

「それが、何か?」

「ううん! 何も」


 なんか、なにかありそうな雰囲気をさらけ出しまくっているのは、気のせいにしておく。


 ******


「あ、もうすぐ始まるよ!」

「あ、本当だ」


 気づいたときには時計の短針が、1時を指そうとしていた。


「そろそろ行こっか!」

「うん」


 僕は仕方なく栞凛についていくことにした。



 テントに着くと、もうみんなが集合していた。


「お前、頑張れよ」

「応援してるね!」


 リレーの代表選手をみんなが応援していた。


「私たちも、応援しないとね!」

「してくれば、いいのでは?」


 なぜか一向に僕から離れようとしない。僕はもうすぐに離れたい。


「だって、大輝くんも行かないと」

「いや、僕は⋯⋯」

「じゃあ私も!」


 やっぱり行こうとしない。まったく、仕方ないな。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ