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陰キャの僕にも拒否権を与えてもらえませんか? 〜陽キャ女子の距離感がバグってて、ヤバすぎる件〜  作者: 古治
体育祭編

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第24話 僕のが盗まれた

「あった! 中庭だよ!」

「え⋯⋯?」


 僕は中庭につれてこられた。


「ここなら、2人で食べられるでしょ!?」

「やだ。虫、いる」


 この暑い夏の季節、虫が大放出されている。

 今も、セミの鳴き声がクソほどにうるさい。


「あー、本当だ」

「やめない?」

「うん」


 と、結局中庭では食べないことにした。それで正解だろう。


「あ、私いいところ知ってるんだよね! ついてきて!」

「え?」


 僕は反応する暇もなく、問答無用で引っ張られた。まったく、人の意見を聞けってものだ。



 ******



「ここ、ずっと使われてないんだよね」


 と、栞凛につれてこられたのは、階段裏の狭い空間だった。


「なに、ここ?」

「ここは、なんかよくわかんないけど、ちょうどよくない?」


 確かに、ちょうどいい。高さ、広さも、2人で食べるのにはちょうどいいだろう。


「じゃあ、さよなら」

「え!? なんで!?」

「え?」


 僕は教室で食べたい。そっちの方が、慣れてるし。


「一緒に食べないの? 食べたくないの?」

「別に、そういうことじゃ⋯⋯」

「じゃあ一緒に食べよ!」


 僕はただただ教室で食べたいだけだ。2時間もあれば、どれだけの問題をこなせるか。


「え、え?」

「『え?』ってなに? だって私たち、そういう関係でしょ?」


 その瞬間、僕の思考はショートした。


「(は? え? ん?)」


 思考が一切追いつかない。いつそうなったのか。


「え、だって、関係が近づきたい人って」

「そっちか⋯⋯」


 僕は胸を撫で下ろした。めちゃくちゃ安堵した。


「え? あ、そっちだと思っちゃった?」


 さっきから『そういう』だとか、『そっち』だとか、ややこしい言い回しはやめてほしい。


「早く、食べよ?」

「まあ、はい」


 もう、ここから教室に戻るのはめんどくさい。だからここで()()()()一緒に食べてあげよう。


「ねえ、見てこれ! 私がめっちゃ頑張って作ったんだよ!」


 その弁当には、色々と入っていた。

 ハート型にした卵焼き、少し焼き焦げたでかめのハンバーグ、申し訳程度に添えられた野菜があった。


「あとこれ!」


 栞凛が出したのは、海苔(のり)が巻かれたおにぎり2つだった。


「美味しそうですね」


 こういうのは、そう言っておくのが礼儀だろう。一応、言っておく。


「ねえ、大輝くんはさ、自分で作ったりした?」

「今日のは、まあ」


 自分で作った、と付け加える。

 お母さんが体調不良だったから、自分で作ることにしたのだ。


「なにこれ!? 超きれいなんだけど!?」


 なぜか、弁当の蓋が勝手に開けられている。まあいいか。


「うわー、これ、食べたい!」


 唐揚げ、サバ、ブロッコリー、ゆで卵にトマトと、別に変なものはなにも入っていない。


「じゃあさ、交換しない?」

「えー、なんで?」


 嫌だ。なんか、自分が作ったやつを他人には食べてほしくない。


「ねー! いいじゃん!」

「せめて、理由がないと」

「理由かあ」


 と言いながら、目をつむり、考え始めた。ようにも見える。

 何も考えていないようにも見える。


「チャンス!」


 僕が水筒を飲もうとした瞬間の出来事だった。

 僕の弁当が、目の前からなくなった。


「え?」

「あ、こっちあげるから!」


 と差し出されたのは、僕の弁当ではない。


「うわ〜、全部美味しそうなんだけど!?」


 別に、そんじゃそこらの弁当となんら変わらないだろう。なんならそれに劣るレベルだと思う。


「あの、返してくれません?」

「後で返すよ!」


 後で、そのときにはどうせ中身がすべて盗まれていることだろう。

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