第23話 長めの昼休み
「はあ、はあ。疲れた⋯⋯」
「えー? もう疲れたのー?」
栞凛が珍しく煽ってくる。僕には一切効かないが。
「じゃあ、お題確認するぞ」
ゴールしたあと、先生が近づいてきた。
「お題これです」
そう言いながら、栞凛は先生に紙を渡した。
「お題は⋯⋯『今1番関係が近い、または近づきたいと思う人』」
栞凛は思いっきり頷いた。
「これは、合ってるか?」
先生が、僕へ向けて聞いた。
「違いま――」
「合ってます!」
僕の回答が完全に遮られた。
「そうか、ならいいぞ」
それを聞き流す先生も先生だ。僕には思考がわからない。
「やった、てことは⋯⋯1位!?」
「(1位、だけど、なんか後味悪い1位だな)」
絶対関係が近いなんか違うに決まってる。
僕とこいつが関係近いなんて、ありえない。
「やったよ! 私たち、1位になっちゃった!」
「う、うん(なんとも気持ち悪い)」
念のため、反応しておくことにした。
僕と栞凛はクラスのテントへ戻った。
「ねえ栞凛、お題なんだったの? 好きな人だったりする?」
「違うし!」
栞凛とその友達が会話している。僕はそれを盗み聞きしていた。
「じゃあ何? 教えて!」
「え〜。言わなきゃだめ?」
言うな。絶対に言うな。栞凛にそう言い聞かせたい。
「内緒ね?」
栞凛はそう言うと、友達に耳打ちしていた。
なぜそんな無駄なことして、誤解を広げたいのか。
「え〜! やっぱ、そういうことなんだ〜!」
「まあね!」
そういうこと、どういうことだろうか。やつの思考がまったく読めない。
するとそのとき、放送がかかった。
「これで、午前の部に予定されていた競技がすべて終わりました」
もう終わったのか。だが、まだ昼の時間まで余裕がある。
「少し予定よりも早く終わったため、昼休みの時間を長くし、午後の部を時間通り始めます」
そこで、放送は終わった。
「じゃあ、各自自由に行動していいぞー! 12時半までには弁当を食べ終えているようになー!」
と、先生がみんなに伝えている。
今の時間は大体11時過ぎ。午後の部は13時からだ。
「(あと2時間、なにをしようか)」
僕は校舎内へゆっくりと歩きながら向かった。
「だーいーきくん!」
後ろから、襲われるように声をかけてきた。
「ねえ、お弁当、一緒に食べよ!」
「⋯⋯まあ、いいよ」
ここは仕方ない。本当は1人で優雅に食べたかった。1人で、静かに。
「体育祭、どうなるのかな? 結果楽しみだね!」
「結果より、先に帰りたい⋯⋯」
「えー、つまんないなあ」
そうこう話しながら、配膳室へやってきた。
いつもは給食があるが、今はみんなの弁当が置かれていた。
「じゃあ、どこで食べようかな?」
僕はワゴンから自分の弁当を取り出した。
「教室でいい」
僕がそういうと、速攻で答えが返ってきた。
「やだあ! なんか、つまんないじゃん?」
「慣れてるところで⋯⋯」
僕の話は聞いてくれない。自分の意見を押し通すつもりだろう。
「屋上とかいいんじゃない!?」
屋上で弁当が食べられる、なんてアニメの世界の話だ。
「この学校、そもそも屋上につながる階段ないし」
「そっかあ。じゃあ、どうしようかな?」
栞凛は髪いじりをしながら考え出した。
「もう、教室で⋯⋯」
「だから、教室じゃつまらないの!」
なにがつまらないのか。別にご飯の時間に面白いもないだろう。
「あ、あそこならいいんじゃない!?」
「え? あそこ?」
僕がそう聞いても、返事が返ってこない。
「待って、ど忘れした! とりあえず行くよ!」
僕は無理やり腕を引っ張られ、そこへ向かわされることになった。




