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陰キャの僕にも拒否権を与えてもらえませんか? 〜陽キャ女子の距離感がバグってて、逃げ場を封じられたのだが?〜  作者: 古治
体育祭編

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第13話 顔が赤く、熱い

 なぜだろう、なぜだかクラス全員、僕から離れていっている気がする。

 絶対に横は見たくない。うん、見たくない。

 

栞凛(しおり)、さん、やりましょ!」


 誰かが、栞凛にそう言っていた。


「え、あ、え?」

 

 他の男子がそう言っているのを聞いたとき、内心ガッツポーズした。

 だが、そのガッツポーズは、一瞬で取り消されることになった。


「バカ!」


 その罵声とともに、頭が叩かれているような音がする。

 やめてくれ。そいつを連れて行かないでくれ。

 見てなくても音でわかる。明らかに引きずられているような音だ。


「ね、ねえ?」


 隣からついに声がした。


大輝(だいき)、くん、一緒に、やろ?」


 珍しく恥ずかしがっているように見える。

 なぜか、周りからは視線を感じる。今までとは違う、温かいような視線だと感じた。


「(なんでみんな見てんだ? これでこいつも恥ずかしがってんのか)」


 自分で結論を出す。それにはとても納得した。

 思わず頷いてしまったほどだ。


「え、いい、の?」

「(あ、そういうことじゃない。そっちのに頷いていない。自分の意見に頷いたんだ)」


 声を出そうと思ったが、声が出ない。

 否定すらすることも許されなかった。


「よろしく、ね」


 僕がようやく栞凛の方を見ると、僕の両手がさらわれた。

 栞凛が優しく振っている。


「(やめてくれ)」


 僕の願いは届いたのかは、わからないが、その動きはなくなった。

 代わりに、目の前が栞凛の顔で埋め尽くされた。


「(近い、やめてくれ。そんなに近づかないでくれ)」


 なぜかクラスでは拍手喝采が起こっている。


「おめでとう!」

「幸せにね!」


 そんなような肯定的な意見の中には、否定的な意見も混ざっている。


「なんであの陰キャなんだよ。あのだっせえやつ」

「あいつなんかが()()()()()いい相手じゃねえだろ」


 『付き合って』という単語が耳に残る。


「(『付き合っていい相手』って、そもそもそういう関係じゃねえし)」


 なにか勘違いされている。どこからそう思ったのか。


「やった、ね。がんば、ろ」


 栞凛がニコニコの笑顔で言った。かなり頬、というより顔が赤い。


「え、熱でもある?」


 確認するために、栞凛の顔を触って確認したい。だが、僕にはできない。

 僕が躊躇っていると、手が操縦され始めた。


「ど、う?」


 操縦された手は、なにかにぶつかると止まった。そのとき、そう聞かれた。


「熱い。熱あるんじゃない? 保健室行ったら?」

 

 僕はすぐさま栞凛の額に触れた手を引き離そうとするが、うまくいかない。

 周りに助けを求めるが、全員がニヤニヤしながらこの状況を眺めている。


「(なぜこんな注目の的になっている? 頼むから見ないでくれ)」


 その中にはうるさい野次馬もいるわけで、邪魔で仕方ない。


「お前なんかの野蛮人が触れるものじゃねえよ!」

「今すぐ離れろ!」


 それとは別に、近くで声がする。本当に消えそうな声が。


「熱、かな? 一緒に、行こ?」


 栞凛は上目遣いで聞いてくる。

 本当は断りたかった。絶対に、行きたくなかった。

 行かざるを得ない。これもすべて周りの人間のせいだ。


「うん」


 僕は嫌々頷くことにした。本当は、絶対に行きたくない。ここ、超重要なこと。

 もう一度いう、絶対に行きたくない。ただ、行かざるを得ない状況。

 これでそういう関係だって思われるのがもう嫌で嫌で仕方ない。


「肩、貸して」

いいよ(いやだ)


 僕がそう言うと、栞凛は重たい腰を上げて、大輝に体重をかけた。


「ちゃんと、連れてって、ね」


 周りからの視線が痛い。キモい。やばい。

 誰も助けようとしなかった。全員、思考が人間じゃない。

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