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陰キャの僕にも拒否権を与えてもらえませんか? 〜陽キャ女子の距離感がバグってて、ヤバすぎる件〜  作者: 古治
体育祭編

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第12話 鳴るわけない

「まだあいつはいないな。よし」

 

 今日はいつもより早い時間に家を出た。

 あの栞凛から逃げるためだ。


「ルートも変えるか」


 いつものルートから変更して、学校へ向かうことにする。


 ******


 僕はクラスで最初に教室へ入った。

 いつもは5番目ぐらいだが、珍しい。


「ギリギリセーフ!」


 そして1番遅くに入ってきたのが栞凛だ。

 遅刻寸前で教室に入ってきた。

 開口1番、こんなことを言われた。


「なんでスマホ見てくれないの?」

「え?」


 普通じゃないのか?

 僕にとっては当たり前すぎることだ。朝、スマホを見ている暇なんてない。


「ちゃんと連絡したじゃん!」


 まずい、こいつの声がでかすぎる。

 席の周りは明らかに引かれている。席を離れる人もいたぐらいだ。


「ねえ、なんで?」


 ここで僕がとった作戦、それは、当事者でないアピールだ。

 そもそも僕に言ってない可能性がある。その可能性を信じて、僕はそういうアピールをした。


「聞いてる? 大輝〜!」


 今、僕の名前を言った? いや、聞かなかったことにする。

 僕は栞凛を無視し続ける。こういうところで無駄に我慢強い僕だった。


「あれ? 生きてる? おーい!」


 周りからは、完全に冷ややかな目で見られていること間違いないだろう。

 そのとき、救世主が現れた。


「そこ、うるさいぞー」


 先生だ。


「はやくカバン片付けてこい。そしたら朝のホームルーム始めるからなー。みんな席付けー」


 先生がそういうと、席を置いて離れていった周りの人も一斉に帰ってきた。

 内心助かったと思う僕であった。


 ******


 朝のホームルームが終わった。

 僕はその瞬間、隣の恐怖から逃れるために。すぐに席を立って廊下に向かった。


「大輝〜! どこ行くの〜?」


 悪魔の声が聞こえる。教室を地獄の空気にした悪魔の声だ。


「でさ、朝スマホ見た?」

「見てない」

「え、見ないの?」

「見ないよ」


 僕がそう言うと、栞凛は驚きを隠せなくなっていた。


「スマホ鳴ったよね?」


 栞凛が僕に確認するように聞いてくる。


「鳴ってないよ」

「え、通知切ってる?」

「うん。そうだけど」


 なぜここで栞凛が悲しむのかわからない。どうせ無駄なことしか送ってこないだろうと思っての行動だ。


「え、なんで?」

「別に、大した連絡ないだろうと」


 正直に答える。ここで嘘をつくのもなんか癪だ。


「あ、もうすぐ授業始まる」


 時間というものは待ってくれない。止まってくれない。

 まあ当たり前のことなのだが。


「あ、待ってよ!」


 僕は急いで教室へ向かった。


 ******


「今日は、体育祭のことやるぞー」


 体育祭、僕にとっては地獄のイベントだ。こういうのはどうせ陽キャがわちゃわちゃして終わるだけだ。


「競技が、大玉転がし、借り人リレーとリレーだな」


 どれも走るものばかりだ。絶対にやりたくない。ただこういうのは強制参加が1つはあるんだよな。


「大玉が全員参加で、2人1組だ。ペアは後で決めるから考えておけー」


 大玉転がしか。あのでかい大玉を転がすだけの競技、おもしろいのかはわからない。


「借り人リレーは、立候補者がやるやつだ。これも後で決めるからなー」


 借り人リレーか。頼むから誰も僕を選ばないでくれよ。選ばれたら一緒に走らないといけないじゃないか。


「リレーは、クラスの足が速い代表者にお願いするからなー」


 危ない。これは僕に絶対該当しないやつだとその場で確信した。


「じゃあまず、ペア決めてくぞ。2人1組組んでいいぞー」


 先生がそう言ったとき、僕は隣からの視線に耐えるのが大変だった。

 なぜだろうか、誰かに狙われてる気がしてならない。

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