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報復の航路【第二作 ルー・ブレス】9・10巻「完結編」  作者: セキユズル
第四章「——君が生きてる限り、おれの心は自由だ」
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第四章④ ルキフェルとアントワーヌ

 徒刑所の広場では処刑台が組まれ始めている。木材を打ちつける音、縄を引く音、兵士たちの低い声。何事もない日常作業のように進んでいった。今回執行される刑は斬首。どの家が首切り人役を任されるのか、どの刃を使うのか、どの角度なら一度で落ちるか。そんな話がまるで祭りの段取りでも決めるように交わされている。


 処刑まで残り二日、深夜。アントワーヌは牢の奥で石壁へ背を預けて目を閉じた。冷たい空気に湿った匂いが終わりを告げている。アントワーヌは左耳へ触れ、指先でイヤリングをなぞった。


 ゼフィランサスのイヤリング、島を出た日からずっと着けてきたものだ。誰かに認めてもらいたかっただけだった。幼い頃の自分はずっと居場所を探して、海軍へ入ったのも、功績を重ねたのも、隊長になったのも、全て誰かに必要だと言ってほしかったからかもしれない。けれど、最期に待っていたのは国家による処刑だ。笑いそうになる。皮肉なものだ。国に尽くし、国を守り、最後はその国に殺される。


 アントワーヌは目を開けて暗い牢獄の天井を見上げた。失ったものが脳裏を過ぎる。ゼフィランサスに島、ベルナルドとマルセロにフェルナンド。それに仲間たち、グウェナエル、ソフィー。そして、ルキフェル。今さらになって自分に残せるものは何だろうと考えた。もう自分は死ぬ。ならば、せめて残される誰かが生きられるように。

 その時、廊下の奥から足音が聞こえてきた。こんな時間に。アントワーヌは思わず鉄扉に目を向けた。


 徒刑所の地下牢は冷え切っている。アルフォンスに案内されながら、ルキフェルは薄暗い廊下を歩いていった。蝋燭の灯りが揺れ、石壁に伸びる影が不気味だった。ここへ来る途中、アルフォンスは牢番に無言で金貨を握らせて鍵束を受け取った。


「……この者は、私が見張る」


 アルフォンスが告げると、牢番は一瞬怪訝そうな顔をして持ち場を離れていく。あの二人のやり取りがルキフェルの頭から離れなかった。ここまでしてくれる理由が分からなかった。薄暗い廊下を歩きながらルキフェルは声を潜めて問う。


「なぜ、そこまでする」

「……シャトレ家の人間として、大元帥に仕える身として……どうして、ご子息の頼みを断れましょうか」


 アルフォンスは振り返りもせず答え、ルキフェルは思わず息を呑んだ。やがて、二人は最奥の牢前で立ち止まる。鍵が差し込まれる音と共に重たい鉄扉がゆっくりと開き、ギィという鈍い音が地下で響いた。アルフォンスはルキフェルに対してすれ違いざまに言う。


「……ごゆっくりと」


 アルフォンスは廊下の奥へ歩き、足音が徐々に遠ざかった。おそらく、外で待つつもりなのだろう。ルキフェルは牢へと足を踏み入れると、アントワーヌと目が合う。鉄格子の窓から差し込む月光が石床へ白く落ち、その光の中で二人は向かい合った。幼い頃に別れ、海を隔て、戦場で再会し、そして今、夜の牢獄で再び顔を合わせて。先に口を開いたのはアントワーヌだった。


「また昔話でもしに来たか?」


 彼が困ったように笑う。海軍の隊長でも復讐者でもない、昔のアントワーヌの顔だった。ルキフェルは歩み寄るとアントワーヌの隣へ腰を下ろす。石壁越しの冷気が背中からじわりと身体へ染み込んできた。アントワーヌは薄く息を吐いて左耳のイヤリングに触れ、月光を受けた銀が揺れた。


「もう、話せることなんてない気もするけどな。……初めて会った時のことも。ルノアール家に泊まってた頃のことも。一緒に覚えたカスティーリャ語も。……剣を教えてくれたこともな。あの頃のお前、正直かなり嫌な奴だったけど」

「……殺すぞ」

「ははっ……認めたくなかったけど、かっこよかったよ」


 アントワーヌは天井を見上げ、遠い波音でも聞くような目をした。


「それと、あの嵐の日だ。お前がマストから降ってきた時、息が止まるかと思った」


 牢獄の空気が少しだけ遠ざかる代わりに、雨と雷鳴の記憶が蘇ってくる。アントワーヌは笑いながら語り始めた。


「お前、帆桁を蹴って飛んできただろ。いや、飛ぶって表現じゃ足りないな。……あれは落ちてきたんじゃない、空を裂いてた。フード被ったまま、真上から一直線に突っ込んできて、カットラス振りかざして殺意しかなかった。復讐者とか海賊とか、そんなもんじゃなかったよ。あの時のお前は獣みたいだった」


 ルキフェルの喉が小さく上下すると、アントワーヌはルキフェルに顔を向けて首を傾げた。


「……でもな。お前が頭上を越えた瞬間、見えたんだよ。——翡翠色の瞳。ほんの一瞬だったのに、身体が勝手に理解した。——知ってるって。理屈じゃなかった。記憶でもなかった。ただ、胸の奥が叫んだ」


 アントワーヌは石床に映る自分の影を見つめながら続ける。


「……ラウル。おれなんて見えてなかったんだろう。あと、よくもおれの部下たちを蹂躙してくれたな」

「……そっちが先に来た」

「グウェナエルに止められて、ダヴィットがめちゃくちゃ舌打ちしてたぞ」

「してたな」


 ルキフェルが失笑し、二人の間にもう一つの記憶が流れ込む。雨、船尾、折れた剣。あの時の自分の声を、アントワーヌは反芻する。


「……おれを狙った理由。お前、作戦だって言ったよな。指揮官を殺して指揮系統を崩す。混乱が起きる隙に他を始末するって」

「事実だ」

「うん。あの時のお前、本当に感情なかった。だから余計、怖かった。おれ、必死だったんだぞ。剣筋も重心も呼吸も、全部覚えてる気がして。なのに、お前は知らないって即答した」

「……あの時は覚えてなかった」

「うん。でも、あれ結構ショックだった。ラウルって呼んだ時、一瞬止まったのに、それでも切り捨てて……お前、本当に戻れないところまで行ってたんだなって思った」


 遠くで水滴が落ちる音がした。アントワーヌは苦笑しながら天井を見上げる。


「剣、折られた時は終わったと思ったよ。いや、実際終わってたな。腹蹴られて、顎蹴られて、吹っ飛ばされて」

「弱かった」

「うるさい」


 ルキフェルが鼻で笑うとアントワーヌは声を落として言う。


「でも、あの時思ったんだ。本物だって。フランソワの右腕。大海賊の息子。復讐だけで立ってる化け物。勝てるわけないって、ようやく分かった」


 ルキフェルは眉間に皺を寄せて視線を落とした。アントワーヌはルキフェルの横顔を見つめながら続ける。


「でも、不思議だったんだよ」

「……何が」

「殺されるって分かった時、怖くなかった。むしろ、これで終われるって思った。復讐って、ずっと重かったんだな。おれ、自分で思ってたより疲れてたらしい」


 月光の白い筋が二人の間に落ちている。ルキフェルは低く問いかけた。


「……そこまで分かっていて、なんで止まらなかった。そんなに飢えていたのか、愛情に」


 アントワーヌは顔を背け、ルキフェルは彼の横顔を見つめた。左耳のイヤリングに触れるアントワーヌの指先が震えている。アントワーヌはしばらく目を伏せていたが、やがて頷くと口を開く。


「……ああ。言おうか、ずっと迷ってたことがある」


 ルキフェルの背筋が自然と伸び、アントワーヌは困ったように笑った。


「そんなに構えなくていい。ただの……昔話だ」


 そう言って、アントワーヌは暗い牢の天井を見上げた。


「七歳の時だ。お前とフランソワとリュウ・ヨシマサ……夕食に来ない三人を探して、船を歩いていた」


 夜の甲板、雨に濡れた木の匂いと潮の香り。アントワーヌはまだそこにいるような声で続ける。


「船尾にお前たちがいた。フランソワのカットラス、リュウの柳葉刀、お前の木剣。三つの刃が雨の中で交わっていた」


 雨粒が三人の肩を叩いていた。フランソワが笑い、リュウが淡々と頷き、少年だったルキフェルが少し照れくさそうに笑っていた。


「その時、思ったんだ。……なんで、おれじゃないんだって。お前はあの二人に囲まれていた。肩を寄せ合って、笑って、守るだの誓うだの、そんなことを当たり前みたいに言っていた」


 アントワーヌは自嘲気味に笑って掠れた声で打ち明ける。


「おれはそれを見て、羨ましかった。悔しかった。腹が立った。……それでも、目を逸らせなかった」


 雨に打たれながら、あの頃の少年は甲板の隅に立っていた。声をかけることもできず、近づくこともできず。ただ、自分が選ばれなかったことを痛いほど理解していた。


「おれも、お前のそばにいたかった。お前を守りたかったけど、その場所にはもう別の二人がいた。だから思ったんだ。おれも強くならなきゃって。お前に頼らず、おれ自身で立たなきゃって。その後だった。おれは……ゼフィランサスに会った」


 ルキフェルの表情が強張るもアントワーヌは構わず続ける。


「船医室に行ってレオンを探したんだ。誰かに話さないと息が詰まりそうだった。けど、いなかった」


 薄暗い廊下、油の匂い、揺れるランタン。曲がり角の先に黒衣の男が立っていた。


「ゼフィランサスは、おれを見て笑った。おれは理知的で、感情を乱すものを嫌う。お前は無鉄砲で、弱いくせに人の心を惹きつける。だから、おれにとっては苛立たしい存在だろうって。……全部、見透かされていた」


 ルキフェルは目を伏せ、アントワーヌは唇を噛んだ。


「それと、選ばれなかった者の痛みを知る者こそ強くなれるって言ってた。選ばれなかった者の味方だと。……馬鹿だろ。そんな言葉に縋ったんだ、おれは」


 あの言葉はあまりにも甘かった。誰にも見られていないと思っていた醜い感情を初めて誰かが言葉にした。恥ずかしかった、怖かった。それなのに、救われた気がした。アントワーヌは乾いた痛ましい笑いを漏らし、ルキフェルは険しい目つきで言う。


「七歳の子供だ」

「それでも、おれは選んだ。少なくとも、そう思っていた」


 アントワーヌは首を振ってルキフェルを見据える。


「あの夜のことを聞いたんだ。お前の顔の傷を誰がつけたのか。人攫いか、それともゼフィランサスか」


 あの時のアントワーヌが問いを投げた瞬間、ゼフィランサスは笑った。優しい笑いではなかった。人の心の奥底を覗き込み一番柔らかい部分へ爪を立てるような笑いだった。


「ゼフィランサスは言ってた。ラウルはあの夜に死んで、今のお前はルキフェルとして生き始めたんだと。それでも、おれはしつこく聞いた。お前に何をしたのか。どうして、あんなことになったのか。そしたら、ゼフィランサスは言ったんだ。自分はお前を愛していると。友として、父として、実の父以上に。だから、助けた。だから、自由を与えた。だから、強さを授けた。全部、お前を愛しているからだと」


 アントワーヌはそこで一度言葉を切り、喉の奥が震え出した。


「君は、誰にも愛されなかったのかいって。誰かを愛する素晴らしさを知らない。君は一生、誰も愛せない。いや、君なんかに愛される奴は可哀想だって」


 その時、ルキフェルの心の奥で獣が唸り声を上げた気がした。鉄格子の窓外で夜風が低く鳴り、アントワーヌは胸元を押さえて呼吸を整える。


「その瞬間、何かが折れた。本当に、音がした気がしたんだ。でも、その直後にゼフィランサスは優しくなった。……ひどい話だろ。怖かったのに、あの人は危ないと分かっていたのに……その時のおれは、ゼフィランサスだけが見てくれているように思えた」


 アントワーヌの声は淡々としていたが、その奥は血を流していた。月光がイヤリングを淡く照らす。


「家族とは血ではない、心のつながりだ。君の孤独に寄り添えるのは自分だけ。……あの日、そんな言葉に縋って堕ちた」


 吹き荒れていた夜風が一頻り落ち着いたところで、ルキフェルは床に落ちた二人の影から顔を上げて口を開く。


「お前は……ずっと抱えていたのか」


 アントワーヌは目を伏せて頷くと困ったように笑う。


「だって、言ったら認めることになるだろ。おれは……ずっと愛されたかっただけなんだって」


 アントワーヌの言葉が牢の闇に吸い込まれ、冷えた空気の中でルキフェルは低い声を溢す。


「……家族、か」


 彼の脳裏に浮かぶのはゼフィランサスの顔だ。ルキフェルの眉間に深く皺が寄る。ゼフィランサスにもかつて妻がいて、ジャスパーという息子がいた。奪われた家族を探して、海を荒らし回った男。家族を失った痛みを誰より知っていたはずの男。そのくせ、アントワーヌの人生をこんな形で壊した。


「……矛盾してんな」


 ルキフェルが吐き捨てるように呟いた。一度は赦したつもりだった。全部を理解できなくても、あの男にも苦しみがあったのだと自分なりに飲み込もうとしていた。だが、幼馴染をここまで壊した。孤独につけ込み、愛を餌にして依存させ、心を閉じ込めた。考えれば考えるほど獣も爪と牙を剥き出しに唸っている。ルキフェルは苛立ちを押し殺すように息を吐くと、アントワーヌに目を向けた。


「血の繋がった家族は?」


 アントワーヌの肩が揺れた。彼は月光に目を落とすと、遠い場所から沈んだ何かを拾い上げるように掠れた声で言う。


「……叔父がいた。お前は覚えてないかもしれないけど」


 ルキフェルは黙って耳を傾け、アントワーヌは少しだけ唇を結んでひどく小さな声で続ける。


「それと……妹」

「……妹?」


 ルキフェルが思わず聞き返すも、アントワーヌは俯いたまま答えなかった。牢の外を風が吹き抜け、鉄格子が微かに鳴る。


 ——こいつになら、明かせるかも。


 長い沈黙のあと、ようやく何かを覚悟したようにアントワーヌは顔を上げて声を震わせた。


「……今も生きてる」


 ルキフェルは眉を寄せてアントワーヌとの距離を詰めた。


「今も生きてるって、なんで分かる」


 アントワーヌは膝を抱え直すと、煤のように暗いものを目つきに漂わせてルキフェルの顔を覗き込む。


「……ソフィーだよ。ソフィー・ルノアール。おれは、アントワーヌ・ルノアール。……ほんとは兄妹なんだ。でも、あの子は知らない」

「…………は?」


 ルキフェルの顔面が、まるで宇宙の真理を突然見せられた猫みたいな顔で固まる。


 ——ソフィーとアントワーヌが兄妹? 待て、あの真面目で不器用で、いつも誰かのために傷だらけになっていた軍医と、目の前で死刑を待つこの男が同じ家族?


 アントワーヌはそんなルキフェルの反応を見て、少しだけ困ったように笑う。


「何度か言おうとはしたけど、言えなかった。……また会えた時には、おれはもうマクシミリアン・ブーケとして生きてた。しかも、お互い海軍だったし」


 ルキフェルはなお死後硬直したように動きが溶けない。アントワーヌは小窓から差し込む月光を見つめながら続ける。


「それでも、ずっと見てきた。折れたまま進んでいくあの子に、ずっと生きていてほしかった」


 アントワーヌの瞳が揺らぎ、唇が震え出して語尾に掠れが生じる。


「恨まれてもいい。赦されなくていい……生きていてくれればよかった」


 ルキフェルは高速で数回瞬きし、アントワーヌの横顔を見つめていた。傷だらけで、間違いだらけで、どうしようもなく歪んでいて、それでもこの男はちゃんと人を愛している。理屈じゃない、ただ直感的に分かった。愛されたことがないと絶望していたくせに、誰も愛せないと言われ続けてきたくせに、こいつは今も誰かのために壊れようとしている。ルキフェルは苛立ちを押し殺すように舌打ちし、低い声を湿った牢に落とす。


「……言えよ。あいつ、兄は死んだと思ってるんじゃないか。……独りだぞ」


 独りだと思って生きることが、どれだけ人を壊すのか。ルキフェル自身が嫌というほど知っている。誰にも頼れず、誰にも本音を言えず、自分は独りだと思い込んで進み続ける苦しさを。アントワーヌはしばらく黙り、やがて寂しげな笑みを浮かべて首を横に振った。


「……独りじゃない。たぶん、もう大丈夫」


 ルキフェルから見たアントワーヌの横顔はどこか穏やかだった。彼の脳裏には、ソフィーの周囲にいる人間たちを思い浮かべているのだろう。それから、アントワーヌは目を細めて胸を摩った。


「……あの子は、ちゃんと誰かに愛されてる」


 ルキフェルの胸の奥が妙にざらついた。自分のことじゃないのに、なぜか苦しかった。アントワーヌは、自分がその輪の中へ入ることを最初から諦めている。死ぬ人間の顔だ。ルキフェルは眉を顰め、気づけば言葉を紡いでいた。


「それでも……後悔する前に伝えたほうがいい」


 アントワーヌが流し目で彼を見た。ルキフェルはアントワーヌから目を逸らさず続ける。


「真実を全部明かせなくてもいい。……生きていてくれって言葉くらいは伝えるべきだ」


 鉄格子の影が二人の間に落ちた。アントワーヌは目を泳がせたあと、眉を八の字にしてルキフェルを見据える。


「……ラウル、おれ——」


 ——コツ、コツ、コツ。


 廊下の奥から、やけに質のいい足音が響いてきた。硬い石床を叩く小気味のいいリズム、規則正しく無駄がなく、それでいて妙に耳に残る歩き方。ルキフェルは即座に顔を上げた。


「……来た」


 おそらく、アルフォンスだ。ルキフェルは急いで立ち上がると同時に、アントワーヌも反射的に顔を上げて二人の視線が交わった。ルキフェルが扉へ向かおうとした時、背後からアントワーヌの声が飛んでくる。


「また明日も来てよ」


 ルキフェルはピタリと足を止めて振り返ると、アントワーヌはあの困ったような笑みを湛えた。


「……話したいから」


 アントワーヌの顔が妙に昔と重なる。まだ全部壊れる前の、アントワーヌと笑っていた頃の面影を一瞬見た気がした。


「……分かった」


 ルキフェルは最後にもう一度だけ幼馴染を見たあと牢を後にする。廊下では、ちょうどアルフォンスがこちらへ歩いてきているところだった。

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