製作ノート 2ページ目
◆第一部 情景設計と「厚塗り」の解法
◆官能小説からラブコメへの挑戦
前話で申し上げたとおり、本作まで私はノクターンノベルズの作品しか書いていませんでした。
ノクターンノベルズで作品(官能小説)を書いたのは、単に作品を読んでもらいたかったからです。
実はなろうに投稿する前は、別のサイトに別のペンネームで作品を公開していました。
ピックアップ作品に選ばれたこともあります。
でも、平均したらPVは高いわけでもない。
プラットフォームも、ペンネームも変えて心機一転、なろうに投稿することにしました。
でも、せっかく書いたのに、誰も見てくれなかったら……それは悲しい。
ならば、せめて官能小説なら手に取ってくれるのではないか……。
そう思ってノクターンノベルズで何作か書き、そこそこ閲覧していただけた、という手応えを得ていたとき。
ついになろうでもリワードによる収益化が始まりました。
ただし、対象は全年齢作品だけ。
ならば、と今回は非エロの作品を書いて、どこまでやれるかやってみよう。
初めての全年齢作品なので、あまり変化球の話は避けて、テンプレートっぽいものを……と構成を考え始めたのです。
2025年の晩夏のことでした。
◆キャラクター設定はAIと二人三脚
主人公の灯と四人のヒロインは、AIで個別にプロンプトを作成し、対話しながら彼・彼女たちを深掘りしていきました。
ゼロからキャラクターを設定するのは大変です。
しかし、物語は魅力的にするためには、登場人物に深みや広がりがないと味気ないものになってしまいます。
そこで劇団船橋では、「もっともらしい嘘をつく」ハルシネーションというAIのクセを逆手にとって、できていない設定はプロンプトに考えてもらいました。
つまり、キャラクターの核を決めたら、こちらから「ご本人」に質問して答えてもらったのです。
得意科目とその理由、クセ、好きなものや家族構成、一人称や物事の考え方、小さい頃のエピソード、私服はどんなコーディネートなのか、など……。
このことで、ずいぶん立体的なキャラクター造形ができ、物語の中での彼や彼女の言動がご都合主義にならずにすんだかな、と感じています。
作中で語られなかった裏設定もこの対話から生まれています。
例えば灯が筆ペン絵師になった経緯。
これはご本人との対話から生まれた設定の一つです。
彼が小学校の時に絵画教室に通い始めたころ、レッスンに絵筆一式でなく、間違えて習字セットを持ってきてしまった。
それに気付いた日立先生から水墨画のことを教えてもらい、その日は墨で描くように指導されました。
灯は「習字の筆でも絵が描ける」という驚きと「墨の濃淡で色の表現ができる」ということに魅力を感じ、もっと手軽にできる筆ペンで絵を描き始めた……というものです。
その他、陽菜愛用のスパイクは、作中で履いていたオニツカタイガーのあのメーカー、典子は小さい頃に秋田で育ったので、心を許した相手には秋田訛りがポロッと出る……。
そんな表や裏の設定を対話して積み上げました。
こうして設定がある程度固まったら、プロンプトにそれまでの設定を含んだキャラクターの引き継ぎプロンプト生成してもらい、キャラクターをさらに磨き上げていきました。
過去作はウンウン悩んで設定しましけど、本作ではスマホ片手にちょっとした時間を使って、「役者」と対話しながら、サクサク設定をできたことが、物語序盤の執筆推進につながりました。
仮にこの登場人物はこのシーンでどうするか、と悩んでも、本人に「どう思う?」とか「どうする?」とか聞けば良いのですから……。




