EP119 それぞれの状況
――DtEO本部
ラフリットはブラックリストの巨大なパネルを前に、言葉を失っていた。
「……信じられない。どんどん上位が倒されています。たった一日で……!」
名札が消えるたび、新たな名前が押し上げられてくる。
ブラックリストの順位は常に変動し、まるで死者数を競うランキングのように冷酷だった。
そこに、今日だけで五つの名前が同時に消える。
「……本当に、さすがですね。ハトヤ。」
ラフリットの声には、安堵と焦燥と期待が混ざっていた。
――ただ、状況はそれだけで終わらない。
・・・
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――グローバル世界・無人島
メルヴェとネフィラはテーブル越しに向かい合っていた。
互いに視線をそらさず、静かな緊張感が漂う。
「で、そろそろ教えて」
「教えたら行っちゃいそうだし……」
「違う。あなたはハトヤの、何……?」
「え、そこ!?」
完全に予想外の方向からの質問だった。
「何って……ハトヤはボクを救ってくれた命の恩人だよ!」
「命の恩人……わたしと同じ。」
ネフィラの声は小さく、どこか寂しげだった。
「え、ネフィラもハトヤに命救われたの!? どんな状況で?!」
メルヴェが身を乗り出す。
ネフィラは少し照れながらも――なぜか対抗意識をむき出しにして語りはじめた。
「あのときわたしは――」
まるで競うように、二人の“救われた物語”が始まろうとしていた。
・・・
・・
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――未来人族 本国・訓練所
ここでも事態は動いていた。
訓練ホールでは、レスターとヴィランツに加え、さらに数名が天力修練を続けている。
ヴィランツはキューブを三つ同時に展開し、制御の訓練中だ。
そこへ、慌てた様子のクローグが転移してきた。
「レスター様! 天力を持った奴が現れました! 次々と殺されています!」
「……ハトヤか。」
レスターの声は低く、重い。
「まさか、もう介入してくるとはな。偶然か、それとも嗅ぎつけられたのか」
「報告では、天力を持つ強者は三名。ハトヤ、キューイ、そしてガンタリオです」
その名を聞いた瞬間、ヴィランツは顔を上げる。
「キューイ、ガンタリオ……?」
「ドワーフ族の英雄だとよ」
クローグが口を挟んだ。
「聞いたことはある。だがな――」
レスターは薄く笑い、椅子から立ち上がる。
「お前らじゃ勝てねぇよ。帰還命令を出せ。死ぬだけだ」
「……了解。」
クローグは転移で姿を消した。
ヴィランツは拳を握りしめたまま、レスターに問う。
「ドワーフ族がなぜ人族の側に……?」
「知らん。しかし、嫌な予感しかしねえ」
レスターの声には苛立ちが滲んでいた。
「もしあいつらが組んだら、未来人族の未来に影響が出る。これはもはや人族がどうのって話じゃねぇ」
レスターはキューブを一つ掴むと、どこか別の空間へと転移する前に言った。
「俺は動く。この件は上に通す。留守は任せたぞ、ヴィランツ」
「……承知しました」
レスターは光とともに姿を消した。




