61.
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
事件は、すぐに起きた。
浮かれていた聖華は、近くの椅子に足を引っかけてしまう。
そのままバランスを崩し、手に持っていたトレーを床に落としてしまったのだ。
がちゃん!
「あ……!」
(落としちゃった……)
割れた食器、飛び散った中身。
どう見ても、自分の不注意だった。
さっきまでの浮かれていた気分は跡形もなく消え去り、聖華の顔から血の気が引いていく。
(阿智くんに注意してもらったのにこのていたらく……うう……。あたしほんと……ダメダメだ……。嫌われちゃうよ……)
何か動かねばとは思う。
でも彼に嫌われたら嫌だという気持ちが頭の多くを占め、聖華はその場で固まってしまった。
それが悪手だとわかっていたも。
一方で、奉太郎は素早く動いていた。
「昼神さん、ケガしてない? 火傷は?」
「ふぇ……? あ、ううん。アタシは大丈夫……」
「よかった。じゃあ俺のトレー持ってってくれない? こっちの片付けは俺がやっとくから」
「え……? でも……」
自分がやらかしたのに、奉太郎にまかせるのはあまりに申し訳なかった。
「大丈夫だから。通路を二人塞いでると、周りにも迷惑になるし」
「あ、そっか……」
「うん。だからそれまず食べてて。伸びたらもったいないし」
奉太郎の指示に、聖華は反射的にうなずく。
彼の邪魔になってはいけないという気持ちが、固まっていた頭を動かしたのだ。
彼は購入した店のもとへいき、ことの顛末を話す。
すぐに店員がやってきて、二人で後片付けをし出した。
……聖華は言われたとおり、奉太郎のトレーを持って席に座る。
「はあ……ほんと、アタシって……なんてどんくさい女なんだろ……はぁあ……」
凹みながらも、でも、このラーメンを無駄にしたくなかったので、おとなしく食べることにする。
ほどなくして、奉太郎が戻ってきた。
「終わったよ」
「終わった……」
「なにが?」
「デート……アタシのせいで台無し……」
すると、奉太郎は微笑んで、聖華の頭をそっと撫でる。
「何言ってるの。まだ昼だろう? 終わってないよ」
「でも……台無しにしちゃって」
「トレー落としてそれで全部が終わったわけじゃないから。ミスは誰でもするしさ」
「ううううう……」
どんな自分も、奉太郎は受け入れてくれる。
全てを肯定してくれる。
感極まった聖華は「ちゅきぃ~……」と思いを口にしてしまう。
「はいはい、聞かなかったことにするから」
「ちゅき~……」
「ちゃんとムードのあるところで……」
「ちゅき~……」
何度も好きと繰り返してしまう聖華に、奉太郎は微笑みながら、聞こえないふりをしてあげるのだった。
【おしらせ】
※6/19(金)
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