54.
奉太郎は聖華の服装をまじまじと見ている。
(ど、どうかな……へ、変かな……? 変だって言われたらどうしよう……。死ねる……)
愛しの彼に見られて嬉しいという気持ち半分、彼の好みに合うかどうか不安が半分。
聖華は奉太郎の反応を待つ。
「今日の服、すごく似合ってる」
「!?」
(に、似合ってる……普段の露出高めな服とは違う、清楚で気合いの入った服装が……可愛いってぇ……!)
奉太郎は可愛いまでは言ってない。
しかし聖華はそう褒められたと思っていた。
(やっしゃぁーーーーーーーーーーーーーーーーー!)
やったぁ、と、よっしゃぁ、が合わさってなんだか訳の分からない雄叫びを上げる。
心の中に留められたのは、奉太郎に変に見られたくないという乙女心があったからだ。
あと、周りに人が居たからという理由も大きい。
「昼神さん?」
「あ、ごめん! ありがとうっ!」
自然と、感謝の言葉が、聖華の口をついた。
(もうこれだけでお腹いっぱい胸いっぱいだよぅ~……♡)
だが、メインイベントはこれからだった。
(今こんな幸せで、いいのかな? これ以上幸せになったら……あたしもう……どうなっちゃうの!?)
「いこっか」
奉太郎が歩き出している。
……聖華の目は、奉太郎の手をロックオンしていた。
(手つなぎたい手つなぎたい手つなぎたい手つなぎたい手つなぎたい手つなぎたい手つなぎたい手つなぎたい手つなぎたい)
聖華は奉太郎とデートに来たのだ。
彼との肉体的な接触を、望んでいた。
(えっちぃのは……ま、まだちょっとだけど……でもでもっ、奉太郎くんの手……つなぎたいなぁ……だってこれはデートだし、デートなんだからっ)
気持ちが先行しすぎてしまった結果、聖華は、奉太郎の手を握る。
(あ……おっきい……ごつごつしてる……うわ……すべすべ……)
奉太郎の手に触れ、そしてその感触を味わう。
頭の中は奉太郎との肉体的接触がもたらす幸福で一杯になった。
「昼神さん?」
「あ……」
(し、しまったー! 相手に許可を得る前から、手をつないでしまったー! うわー! きもーい!)
自分の行動を恥じた彼女は、奉太郎から手を離そうとする……。
だが、彼は微笑むと、そのままきゅっ、と。
まるで、蝶々に触れるような、優しい手つきで、握り返してきた。
「あんまりここで長居しててもしょうがないから、いこっか」
「…………」
(ふへぇ~……♡ すき~……♡ やば……すきゃぁ~……♡ すきすき~……♡)




