53.
聖華が待つことしばし……。
「阿智くん遅いなぁ~……」
時刻はそろそろ12時になろうとしていた。
彼女が来たのは11時。
待ち合わせは11時だと思っていたので、一時間も待っていることになる。
「遅刻するような人じゃあないよね……どうしたのかな……?」
「昼神さん?」
振り返ると、奉太郎が、自分に話しかけてきたところだった。
今日の服装は黒ズボンに半袖シャツ、その上からブルーの上着を羽織っている。
シンプルゆえに、彼のかっこよさが引き立つ。
……が。
「阿智くん遅れたのに、何その態度っ。良くないと思う……!」
思ったことが口をついてしまった。
しかし、奉太郎は首をかしげる。
「12時集合だから、時間ぴったりだと思うんだけど……」
「え……? 11時集合じゃ……?」
聖華が慌ててメッセージを確認する。
11日の、12時集合。
……きちんと奉太郎はそう書いて、聖華もまた了承していた。
話がごっちゃになっていたのだと、聖華は遅まきながら気づく。
(や、や、やっちまったー!)
聖華はその場にしゃがみ込んで、そのまま転がりたい気持ちを……ぐっとこらえた。
(さっきのなに!? ちょー感じ悪かったんですけどー! いやー! もー! いやー!)
しかし、奉太郎はきょとんとしたままだ。
「どうしたの、昼神さん?」
「ふぇ……? だ、だって……あたし感じ悪くなかった?」
「全然。……まさか、一時間待ってたの?」
「え、あ、はい……」
すると奉太郎はすぐさま、頭を下げてきた。
「ごめんね。1時間待たせて。それは、怒るよね。ごめんね」
(え、え、えー!? 好き……!)
……明らかに、聖華の方に非があるのに、奉太郎は謝ってきたのだ。
その器の大きさと、優しさに、聖華はもうメロメロだった。
(好きっ。好き好き好きっ。阿智くん大好き! 好き好きすきー!)




