46.
自室にて。
勉強机の前に座る奉太郎は聖華からのメッセージを見て、ほっ……と息をついた。
「良かった……」
準備不足で、デートに臨みたくなかった。
それに、こんな時間から行っても、すぐに帰ってこなくてはいけなかったし。
なんにせよ……。
「……ありがとう」
と、奉太郎は、深雪にメッセージを送っておく。
すでに、彼らは連絡先を交換していたのだ。
聖華がいないところで連絡先を交換することには、ためらった。
しかし深雪が自分から交換したいと、提案してきたのだ。
聖華を思っての行動だと、奉太郎は理解してる。
深雪には、今回のことを少し相談しておいたのだ。
まかせて、とだけ短くメッセージがきたあとに、聖華からのあの返事がきたのである。
どうやら深雪が全部手を回してくれたようだ。
『気にしないで。聖華が迷惑かけてごめんなさい』
奉太郎は微笑むと、メッセージを返す。
「昼神さんのこと、好きなんだね」
既読はついたが、しかし、返事はなかった。
別に怒ったわけではないだろう。
単純に、照れてしまったのだろうと思われた。
『聖華をよろしく』
と少し間を空けて送ってきたのだ。
それだけで十二分に、深雪が聖華を思って行動してることは理解できた。
「…………」
聖華をよろしく。
恋人として、ということだろう。
人一人の人生を背負う……という程の大きな話ではない。
けれど、聖華を軽く扱うつもりはまったくなかった。
彼女には幸せになってほしいし、笑っていてほしい。
幸せにしたい、笑わせたい。
今まで自分にはない感情、欲求が、彼の中には芽生えているのである。
奉太郎は、それらを……大事にしたいと、そう思ってるのだった。




