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【連載版】 「誰でもヤらせてくれる」と噂の隣のギャル。実は超がつくほど家庭的で、毎日めちゃくちゃ甘やかしてくる  作者: 茨木野


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45/51

45.


 ……聖華は気づいたら、風呂に入っていた。


「な、何が起きてるの……? あ、あたし、いつの間にお風呂に!?」


 奉太郎からの、デートのお誘いがあってから、今に至るまでの記憶がない。

 自分の家の風呂、湯船に浸かっている。


「え、え、えー!? 何が起きてるの……? わ、若くしてぼけちゃったのかな……あたし……」


 すると、どこからかため息が聞こえてきた。


『聖華……気づいた?』

「え、あ、みゆきん……?」


 ジップロックに入った、スマホから聞こえてきたのは、親友深雪だった。


「え!? ど、どういう状況……?」


 深雪曰く、奉太郎と別れて、一度聖華は風呂に入ったらしい。

 そして、深雪に通話をかけてきたのだ。


『しばらく返事がないから心配したわよ……』

「ご、ごめんね……」


 深雪はいつも通りの声音だった。

 でも……彼女から心配した、なんて単語が出てきたのは初めてである。


 沸騰しかけた頭が、すぅ……と冷静になっていく。


(友達に、心配させちゃった……。初めてだよね、心配かけるの……)


『まあ、いつも心配かけられてるから、今更だけど』

「いつもなの!?」


(驚愕の事実なんですけど!?)


『聖華。とりあえず、今からのデートは断りなさい』

「えー? なんでぇ~……」


 正直デートする気満々だった。


『……迷惑でしょ。阿智くんに。彼にだって、準備が必要なんだし。デートプラン練らないといけないし』

「あ、そっか」


 自分のことしか考えていないことに気づいて、聖華はさらに、凹んでしまった。


「あたしってなんでこう、こうなんだろ……」

『今更』


(これも今更なんだ……)


 近くで見ている友達だからこそ、その評価は妥当なものだと思った。


 ぱちんっ、と聖華は自分の頬を叩く。


「切り替える! 連絡する!」

『うん、それがいいよ』


 聖華は急いで奉太郎に連絡のメッセージを送った。


「文面がわからん……!」

『日を改めたい、でいいでしょ』

「それだっ!」


 日を改めたい、とだけ送った。

 すぐに既読がつき、了承の返事が来た。


 はぁ……と聖華が息をついて、湯船に身を沈める。


『阿智くんは、なんて?』

「わかったって。あと、ありがとうって」


『……そうでしょ。阿智くん絶対困ってたよ』

「うー……だよね。急だったし」


『相手にも相手の都合があるんだから。自分の都合ばかり押しつけちゃだめ』

「わかってるもん……」

『…………』

「ごめん、わかってなかったかも……」

『そうね。それに、デート当日は、アドバイスできないわ。自分の頭で考えるのよ』


 深雪のお説教。

 しかし、聖華の口元が緩んでいた。

 淡々と、忠告をしてくる。


 でもその内容には、聖華を思う愛情を感じられた。

 どうでも良いと思っているなら、こんな丁寧に、色々アドバイスなんてしない。


(みゆきん、やさしいなぁ……)


『……なに?』

「みゆきんやさすぃ~って」


『……だから、その思ってることと、口にすることを、一緒にするのやめなさいってば』


 聖華は知ってる。

 深雪は照れると、髪の毛をくしゃっといじる癖があるのだ。


 目の前に深雪はいない。

 でも何度も、髪の毛を手で触っているのだろうという姿は、想像できた。

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