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【連載版】 「誰でもヤらせてくれる」と噂の隣のギャル。実は超がつくほど家庭的で、毎日めちゃくちゃ甘やかしてくる  作者: 茨木野


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39/65

39.


 文芸部部室には、なぜだか味噌汁の香りが漂っていた。

 この部室にはポットが置いてあり、聖華がインスタント味噌汁を使ったのである。


 奉太郎は聖華の作ったおにぎりを頬張る。

 一口噛むと、ほろりと米が崩れる。


(コンビニおにぎりと全然違う……)


 

 乱暴な言葉で言えばただの米の塊。

 おにぎりなんて、どう作っても同じ味わいになるはずである。


 だが、明確に、聖華のおにぎりは美味しいと感じた。

 冷たい米の塊では決してない。


 ほどよい塩味。パリパリの海苔。そして、柔らかいのだ。

 

「どうしてこんな美味しいの? 何か秘訣とかある?」


 奉太郎は自分の言葉に自分で驚く。

 食事の秘訣なんて、一度も人に聞いたことはなかった。


「そりゃあもう、あ」

「あ?」


 聖華の顔が真っ赤に染まる。

 ……おそらく愛情とか、そういったことを言うのではないだろうかと、奉太郎は思った。


 聖華は顔を真っ赤にしている。

 愛情などという、露骨な愛情表現を避けているのだろう。


 相手に好意が伝わってしまうがゆえの、照れ。

 しかし奉太郎だけでなく、その場にいる誰もが見ても、彼を好きなことは明白だった。


 照れる気持ちはわからないでもないが……


「根性! 根性ぎゅぎゅっと注入されてるからね!」


 ……なんとも微妙な返しだった。喜ぶでもない、感謝するでもない。

 ユーモアにも欠けている。


 現に深雪は呆れたように、深々とため息をついた。

 その一方で、奉太郎だけは、楽しそうに笑う。


「そっか。根性入ってるから、美味しいんだね」


 ……無論そんなわけがない。

 だが、気合を入れて弁当を作ってきてくれた。


 それだけは伝わったし、それだけで十分だった。


「ありがとう」

「ふへへっ、どーいたしましてー!」

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