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【連載版】 「誰でもヤらせてくれる」と噂の隣のギャル。実は超がつくほど家庭的で、毎日めちゃくちゃ甘やかしてくる  作者: 茨木野


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40/65

40.


 聖華の根性の入ったおにぎりを食べたあと……。

 奉太郎はふと、深雪の手に持っている本が目に付く。


「もしかしてそれ、白馬王子の新刊?」


 深雪の手には、一冊の単行本が握られていた。

 真っ白な表紙に、『神に挑む』というタイトルが書かれた、シンプルな装丁。


「む? 白馬王子? なぁにそれ、白馬に乗った王子様? 童話?」

「……そう。新刊」


 聖華を無視して深雪が答える。

 奉太郎は少し前のめりになって尋ねる。


「まじか。いつ発売したの?」

「……先週」

「そっか。最近本屋行ってなかったから、気づかなかった。君も好きなの?」


「……ええ。せんもしの時から」


 聖華が首をかしげる。


「せんもしってー?」

「ラノベで出たよねそれ……もしかしてデビュー時から追ってるの?」


「ねーえー」

「……ええ。良いわよね、白馬王子。感性だけで書いてないのが伝わってきて、それが良い」


「ちょっとー!」

「わかる」

「わからないよー!」


 完全に、深雪と奉太郎から仲間はずれにされて、聖華は腹を立てたようだ。

 ぷくっ、と頬を膨らませる。


「あたしでも分かるような言葉でしゃべってよー! もー!」


 可愛らしい、嫉妬だった。

 奉太郎はそう、聖華のそんな姿を見て可愛いと無意識に思ったのである。


 好意がある故のシグナルだったのだが……悲しいかな、聖華には届かなかったらしい。


「ごめん、昼神さん。白馬王子っていうのは、作家のこと。凄く面白い本を書く人なんだ」

「……せんもしっていうのは、その人のデビュー作。阿智君もデビューから白馬王子を追ってるんだって」


 二人の説明を聞いて、聖華はそれでやっと、話は理解できた。

 できたのだが……。


「ぶー……。あたしにはわからん世界……」


 読書なんてしない聖華にとっては、理解できぬ話であった。

 自分の知らないところで、彼と盛り上がらないでほしかった。


「君も読書してみる?」


 奉太郎は少し間を空けた。

 考えたのは、彼女のこと。

 彼女にも、自分の好きを、理解して欲しい。


 そんな気持ちが、彼を少しだけ大胆にさせた。


「本……貸すけど」


 彼からの、好意のこもったパスだ。

 絶好球であった。

 ど真ん中に、甘い球が入ってきたのだ。


 この本の貸し借りから、さらに関係が深まる……。


「え、いいや。本読まないし」


 ……昼神聖華。

 恋愛経験値が低過ぎるせいで、この絶好球をまさかの見逃し三振。


 深雪は深々と、ため息をつくのだった。

 

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― 新着の感想 ―
聖華、後日後悔しそうだな。 本には興味ないかもしれないが、今回は奉太郎の所有物でもあるわけで、極論を言えば彼シャツを借りるようなものなのに。 まあ、自称53万IQ(一般的にはIQ53万って表記じゃねえ…
本を拒否しちゃう53万IQとは…
素晴らしい好球見逃し…
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