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306 最後の仲間

 サラクス辺境伯の説得に手応えを感じ。一気に押し切ろうと言葉を繋ぐ。


「遊牧民の傭兵を受け入れる事に関しては、確かに最初は冷ややかな目で見る者もおるであろう。


 だがどのみち今でさえ、領民達には『遊牧民を撃退できない情けない領主』と見られておるのだし、その対策も難しい。

 そして貴族達は日和見ひよりみを決め込み、敵対こそして来ぬが、皇帝の呼びかけに反応を返さん。


 ならば長年の敵であっても、今は遊牧民を味方に引き込むのが現実的な手段であろう。違うか?」


「それは……」


「最初は冷ややかな目を向けてくる者達も、遊牧民との同盟の実利が認識されてくれば、必然批判も下火となろう。


 それでも文句をつけてくるやからがおれば、それこそ遊牧民の傭兵部隊でも使って滅ぼしてやればよい」


 ――実際、貴族の中には実利より名誉とかプライドを優先する人が少なくなさそうなので、そういう人はホントに滅ぼすのもアリだと思う。


 積極的にはやらないけど、国を安定させるためにはめんどくさいタイプの貴族は少ない方がいいし、敵対的な態度を取ってくるなら、対処しないといけないだろう。


 その時にも遊牧民の協力があると心強い。


 辺境伯は黙っているが、まだ納得した様子はないので、さらに押してみる。


「今回の件、お主にとっては悪い話ではあるまい。


 現状でも領民達に、『遊牧民を撃退できない、頼りにならない領主』だと思われておるのだ。

 それが『遊牧民の御機嫌を取る、情けない皇帝』に変われば、お主にとっては責任の所在が変わって、むしろ肩の荷が下りるのではないか?」


「それは……そうかもしれませんが、しかし陛下にそのような不名誉を負わせる訳には……」


「気にするな。むしろ今まで、お主達東部の領主だけに負担を押し付けておったのが間違いだったのだ。


 警備だけならともかく、国境の防衛は本来国の仕事だからな。

 今まで苦労をかけて済まなんだ……この先はしかと、帝国皇帝たる余が責任を持つと約束しよう。

 そのためにこそ、遊牧民と同盟を結んできたのだしな」


 ……辺境伯は、本当に苦労をしていたのだろう。俺の言葉に目を潤ませる。


 多分何度も中央に支援を要請したけど、ことごとく無視され。

 東部の領主だけで対応しても成果を挙げられず、領民を守るという領主の務めを果たす事ができずに、悩み苦しんできたのだろう。


 そこに突然手が差し伸べられ。『今までよくやった。もうおまえは苦労をしなくていい、後は任せておけ』と言われたのだ。


 そりゃ感動するだろう。苦しい時の優しい言葉って、心に響くからね……。


 前世の経験を思い出しながらそんな事を考えていると。辺境伯はおもむろに立ち上がって頭を下げ、力強い言葉を発する。


「このサラクス、以降は26世陛下に忠誠を誓い、手足となって働く事をお約束致します。

 陛下の治世を安定させるためであれば、なんなりとお命じくださいませ!」


 おおう、思ったよりガッチリ食いついてきたな。


(この人ちょっとチョロイのでは?)という考えが頭をよぎるが、今まで散々苦労をしてきた反動なのだと思うと、かわいそうにもなってくる。


「うむ、頼りにしておるぞ。


 ――ついてはこれからの事であるが、実は今攻めてきている遊牧民は、余の指示によるものだ。


 遊牧民に話は通してあるので、この先西に向かう事があってもそれは元宰相軍と戦うためであるから、構わず通してやってくれ。

 最低限必要な食料の調達くらいはやるだろうが、それ以上の狼藉ろうぜきは働かんはずだ。


 迷惑をかけて済まんと思うが、これを最後の襲撃にするためと思って許してくれ」


「――そんな、元より遊牧民が襲ってきて食料を奪っていくのはよくある事です。


 皇帝陛下が我等の将来を考えてくださった上での事とあれば、お恨みするなどとんでもない事です」


「そう言ってもらえると助かるな。では改めて、遊牧民の部隊の通過を見逃す事と、その部隊を追いかける形で兵士を出し、大逆者共との戦いに協力して欲しい」


「はい、しかと承りました……」


 そう言って頭を下げる辺境伯。


 中立を維持させ、遊牧民を攻撃させないのが最低条件だったけど、想像以上に上手くいったな。

 長い間の軍師生活で、俺の説得スキルが上がったのだろうか?



 そんな事を考えながら手短に話をまとめ。


『護衛をつけます』と言うのを遠慮して、俺はキサの馬に乗って復興軍の元へと向かう。


 遊牧民に、『帝国兵が追ってきても味方だから気にしなくていい。村から奪った食料を特定の場所に集めて欲しい』と連絡を送り、これで事前の準備としてやれるだけの事は全部やったと思う。


 あとは本番の戦いだけだ。


 いにしえの名軍師は、『戦いの勝敗は始まる前に7割決まっている』と言ったそうだけど、俺にそんな事を言えるほどの実力はないし、そんな易しい戦いでもない。


 全力を尽くして準備をし、全力を尽くして戦いにのぞむだけだ。



 俺は緊張感を全身に巡らせながら、復興軍との合流地点に決めた場所へと急ぐのだった……。




帝国暦170年 3月23日


現時点での帝国に対する影響度……73.489%(+6.5)※帝国東部を勢力下に


資産

・1億3156万ダルナ


・元宝石がいっぱい付いていた犬のぬいぐるみ(今はおでこに一つだけ)

・エルフの傷薬×10


配下

シーラ(部下・帝国復興軍精鋭部隊長・C級冒険者 月給50万)

メルツ(部下・ジェルファ王国軍務大臣・E級冒険者 月15万を上級傷薬代として返済中)

メーア(部下・ジェルファ王国軍務副大臣・E級冒険者 月15万を上級傷薬代として返済中)

エリス(協力者・ジェルファ王国国王・将来の息子の嫁候補 月30万を宿借り上げ代として支払い)

ティアナ(エリスの協力者 月給なし)

クレア(部下・ジェルファ王国宰相)

オークとゴブリンの巣穴から救出された女の人達24人(雇用中・北の拠点生産担当と中州の拠点運営担当 月給12万)

元孤児の兵士達103人(部下・帝国復興軍部隊長97人 北の拠点の船舶担当5人 医療班1人)

セファル(部下・アルパの街の物資管理担当・C級冒険者 月給30万)(弟も同職 月給10万)

ガラス職人(協力者 月給15万・衣食住保証)

船大工二人(協力者 月給15万・衣食住保証)

怪我を負った孤児の子達43人(北の拠点で雇用 月給7.2万)

キサ(部下・専属護衛・遊牧民 月給48万)

セラードとその妹リーズ(部下・元帝国西方新領州都防衛隊長 元子爵家子息 帝国復興軍後方部隊長と前線部隊長)

ミリザ(協力者・ジェルファ王国内務大臣・王都を仕切る裏稼業三代目)

カーミラ(部下 蜂起軍選抜部隊長 元男爵家長女)

サラクス(臣下 帝国東部で最大勢力の辺境伯)

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