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304 遊牧民との同盟

 俺が交渉のテーブルに乗せた話の大きさに、ハイタル大王はしばしの間固まっていたが、再起動して言葉を発する。


「おまえにそこまで決める権限があるのか?」


 お、さすが交渉慣れしている。

 そうだよね、こんな大きな案件、普通は使者の一存で決められないよね。


「先の手紙にもありました通り、私は今回の交渉を一任されております。

 皇帝陛下とも事前に話をしておりますから、実現可能な範囲で話をしています。


 この戦いに勝つか負けるかでこの先の帝国の行く末が大きく動くのですから、万全を期そうとするのは当然ではありませんか。

 そして帝国と遊牧民とのこれからの関係のためにも、我々が勝つ方が有益であるとご理解頂きたく思っております」


 ……いつか俺が皇帝として大王に会う事があったら、『おまえあの時の使者ではないか、騙したな!』とか言われるのだろうか?


 まぁ悪意のある騙し方ではないし、俺達が勝つ方が遊牧民の利益になるのも間違いないはずだから、その時はお互い笑い合えるような。穏やかな関係になれるといいね。


 そんな事を考えている間に、大王は側近の人と話をして、こちらに向き直る。


「いいだろう、その話乗った!

 ただし、ちゃんと文章にして残してもらうぞ!」


「もちろんです。ありがとうございます」


 そう返事をして早速文章作成に取りかかり。

 側近の人と文章を確認して、俺と大王が署名をして公式の文書を作る。


 さすがに文字を書く時は馬を降りたけど、なぜかもう一回乗り直してから握手をして、交渉成立だ。


 遊牧民は本当に馬が好きだね。



「……それで、俺達はなにをすればいい」


 お、さすが大王。話が早い。


「当面は今までと同じ行動を続けてください。可能であれば、本国から援軍を呼んで数を増やしてくれるとありがたいです。

 ……そういえば、今何人くらいいます?」


「7400ほどだ! ……よく数も知らずに交渉の条件を出したな」


「大勢いるというのは目撃情報として聞いていましたし、味方になってくれるという事実がなにより重要でしたから」


 本当は敵対しないという事がなにより重要だったけど、それは黙っておこう。


 そんな事を考えながら、言葉を続ける。


「こちらから連絡を取れるようにしたいので、場所を決めて連絡所を設置し、そこの人には現在地を知らせておいてください。

 必要に応じてこちらから連絡を入れますので、それに応じた行動を取って頂けると助かります。」


 一応気を使って、『指示に従って』とかは言わない。元の世界でサラリーマンをやっていた頃の知恵だ。相手の御機嫌を損ねていい事はなにもないからね。


「あとは、もし宰相からも味方になれと使者が来たら、『考えておこう』くらいの曖昧あいまいな返事をしておいてください。しばらくはそれだけでいいです」


「承知した! おまえ達の健闘を祈っておるぞ!」


「ありがとうございます。我々の勝利がお互いの利益となる未来を、私も願っております」



 ……そんな会話を交わして、正式に遊牧民と同盟を結び。

 連絡所の場所も決めて、俺達は西に戻る。


 遊牧民と別れる前。キサに『お父さんへの伝言とか、なにか訊きたい話とかある?』と訊いてみたが。『いえ、今はなにも』という返事だった。


 どうやら、もう完全に親離れは済んだようだ。


 キサも一人前の遊牧民に……むしろ騎士になったのだと思うと嬉しい反面。キサ父はやっぱり寂しいのかなと、そんな事を考える。


 俺は元の世界で子供がいなかったから、交渉の駆け引きとかは分かっても、親心ってよく分からないんだよね……。



 ――戦いを前にそんな事を考えられるのは、余裕があるからかな? などと考えながら西に戻り。

 サラクスの街で復興軍の伝令と合流する。


 早速報告を聞くと、


・復興軍は順調に東に移動中、かなりの速度

・その後ろを宰相軍が追いかけている

・宰相軍は一定の距離を保っているというより、追いつけていない様子。ただし騎兵は別


 という事らしい。


 精兵なのだろう宰相軍より動きがいいとか、さすが歴戦の復興軍だ。


 今の所想定通りに事が運んでいる事に安堵あんどし。伝令には復興軍宛に、ある地点へ向かうようにと指示を預けて送り出す。


 そこは遊牧民の部隊を探して東部を移動していた時、ピンときた場所。


 宰相軍と決戦を行う場所の有力候補だ。


 最終的にはシーラやリーズ達の意見も聞いて決めるけど、その前にもう一つ。この街でやっておかないといけない事がある。



 俺は決戦前最後の仕事をこなすべく。

 この街の領主であり、帝国東部で最大の勢力を持つサラクス辺境伯宛に手紙を書くのだった……。




帝国暦170年 3月22日


現時点での帝国に対する影響度……66.989%


資産

・1億3162万ダルナ(-12万)


・元宝石がいっぱい付いていた犬のぬいぐるみ(今はおでこに一つだけ)

・エルフの傷薬×10


配下

シーラ(部下・帝国復興軍精鋭部隊長・C級冒険者 月給50万)

メルツ(部下・ジェルファ王国軍務大臣・E級冒険者 月15万を上級傷薬代として返済中)

メーア(部下・ジェルファ王国軍務副大臣・E級冒険者 月15万を上級傷薬代として返済中)

エリス(協力者・ジェルファ王国国王・将来の息子の嫁候補 月30万を宿借り上げ代として支払い)

ティアナ(エリスの協力者 月給なし)

クレア(部下・ジェルファ王国宰相)

オークとゴブリンの巣穴から救出された女の人達24人(雇用中・北の拠点生産担当と中州の拠点運営担当 月給12万)

元孤児の兵士達103人(部下・帝国復興軍部隊長97人 北の拠点の船舶担当5人 医療班1人)

セファル(部下・アルパの街の物資管理担当・C級冒険者 月給30万)(弟も同職 月給10万)

ガラス職人(協力者 月給15万・衣食住保証)

船大工二人(協力者 月給15万・衣食住保証)

怪我を負った孤児の子達43人(北の拠点で雇用 月給7.2万)

キサ(部下・専属護衛・遊牧民 月給48万)

セラードとその妹リーズ(部下・元帝国西方新領州都防衛隊長 元子爵家子息 帝国復興軍後方部隊長と前線部隊長)

ミリザ(協力者・ジェルファ王国内務大臣・王都を仕切る裏稼業三代目)

カーミラ(部下 蜂起軍選抜部隊長 元男爵家長女)

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