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302 遊牧民の王

 案内の人について騎馬の一団に向かうと、騎馬兵の群れがスッと動いて俺達を迎え入れるように、綺麗な円形に広がる。

 さすが遊牧民、馬の扱いはお手のものだね。


 円の中心にいる一際立派な服を着た人が、多分この場で一番偉い人。

 ハイタル大王本人か、将軍クラスなのかは分からないけど、体格が良くて立派なヒゲを生やした、厳ついおじさんだ。



 ――俺達も円の中に進むが、これ迎え入れてくれていると言うより、こちらを囲んで脅している気がしてきた。


 まぁ、敵陣に乗り込んでの交渉なのだから、仕方ないのだろう。


 偉い人から少し距離を空けて馬が止まったので、降りて挨拶しようとしたら、キサの手が俺を静止し。小声で(遊牧民にとって、馬に乗りながら話す事は無礼に当たりません)と教えてくれる。


 さすが遊牧民出身。いてくれて良かった。


 平静を装って名乗ろうとすると、先に向こうが『我は遊牧民を統べる大王、ハイタル4世だ! 皇帝の使い大儀である!』と、大声を張り上げる。


 どうやら、使者の方から先に名乗るという礼儀も存在しないらしい。

 むしろ、大声でこちらを威圧しようとしている気配がする。


「私は帝国皇帝アムルサール26世からの使者として参りました、帝国復興軍軍師、アルサルと申します」


 本来ならこのあと『大王様におかれましては御機嫌麗しく、祝着しゅうちゃくになんたらかんたら……』と続くのだが、いらない気がしたので省略する。


 なんか、礼儀とか作法とか気にしない豪快な人の印象だ。


 ……俺の印象は正しかったようで、大王は特に気を悪くした様子もなく。『それで、なんの用だ!?』と話をかせる。


「こちらに皇帝陛下からの手紙を預かっております」


 そう言って手紙を取り出す……が、なにも起きない。

 こういう時って普通、大王の副官とかが手紙を仲介しに来るものなんだけどな……。


 困惑していると、キサがゆっくりと馬を進め。大王の横まで行って手渡しする事になった。


 ホントに文化違うなぁ……と思いながら元の位置に戻り。手紙を読む大王を見つめる。


 ちなみに内容は、復興軍に協力して帝国東部を牽制してくれた事への感謝。

 そして、見返りとして食糧供給と交易という約束をちゃんと守る事の再確認。

 あとは、『この手紙を持参した者の話を聞いて交渉をして欲しい』と書いてある。


 俺が皇帝本人だと名乗る案もあったけど、それをやると囚われてしまう可能性がある……以前に、そもそも皇帝だという話を信用してもらえない気がしたので、あくまで皇帝の使者で、復興軍の参謀でいく。


 ――手紙を読み終えた大王は顔を上げると、『なんの交渉だ!』とまた大声を上げる。


 怒っている訳ではないっぽいけど、ちょっと怖い。


 とはいえこれくらいの威圧でおびえていては軍師なんて務まらないので、落ち着いて声を発する。


「現在、我々帝国復興軍は旧勢力との最後の決戦に臨もうとしています。

 つきましては、大王様にもご助力を願いたく思います?」


「……今すでにここに来ておるだろうが! これ以上なにを望む!?」


「我々と共に、旧勢力の本軍と戦って頂きたいのです」


「…………」


 俺の言葉に大王は表情を険しくし、じっと考え込む。


 こちらとしては、最低限は宰相と組んで俺達を襲ってこなければそれでいい。

 だけど宰相軍と戦う時の助力まで貰えると、とてもありがたい。


 そこまでがっちり俺達と組めば、この後宰相から誘いが来ても簡単にはなびかないだろうからね。

 先手必勝だ。


 ――じっと反応を待っていると、俺達を囲む円の中から一騎が歩み出てきて。大王のとなりに行くとそっと耳打ちをする。


 参謀か副官か、そういうポジションの人だろうか?


 多分アドバイスを貰ったのだろう大王は小さくうなずき、また大声を張り上げる。


「要求は分かった! それで、こちらへの見返りはなんだ!」


 お、交渉に乗ってきてくれた。これはありがたい。


「可能な限りの事をと考えていますが、申し訳ない事に我々は遊牧民の生活にあまり詳しくないのです。

 かねて約束の食料と交易以外に、なにかお望みの物はありますでしょうか?」


 キサ父と話した感じだと、食料の他に求めるのは多少の武器と布くらい。あとは交易に使えるお金だろうけど、東の大勢力となるとまた違うだろうか?


 相手の事がよく分からない時は、直接希望を訊くに限る。意外と予想外な話が出てきたりもするのものだ。


 さて今回はどうだろうと見ていると。大王はさっきの側近としばらく話した後、こちらに向き直る。


「まだ協力すると断言はできんが、欲しい物は塩・武器・穀物・布だ! それと、交易に当たってこちらが売る物が羊しかないから、他の交易品を考えてくれるとありがたい!」


 ――おお、大王脳に筋肉が詰まっているタイプかと思ったら、予想外にしっかりした答えが返ってきた。


 そういえばさっきから側近の人の意見をよく聞いているし、なにより今だけでなく、将来的に長く交易をする事まで考えた答えなのがいい。


 声が大きいので感覚で動く武人タイプかと思っていたら、内政もいけるらしい。


 ……それならそれで、交渉がしやすくて助かる。



 本来は厄介な相手だったと嘆く所かもしれないけど、今は交渉のしやすさが一番だ。


 俺は大王への認識を切り替えて、本気の交渉モードへと移行するのだった……。




帝国暦170年 3月20日


現時点での帝国に対する影響度……66.989%


資産

・1億3174万ダルナ


・元宝石がいっぱい付いていた犬のぬいぐるみ(今はおでこに一つだけ)

・エルフの傷薬×10


配下

シーラ(部下・帝国復興軍精鋭部隊長・C級冒険者 月給50万)

メルツ(部下・ジェルファ王国軍務大臣・E級冒険者 月15万を上級傷薬代として返済中)

メーア(部下・ジェルファ王国軍務副大臣・E級冒険者 月15万を上級傷薬代として返済中)

エリス(協力者・ジェルファ王国国王・将来の息子の嫁候補 月30万を宿借り上げ代として支払い)

ティアナ(エリスの協力者 月給なし)

クレア(部下・ジェルファ王国宰相)

オークとゴブリンの巣穴から救出された女の人達24人(雇用中・北の拠点生産担当と中州の拠点運営担当 月給12万)

元孤児の兵士達103人(部下・帝国復興軍部隊長97人 北の拠点の船舶担当5人 医療班1人)

セファル(部下・アルパの街の物資管理担当・C級冒険者 月給30万)(弟も同職 月給10万)

ガラス職人(協力者 月給15万・衣食住保証)

船大工二人(協力者 月給15万・衣食住保証)

怪我を負った孤児の子達43人(北の拠点で雇用 月給7.2万)

キサ(部下・専属護衛・遊牧民 月給48万)

セラードとその妹リーズ(部下・元帝国西方新領州都防衛隊長 元子爵家子息 帝国復興軍後方部隊長と前線部隊長)

ミリザ(協力者・ジェルファ王国内務大臣・王都を仕切る裏稼業三代目)

カーミラ(部下 蜂起軍選抜部隊長 元男爵家長女)

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