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乞う路傍の雪以下なら夢と仰せ  作者: 杜若表六


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砂漠の神話

《砂漠とは天から長い時間をかけて降ってきた砂の集まりだ》

かすかな声でそう囁く神話がある。それを信じよう。

……とすれば、その砂の最初の一つぶは、さぞかし心細かったことだろう。

広大な空間にたった一つぶ、ちょこんと在るだけのそれ。

次の一つぶ、その次の、またその次の一つぶも、同じ孤独を感じていたのだろう。

そのなかで、かすかな連帯感も砂つぶたちの間に生まれたのだろう。

だが、やがて長い時を重ね、星の数ほどの同胞に囲まれたかれらは、今、やましい息苦しさを感じているのだろう。

だが、もう互いに離れることはできない。なぜか?


……孤独とは贅沢な感情だ。たった一人の時だけ見ることのできる淡い夢だ。一つのひそかな快楽だ。

だがこの美しい謎は、同胞の登場によって儚くもかき消えてしまう。

あなたは友情によってひと時の喜びを得る。

しかしそれも束の間のこと、やがてまた孤独を求めだすだろう。どうすれば孤独を再び味わうことができるのか考える。

そうだ、また一人になればいい。あなたは同胞たちから離れ、一人になる。

そして知る、甘美な孤独に二度目はないと。なぜか?


あなたは友を知った。愛も知ったかもしれない。

そんなあなたはすでに孤独に耐えられる身ではない。

あなたはもう生の真昼にいる。もはやむきだしの肌は灼熱の太陽に焼かれひりつくばかり。

孤独な冷たい夜に耐える苦痛こそが甘美なのであったと、あなたは今更ながらに知る。


我々は我々のためにお互いを成り立たせているわけではない。

我々自身が乱雑に積み重なった結果として周囲との関係から在ることの歪みの上に成り立っている。

生命とは乱雑さに依存する砂つぶの共鳴だ。

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