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乞う路傍の雪以下なら夢と仰せ  作者: 杜若表六


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世の人は、己が身をあるいは他人の身をかえりみて、

世の人は、己が身をあるいは他人ひとの身をかえりみて、彼らのなべて何者かにひざまずき、そしてひざまずられているかれもまた何者かにひざまずいているということが、はてしなく続くつらなりのように感じられるものである。そこに壮悲観というものはなく、まるで、ただ落としたボタンを拾うようにその場にかがみ、その姿が、かえりみられるなかで、あたかも跪拝しているかのように見えているかのように。

われわれは何者に対してひざまずいているのだろう? 皆人が腰を折るさきの、人の木々の、人の細波さざなみのさきを、己ひとりが腰を上げて、遥か見やる人は、何を見るのだろう。あるいは、われわれが背を向けるほうには、何があるものか、ふりかえり見る人は、何かを見るのだろうか。

さきにも、あとにも、何もありはしない、とその人は言うだろう。われわれはその人の瞳に悲しみを読むだろう。彼はわれわれに嘘をついたのだ。その人はもう何者にもひざまずかず、ひざまずかれることも欲しない。その人は本当にボタンを探しはじめるだろう。彼は世の人と同じように、人の木々の、人の細波のなかの風景に静かにとけこんでいく。

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