13話 エピローグは……
灰色髪の男を船に落とした後、私たちはアメリアへ帰還した。
ヒロインは超能力を封じられ、超能力者専用施設に収容された。
今は裁判の時を待っている。
誘拐に殺人未遂に殺人補助とヒロインには多くの罪状がかけられている。
未成年ということを差し引いても、重い罪になるのは確実だ。
何がヒロインをあそこまでゲームだと認識させていたのかは判らないが、早く現実と向き合えるように祈っている。
さて、腹を2発蹴られた伊織は内臓を損傷していたらしい。
帰還後、すぐに医療部隊へ引き渡して治療された。
傷はすぐに治癒されて今は健康体だそうだ。
大事をとって2日学園を休むことになったけど。
現在の私はウキウキ気分。
何故かって?私の手に夢菓子堂のとろとろプリンがあるからだよー♪
これを持って蓮先輩と伊織を訪問するのだ。
「鈴花、機嫌が良いですね」
「当たり前だよー、念願のとろとろプリンだよー」
「はいはい。プリンは逃げませんから」
蓮先輩がノックをして、伊織の寮室の扉を開けた。
鍵を掛けないとは不用心なり。
「伊織ー」
「どうしたんだよ、鈴花に蓮」
「何って夢菓子堂のとろとろプリンを買って来たんだよ」
「お金を払ったのは自分ですが」
「夢菓子堂のとろとろプリン……ああっ」
「どしたの、伊織」
「いや、そう言えば誘拐された時にそのプリン俺も買ったなと思って……」
「え!?独り占めする気だったの」
「いけませんね、伊織」
「ちっがーう!それは……その、鈴花を避けていたから、そのお詫びに」
「あっ、そんなこともあったねー。忘れてた」
「忘れんなよ!」
「その様子だと伊織も忘れていましたよね?」
「都合の悪いことは忘れちゃうのよね、伊織の脳みそは」
「3歩進んだら忘れるんですか」
「……鳥頭、ぷぷっ」
「煩い、ドSコンビ!!」
「「あ゛あ゛ん?」」
「すみませんでしたー」
「伊織、蓮先輩。とろとろプリン食べよう」
「はいはい」
「俺スプーン持ってくる」
「よろしくー」
こうして私たちは日常へと戻った。
あのおかしなコードネームは金輪際、任務で使わないだろう。
でも最後に一回だけ。
<こちら悪役令嬢。これにて任務終了。『ヒロインに乙女ゲームはさせない対策本部』は本日解散となります。以上通信終わり>
~FIN~
あとがきは活動報告にて。
書くのが楽しかったので、そのうち番外編を書こうと思います。
以下登場人物設定
♦雪城鈴花
ゲーム
微弱な力を持つテレポーター。
実家の財力を使い、学園内で横暴の限りを尽くし、とくにヒロインを執拗に苛め抜く。まさに最低女の悪役令嬢。
終盤にはどのルートでも、ざまぁな末路を迎える。
ある意味王道すぎるサブキャラ。
本編
能力:テレポーター
実力はアメリアの攻撃力NO.2、サポート能力NO.1
攻撃力については、手加減をしなければほぼ無敵。
蓮仕込みのバトルスタイルを持つ。
人をあらゆる危険地帯に転移させたり、ビルごと転移させて建物を潰したり、海水を転移させて水没させたり……まじやべぇぇ。
普段の仕事はお偉いさんのタクシーや要人警護が多い。
実家は日本を代表する大企業。
昔はお嬢様な口調だったが、今ではすっかり庶民口調が板についている。
過酷な新人研修を行った蓮とよく判らないが警戒心剥きだしの生意気な伊織とは最初はあまり仲が良くなかったが、現在は仲良し幼馴染に。
デキル女性になることを目指している。
好物はスィーツ類
♦雨宮伊織
ゲーム
世界で唯一の能力を持って生まれた誇りと能力のせいで家族でも一緒に居る事の出来ないことから捻くれて俺様生徒会長になった。
横暴ドSと見せかけて、デレると甘えてくる。
逆ハーENDだとヘタレ男に変身する。
本編
能力:過去追跡
対象の過去を見て、変える能力。
使い方によってはある意味最凶。なんか魔王になれそう。
普段は警察の事件に協力したりしている。
まじやべぇぇその2
自分の前世をうっかり思い出したことで俺様化がストップ。
悪役令嬢の鈴花がアメリアに現れて混乱し、警戒するもゲームとは別人なことに気づき仲良くなり幼馴染に。
蓮とは元々幼馴染だったがそれほど仲がいいとは言えなかった。
鈴花を通して蓮との関係を修復。
また、自分の近くにいても自力で危険を跳ね除けて幼馴染として傍にいてくれる鈴花をとても大切に思っている。しかし精神はお子様レベル。
●ーチ姫体質。
霧島 蓮
能力:パイロキネシス(火使い)
アメリア攻撃力NO.1
芸術は爆発?否、大爆発だ!なヤバイひと。
さらにバトルマニアで色々突き抜けすぎて各国・組織の警戒対象でもある。
普段の仕事は要人警護や戦技教官など
まじやべぇぇぇその3。
ゲーム
己の突出しすぎた攻撃力に悩み、女遊びに走った。
伊織に護衛として渋々学園教師に赴任する。
そしてホスト系教師として女生徒たちのあこがれの存在となる。
リア充爆発しろ
本編
鈴花の新人研修を任されるが、あらゆる難題をクリアする鈴花の姿にバトルマニアとして血が騒ぎ、前代未聞の過酷な新人教育を施してしまう。
そして最強のテレポーターにしてしまった。
鈴花という自分に並ぶ攻撃力を身に着ける存在がいたため、女遊びではなく戦闘にのめり込むようになる。
理系と見せかけて、好意を訓練で表現しようとする脳筋だったりする。
攻撃力の高い能力を持つことを相手に恐れさせないために普段は敬語口調。
伊織と鈴花とは幼馴染だと周りに言っているが、年が離れているため弟と妹という感じに思っている。
♦馴染みトリオ
3人力を合わせれば世界征服も可能――とアメリア内で笑い話として囁かれている。
ちなみに3人に恋愛感情はない。
鈴花はデキル女志望で、伊織はお子様、蓮は18歳以下は対象外なので勝負は鈴花と伊織が高校を卒業してから……かもしれない。
自分と対等に渡り合える存在としてお互いをとても大切に思っている。
♦日向梓
能力:サイコキネシス
中級レベル
ゲーム
純粋無垢ないい子ちゃん、所謂量産型乙女ゲームヒロイン。
本編
純粋な転生者は彼女作中で彼女だけ。
前世では中学生で事故により死んでしまったため、精神が大人ではなかった。
転生してから周りの大人に訳の判らないことを言ってしまい、気味悪がられて両親にはいないものと扱われて愛されずに育った。
そのため、自身が乙女ゲームのヒロインだということと、ゲーム世界なら自分を愛して幸せにしてくれる人たちがいるという思いを支えにして生きてきた。
ゲーム知識をハーメルンに危険性も認識せずに提供、それにより伊織の誘拐を多発させてしまう。
彼女の中ではヒロインである自分が正義であると決められていて、それが揺らぐことは絶対にない。
以上です。




