第二章 朱雀の目覚め 第十六話『朱雀の謎』
空が白み始める頃。
ようやく、篤久の中で荒れていた欲は静まり始めていた。
薬が効いてきたのだろう。
机へ向かったまま一睡もしていなかったが、不思議と疲れは感じなかった。
ただ。
胸の奥に残っているのは、昨夜のミサの姿だった。
泣きながら自分から離れようとしていたこと。
それでも最後には、自分の名を呼んでくれたこと。
「……。」
篤久は小さく息を吐く。
思い出すだけで、口元が緩みそうになる。
それを誤魔化すように、最後の一筆を紙へ落とした。
筆を置く。
書き上げた書状を揃え、二つに分けて紐で軽くまとめた。
一つは政務に関するもの。
もう一つは――。
篤久は一瞬だけ視線を落とす。
そして何も言わず、それを懐へしまった。
残った一束を手に取り、屋敷を出る。
東の空には、すでに朝日が昇り始めていた。
宮廷へ着くと、そのまま皇宮へ向かう。
いつものように刀と書状を預け、侍女へいくつか伝言を頼む。
その中には、今日の予定を調整するためのものも含まれていた。
何より。
辰の刻には、ミサを迎えに行く。
その約束だけは、何があっても違えるつもりはなかった。
謁見を願い出ると、当然ながらすぐに通されることはなかった。
突然の訪問なのだから無理もない。
篤久は待合の間で静かに座り、案内を待つ。
しばらくして。
ようやく使者が現れた。
「東宮様がお待ちでございます。」
篤久は立ち上がる。
そして案内された先は、東宮の間だった。
通された部屋の上座には、まだ誰もいない。
篤久は遠慮なく胡座をかいて待つ。
どうせ今頃。
無理やり起こされている頃だろう。
そう考えていると。
部屋の外から慌ただしい足音が近付いてきた。
それに混じって、薬草を焚いた香りが漂う。
篤久は小さく眉を寄せた。
――相変わらずだな。
東宮は朝が弱い。
それを知っているからこそ、こんな早朝に呼び出した。
しばらくして。
「東宮様の御成りでございます。」
声と共に御簾が上がる。
篤久は正座に座り直し、形式通り頭を下げる。
現れた東宮は、案の定眠そうな顔をしていた。
欠伸を噛み殺しながら歩いてくる。
しかし。
篤久の姿を見るなり、表情を変えた。
「なんだいなんだい。」
口元に笑みを浮かべる。
「こんな朝早くから君に会えるなんて。今日は随分と良い日になりそうだ。」
「東宮様に於かれましては――」
「いい。」
東宮は手を振って遮った。
「そういう堅苦しい挨拶は省略だ。」
「左様ですか。」
篤久は即座に胡座へ戻る。
その迷いのなさに、東宮は呆れたように笑った。
「相変わらず遠慮がないな。」
「東宮様が仰ったので。」
「……そうだけど。」
東宮は肩を落とす。
そして篤久をじろりと見た。
「それで?」
「はい。」
「私の睡眠を妨害してまで呼び出すほどの急用とは何かな。」
篤久は淡々と答える。
「先にお渡ししたものが、本日の朝廷で必要になるかと思いまして。」
その瞬間。
東宮の眠そうな目が変わった。
「持て。」
外に控えていた小姓へ声を飛ばす。
運ばれてきた紙束を受け取ると、東宮は一気に目を通し始めた。
数枚。
さらに数枚。
やがて。
ぴたりと手が止まる。
「……これ。」
東宮は顔を上げた。
「途中じゃあないか。」
「左様ですね。」
篤久は平然と答える。
東宮は深々と溜息を吐いた。
「続きは?」
その問いに。
篤久は懐へ手を入れる。
そしてもう一つの紙束を取り出した。
東宮の視線が、それへ吸い寄せられる。
しばし沈黙。
やがて。
諦めたように東宮が呟いた。
「……何が欲しいんだい?」
篤久は静かに東宮を見つめた。
東宮の問いに、篤久は一切迷わず答えた。
「ミサの情報です。」
「……は?」
間の抜けた声が返ってくる。
東宮は数秒、瞬きを繰り返した。
「……あずから聞いてはいたが。」
ゆっくりと紙束へ視線を落とす。
「まさか、本気で言っているのかい?」
「本気です。」
即答だった。
その迷いのなさに、東宮は額へ手を当てる。
「おいおい……。」
深いため息が漏れる。
「あの娘は、なぎとあずのシノビだぞ。」
「存じています。」
「貴族ですらない。」
「それも承知しています。」
「なら、分かるだろう。」
東宮は困ったように笑った。
「簡単に踏み込める相手ではない。」
篤久は黙って東宮を見る。
その視線に、東宮は苦笑した。
「……本当に分かっていない顔だね。」
「何がですか。」
「君が思っている以上に、あの娘は二人にとって特別なんだよ。」
東宮はゆっくり立ち上がる。
「私ですら知らないことの方が多い。」
「……。」
「なぎも、あずも、あの娘をただのシノビとして扱っていない。」
その言葉に、篤久の瞳が僅かに揺れた。
分かっている。
それは自分も。
だからこそ。
簡単に聞き出すつもりなどなかった。
ただ―――
知らなければ守れない。
「ならば。」
篤久は目の前に置いていた紙束へ視線を落とす。
「これは不要ですね。」
そう言って、ゆっくりと手を伸ばした。
「ちょ、ちょっと待て!」
東宮が慌てて止める。
「……本当に君は容赦ないね。」
篤久は無言で東宮を見る。
しばらく沈黙した後。
東宮は観念したように肩を落とした。
「……ミサについては、私の口から言えないことが多い。」
「なぜです。」
「誓約を交わしているからだ。」
その言葉に、篤久の表情が変わる。
誓約。
魔力を用いた絶対の約束。
互いに決めた事柄を破れば、その事実は必ず相手へ伝わる。
つまり。
東宮は知っていても、口に出来ない。
「二人と……ですか。」
「あぁ。」
東宮は頷いた。
「なぎと、あずと。」
篤久は小さく息を吐く。
ならば無理に聞き出すことは出来ない。
だが。
方法はある。
「では、質問に答えてください。」
「質問?」
「はい。」
篤久は東宮を真っ直ぐ見据えた。
「『はい』か『いいえ』で答えられるものだけで構いません。」
東宮は少し考えた後。
「……それなら問題ない。」
そう答えた。
篤久は一拍置く。
そして。
最も知りたかったことを尋ねた。
「ミサは――」
静かな声が部屋へ響く。
「本当に朱雀の守護者ですか。」
その瞬間。
東宮の表情が固まった。
ほんの僅か。
だが確かに。
驚きが浮かんだ。
数秒の沈黙。
やがて東宮は小さく息を吐いた。
「……なるほど。」
「?」
「そこへ辿り着いたのか。」
東宮は苦笑する。
篤久は答えを急かすように見つめた。
やがて。
東宮は静かに口を開く。
「答えは――」
一瞬の間。
「『いいえ』だ。」
その言葉が落ちた瞬間。
篤久の中で、何かが繋がった。
やはり。
本成の推測は正しかった。
ミサは――。
朱雀の守護者ではない。
篤久は静かに息を吐いた。
予想していた答えではあった。
だが、実際に東宮の口から聞くと、胸の奥に重く残るものがあった。
守護者ではない。
ならば、なぜ。
なぜミサには守護紋がある。
なぜ朱雀の神力を使うことができる。
疑問は消えるどころか、さらに増えていく。
「……では。」
篤久は視線を逸らさず、次の問いを投げる。
「ミサが神力を持つ理由を知っていますか。」
東宮の表情が僅かに変わった。
先ほどまでの軽い雰囲気は消え、静かな沈黙が落ちる。
やがて。
「あぁ。」
短い返答。
「知っている。答えは『はい』だ。」
篤久の瞳が細くなる。
「それは――。」
一拍置く。
「朱雀の死と関係していますか。」
その問いに、東宮はすぐには答えなかった。
視線を落とし、しばらく黙り込む。
まるで、どこまでなら口にしていいのかを考えているようだった。
そして。
「……答えは…『はい』だ。」
静かな声が返ってきた。
その瞬間。
篤久の中で、一つの確信が生まれた。
ミサと朱雀の間には、何か深い繋がりがある。
だが。
分かったことは、ほんの僅かだった。
ミサは朱雀の守護者ではない。
それなのに、神力を使える。
守護紋を持っている。
そして朱雀の死とも関わっている。
「……。」
篤久は黙り込む。
答えを得たはずなのに、手掛かりはまだ霧の中だった。
むしろ、見えてきたものの先に新たな謎が広がっている。
「聞きたいことは以上かい?」
東宮がそう尋ねる。
篤久は一瞬だけ黙った。
そして。
「そう、ですね。」
置いていた紙束を差し出すように前に置く。
「では、最後に一つ。」
「……まだあるのかい?」
東宮は呆れたように眉を下げた。
篤久は構わず、真っ直ぐ東宮を見る。
「今後。」
静かな声だった。
「ミサに、あず姫様との婚約などという話を吹き込むのはおやめください。」
先ほどまでの問いとは違う。
そこには明確な感情があった。
東宮は一瞬目を瞬かせる。
そして、苦笑する。
「……そこか。」
「そこです。」
即答だった。
「おかげで、随分と面倒なことになりました。」
「面倒?」
「ええ。」
篤久は淡々と続ける。
「ミサが余計なことを気にする羽目になりました。」
その言葉に、東宮は小さく息を吐く。
なるほど。
今日の訪問で本当に怒っていた理由は、政務でも朱雀のことでもない。
こちらだったらしい。
「分かったよ。」
東宮は両手を上げる。
「今後は気を付けよう。」
「お願いします。」
篤久は満足したように頷いた。
すると東宮がふと笑う。
「しかし……惜しいね。」
「何がですか。」
「君ほどの人材が、また政に戻ってくれればと思っただけさ。」
篤久の表情は変わらない。
「ありません。」
迷いのない返答。
「そこを何とか。」
「お断りします。」
「まだ何も言っていないんだけど?」
「言うことは分かっています。」
東宮は肩を落とした。
「相変わらず手厳しいな。」
「東宮が諦めないだけです。」
「君が優秀すぎるのが悪い。」
「知りません。」
あまりにも即答され、東宮は思わず苦笑する。
昔からそうだった。
篤久は誰かに媚びることも、立場に甘えることもない。
だからこそ扱いづらく。
だからこそ、誰よりも信頼できる男だった。
「……本当に戻る気はないのかい。」
「ないですね。」
篤久は静かに立ち上がる。
「私はもう藤原の家を出た身です。」
「叔父上は寂しがるだろうね。」
「父上は関係ありません。」
淡々とした返答。
「跡継ぎもおりますし。いずれは貴方の役に立つでしょう。」
「それは何年後だい?」
東宮は本気で嘆いた。
「私は今すぐ君が欲しいんだけどね。」
「お断りします。」
間髪入れない答えだった。
東宮は深々と溜息を吐く。
「……少しくらい考える素振りを見せてくれてもいいと思うんだけど。」
「必要ありません。」
篤久は一礼する。
そして部屋を出ようとした時。
「篤久。」
背後から声が掛かった。
足を止める。
「……怒っているのかい?」
「何にです?」
「ミサに言ったことだよ。」
しばしの沈黙。
そして篤久は振り返らずに答えた。
「そうですね。」
静かな声。
「せっかく、ようやく会えたのに。」
一拍。
「余計な誤解を生んでくれましたから。」
東宮は思わず苦笑した。
やはり。
今日一番の理由はそこだった。
「分かったよ。」
「次からは気を付ける。」
「そうしてください。」
篤久はそう言い残し、今度こそ部屋を後にした。
※ ※ ※
東宮の間を出た篤久は、静かに廊下を歩いていた。
聞き出せたことは、決して多くない。
それでも。
何も知らなかった頃とは違う。
ミサは朱雀の守護者ではない。
本成の推測は正しかった。
ならば、次に考えるべきは――。
なぜ。
守護者ではないミサが、朱雀の神力を扱えるのか。
そして。
なぜ朱雀の死と深く関わっているのか。
東宮の答えは、あまりにも曖昧だった。
知っている。
だが、言えない。
それは誓約によるものだ。
無理に聞き出すこともできない。
「……。」
篤久は足を止め、庭へ視線を向ける。
朝の光に照らされた木々が、静かに揺れていた。
五年前。
ミサは何も語らなかった。
いや。
語れなかったのかもしれない。
自分が何者なのか。
なぜ神力を持つのか。
なぜ朱雀と関わっているのか。
それら全てを、ミサ自身も知らない可能性すらある。
そう考えた瞬間。
胸の奥が僅かに痛んだ。
あの小さな身体で。
どれほどのものを背負っているのだろう。
それでもミサは笑っていた。
いつも。
誰かのために。
自分のことなど後回しにして。
昨夜もそうだった。
自分が傷付いているくせに。
あず姫を裏切りたくないと泣いていた。
「……本当に。」
小さく息を吐く。
「馬鹿だな。」
誰に向けた言葉なのか、自分でも分からなかった。
だが。
そんなミサだからこそ、惹かれたのだと思う。
五年前も。
そして今も。
篤久は歩みを再開する。
今すぐ全ての答えを得ることはできない。
ならば、少しずつでいい。
ミサが自分から話せる時まで待てばいい。
ただ一つだけ。
もう決めていることがある。
「……今度こそ。」
小さく呟く。
五年前のように。
何もできないまま、失ったりはしない。
ミサが何を背負っていようと。
どんな運命を抱えていようと。
必ず隣に立つ。
そう決めた。
その時。
ふと、昨夜のミサの姿が脳裏に浮かぶ。
泣きそうな顔。
それでも笑おうとする姿。
そして。
自分の名を呼んだ声。
『……篤』
その一言だけで。
五年間耐えてきた想いが、全て報われた気がした。
篤久は無意識に口元を緩める。
「……早く迎えに行かないとな。」
今日、約束をした。
ミサと過ごす時間を。
今度こそ。
誰にも邪魔されない時間を。
篤久はその足取りを少しだけ速めた。
※ ※ ※
宮廷の食事処へ向かうと、朝から賑やかな声が響いていた。
その声の主は、見なくても分かる。
篤久が中へ入ると、案の定、新太が山のように盛られた飯を前に豪快に食事をしていた。
「篤久か。」
新太は顔を上げると、口元を拭いながら笑う。
「朝から珍しいな。」
「そうか?」
篤久は少し離れた席へ腰を下ろした。
すぐに給仕の女官が近付いてきたが、篤久は静かに手で制する。
女官が少し残念そうに下がっていった。
その様子を見て、新太が苦笑した。
「まだ駄目か。」
「最悪だ。」
短い返答。
新太は事情を知っているだけに、それ以上は深く聞かなかった。
新太は箸を置き、少しだけ真面目な顔になる。
「無理すんなよ。」
「分かっている。」
「ならいい。」
それ以上、新太は何も言わなかった。
余計なことを言わないところが、こいつの良いところでもある。
篤久は小さく息を吐く。
「だから、その借りを返す。」
「は?」
新太が顔を上げる。
「今日の巡回、代わる。」
「……珍しいこともあるもんだな。」
新太は目を丸くした。
「篤久が自分からそんなこと言うとは思わなかった。」
「貸し借りは嫌いだからな。」
そう答えながら、篤久は庭先へと視線を向けた。
本当の理由は別にある。
今日はミサとの約束がある。
少しでも長く一緒にいたい。
だが、今の自分では近くにいるだけで平静を保てる自信がなかった。
だからこそ、別の目的を作る。
それが今できる最善だった。
「じゃあ頼んだ。」
新太はそう言って笑う。
「これで貸し借りなしだ。」
篤久はそう言って立ち上がる。
新太は嬉しそうに笑った。
「助かる。」
それだけ言うと、篤久は食事処を後にした。
廊下へ出る。
女房たちの部屋が並ぶ一角を歩いていた時だった。
「藤原様。」
聞き覚えのある声に呼び止められる。
篤久は足を止めた。
その瞬間。
周囲の空気が僅かにざわつく。
普段の篤久なら、女房に呼び止められても立ち止まりすらしない。
必要な言葉だけを交わし、そのまま通り過ぎる。
それほどまでに、他人への関心が薄い男だった。
だからこそ。
今、足を止めたことが珍しかった。
近くにいた女房たちが、何事かと御簾の向こうへ視線を向ける。
「なほどの。おはようございます。」
御簾の向こうには、なほの姿があった。
「御簾越しから申し訳ございません。あの……」
なほは少し言葉を選ぶように間を置き、御簾の下から一通の文を差し出した。
篤久はそれを見た瞬間、すぐに察した。
新太宛てだ。
なほと文を交わしている相手は、篤久の知るところ一人しかいない。
新太は、なほへ何度も文を送り続けていた。
最初の頃は返事すら貰えなかったらしい。
それでも諦めることなく送り続けた結果、最近になってようやく返事を受け取れるようになったのだと、以前嬉しそうに新太が話していた。
ただ、なほはなぎの上付きの女房。
不用意な噂を立てるわけにはいかない。
そのため、こうして人を介して文を交わしているのだろう。
篤久は何も言わず、その文を受け取った。
「なぎの上様からですか。」
先にそう尋ねる。
「……はい。」
なほは小さく答えた。
もちろん、それが本当ではないことは互いに分かっている。
けれど、篤久は何も言わなかった。
余計なことを口にしない。
それが新太となほ、二人への気遣いだった。
「ありがとうございます。」
「こちらこそ……ありがとうございます。」
御簾の向こうから、安堵したような声が返ってくる。
篤久は少し考えた後、口を開いた。
「あの、なほどの。」
「はい?」
「筆と紙をお借りしても?」
珍しい頼みだった。
なほは一瞬驚いたようだったが、すぐに何かを察したように答える。
「少々お待ちくださいませ。」
ほどなくして、筆と紙が差し出された。
篤久はその場で膝をつき、迷いなく筆を走らせる。
書き終えると、紙を丁寧に折り畳んだ。
「こちらを、なぎの上様とあず姫様へお渡しください。」
「かしこまりました。」
なほは文を受け取る。
もちろん、本当に二人宛てではないことは分かっている。
それでも互いに余計なことは口にしなかった。
それが優しさだった。
「よろしくお願いします。」
「はい。お任せくださいませ。」
篤久は軽く頭を下げ、その場を後にした。
そして再び食事処へ戻る。
「ん?」
新太が顔を上げる。
篤久は何も言わず、懐から一通の文を取り出し、新太へ放った。
慌てて受け取った新太は、その折り方を見るなり目を輝かせる。
「なほどのからか!?」
「さぁな。」
篤久は興味なさそうに答える。
「自分で読め。」
それだけ言い残し、篤久は踵を返した。
背後から聞こえる新太の声を聞きながら、廊下を進む。
向かう先は自室。
約束の時間までは、まだ少し余裕があった。




