protocol 11 : ギルド緊急依頼 ーダンジョン”捕食森林”の調査・鎮圧ー
ギルド「英雄の集い」。
依頼書が掲示板に貼り出されたのは、夜明け前だった。
朝になってギルドに集まった冒険者たちは、それを見た瞬間に足を止めた。
一人が読み始め、次の一人が後ろから覗き込み、
気づけば掲示板の前に人だかりができていた。
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緊急依頼:ダンジョン発生
依頼人:ギルド「英雄の集い」およびギレーネ・ブロンズ侯爵
報酬:二千万マナ
場所:アイアンレッド魔導演習隔離区域
ダンジョン名:「捕食森林」
依頼内容:ダンジョン「捕食森林」の調査・鎮圧
ギルド初期調査結果:
該当エリアにて、樹木等の植物および動物の
急激な魔物化現象が確認された。
バートランド聖王国が制定した規定値以上の魔物化が
確認されたため、ダンジョンに認定。
ギルド職員による周辺エリアの調査により、
魔物化した植物が多数の蔦状の触手を用いて
動物および動物型魔物の捕食を行うことが確認された。
なお、ダンジョン発生時特有の現象である、
魔法不発現象が確認されている。
魔法の再使用が可能になるまでには、他のダンジョン同様
ある程度の時間を要すると推測される。
探索時には非魔法装備の持ち込みが必須。
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人だかりの中から、声が上がり始めた。
「アイアンレッド魔導演習隔離区域って、あのブロンズ家の土地だろ?」
「魔導演習用の土地と聞いているが、実際何が行われているか、何の情報もねえ」
「危険な魔法実験でもしてたんじゃないの?」
「あんまり滅多なことは言わないほうがいいぜ」
別の冒険者が声を潜めた。
「貴族様に目をつけられたらどうなるか分からん」
「ああ、嗅ぎ回っていた情報屋のトムのやつも、先月から行方不明になったとか」
「にしても、報酬二千万マナか。しばらく働かなくてもいいな」
「その分、危険ってことだろ。
なにしろ、ダンジョン発生時特有の魔法が使用できない領域に
なっているみたいだしな。魔導士が役に立たないとなれば、
死者が出るのは時間の問題だ」
ざわめきは続いたが、依頼書に手を伸ばす者はいなかった。
二千万マナという数字が、危険の大きさを正直に物語っていた。
報酬が大きいほど、死に近い。
それはこの街の冒険者たちが、体で知っていることだった。
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アイアンレッド魔導演習隔離区域 外縁。
区域の境界線に近づくにつれ、空気が変わった。
湿気が増し、草の匂いに何か別の臭気が混じり始める。
腐敗ではない。もっと生臭い、生き物の体液に近い匂いだ。
境界を越えた瞬間、それは目に見えた。
森林の縁が、変容していた。
木々の幹に黒紫色のカビ状のものが這い、
幹から幹へと伝播しながら広がっている。
侵食された木は脈動するように表面が波打ち、
枝が不自然な方向へ曲がっていた。
地面からは無数の細い触手が伸び、
風もないのにゆらゆらと揺れている。
いつ獲物が来てもいいように。




