season1 第20話!!「来れたね」 (最終話)
これは実際に経験した中学の頃の経験をもとに書いた小説です。「全20話」
*"あの日、私はやっと分かった。居場所は、最初からそこにあるものじゃない。誰かと一緒に、少しずつ見つけていくものなんだ。"
卒業式の前日。
私は養護の先生の前に座っていた。
明日は卒業式。
みんなと一緒に式に出る。
教室にも行く。
そう決めていたはずなのに、胸の中はずっと落ち着かなかった。
「みんなの中に入りたい。」
その気持ちは、ずっとあった。
友達と同じように笑いたい。
最後くらい、みんなと一緒に過ごしたい。
でも――
「どうして私はできないんだろう。」
そんな気持ちもあった。
私はとうとう、養護の先生の前で泣いた。
「……みんなの中に入りたいのに。」
先生は何も急かさず、そばにいてくれた。
「うん。」
「でも、入れない自分が嫌です。」
涙が止まらなかった。
中学一年生の頃。
教室に入れなくなった私を、先生たちは待ってくれた。
中学二年生。
別室で過ごす私に、新しい先生たちが声をかけてくれた。
中学三年生。
私は毎日学校へ行き、教室で授業を受けられるようになった。
それでも、全部が簡単になったわけじゃなかった。
「明日、無理にみんなの中に入らなくてもいいんだよ。」
担任の先生もそう言ってくれた。
「でも……。」
私は涙を拭いた。
「家族も、友達も、私が最後はちゃんと出るって思ってるから。」
先生は少し黙ってから言った。
「Amiがどうしたいかが、一番大切だよ。」
その言葉を聞いて、また涙が出た。
私はずっと、
「頑張らなきゃ。」
と思っていた。
でも先生たちは、
「無理しなくていい。」
と言ってくれる。
その言葉が、今の私には必要だった。
そして、卒業式当日。
私は朝早く学校へ向かった。
まだ誰もいないような校舎。
静かな廊下。
見慣れた別室。
何度も座った椅子。
先生たちと話した場所。
全部が、今日で最後になる。
最後の面談で、担任の先生が私を見て言った。
「Ami、今日どうする?」
私は少し考えた。
「……最後のクラスの時に入ります。」
先生は笑った。
「うん。それでいいよ。」
そして、最後にこう言ってくれた。
「自分が今頑張れることをすればいい。」
その言葉を胸に、私は式へ向かった。
式典は体育館の上から別室の先生と見ていた。
式典が終わった。
そして、私はみんなと一緒に教室へ向かった。
扉の前で、少しだけ立ち止まる。
怖い。
でも――
一歩、踏み出した。
教室に入る。
先生がこちらを見た。
その表情は、今まで見たことがないくらい嬉しそうだった。
私は教卓の前まで歩いた。
そして、自分から卒業証書を受け取りに行った。
先生は私を見ながら、少し泣きそうな声で言った。
「……来れたね。」
その言葉を聞いた瞬間、胸がいっぱいになった。
中学一年生の春。
教室に入れなかった私。
中学二年生。
授業を受けられず、別室で過ごしていた私。
中学三年生。
毎日学校へ行けるようになった私。
そして今日。
私は、自分の足で教室に入った。
完璧じゃない。
何もかも克服したわけじゃない。
それでも――
ここまで来た。
先生たちが、何度も待ってくれた。
何度も声をかけてくれた。
何度も「大丈夫」と言ってくれた。
その一つ一つが、私をここまで連れてきてくれた。
卒業証書を抱えながら、私は先生を見た。
「……ありがとうございました。」
先生は笑っていた。
泣きそうな顔で。
私も笑った。
ずっと一人だと思っていた。
居場所なんて、どこにもないと思っていた。
でも、違った。
廊下にも。
狭い別室にも。
保健室にも。
そして、最後には教室にも。
私の居場所は、ちゃんとあった。
先生たちが一緒に作ってくれた場所だった。
あの日の私は、居場所を探していた。
そして今。
私はようやく、その場所を見つけた。
――ありがとう。
私を見つけてくれた先生たちへ。
そして、
ここまで歩いてきた私へ。
「ちゃんと、ここまで来れたね。」
この物語には、私が中学生の頃に実際に経験した出来事や、そのとき感じていた気持ちが込められています。
もちろん小説として表現を変えている部分もありますが、「居場所が見つからなかったこと」「先生たちが何度も寄り添ってくれたこと」「少しずつ心を開けるようになったこと」は、私にとって本当に大切な時間でした。
この作品を読んでくださった方の中に、もし今つらい思いをしている人がいたら、「一人じゃない」と少しでも感じてもらえたら嬉しいです。
そして、私が出会った先生たちのように、誰かにそっと寄り添える人が増えたらいいなと思っています。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。
次回中学1年生編ーー
お楽しみに!




