↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10年の眠りから覚めたら、助けた少年が執着侯爵になって激重な愛を注いできますっ!  作者: 越智屋ノマ@10/8書籍発売『兄王陛下』/コミカライズ進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
24/37

第24話:盛大な勘違い/幕間

――ここはアルシュバーン侯爵邸にある使用人専用の食堂だ。


「今日は本当にびっくりしたわ。まさかシスターが、レイとのリハビリまで嫌がるなんて」

ミモザはテーブルに肘をついて、がっくりとうなだれていた。テーブルに置いたワインのグラスを見つめて、頭の痛そうな顔をしている。

「本当ね……」

「やっぱり、王太子殿下の話を聞かれちゃったのがマズかったよね……」

ローゼルとアニスも、ワインを飲みつつ重たい溜息をついた。


食堂にいるのは、この3人だけではない。

ミリュレー修道院から引き抜かれた仲間たちが、毎月恒例の『夜中のお疲れ会』と称して一堂に会している。


落ち込む侍女3人の対面に座っている、明るい髪色の青年が声をかけた。

「おい、お前ら暗いぞ! 過ぎちまったことは仕方ねぇって!」


その隣で、ビールをちびちびと啜っていた執事のフェンネルが口を挟む。

「……セージが明るすぎるんですよ。シスターがレイと結婚してくれなかったら、この侯爵家はおしまいです」

「レイが何とかするって。あいつの諦めの悪さは、皆もガキの頃からよく知ってるだろ?」

ほろ酔いのセージはどこまでも明るい。


「あんたね……少しはシスターの立場で考えてみてよ。自分が寝ているうちに、勝手に結婚式の準備まで進められてたのよ?」

「泣いてたもんね。全然嬉しそうじゃなかったし」


そう。

誰も気付いていない――エルダが盛大な勘違いをしているということに。

エルダは『ラファエルが愛しい人との結婚式の準備をしている』という話を聞いたが、その『愛しい人』が自分だとは気づいていないのだ。



「……でも私、ちょっと不思議なのよね」

ミモザが、首を傾げている。

「本当にレイが嫌いなら、はっきり拒否すると思うの。『聞かなかったことにする』っていうのが、どうも煮え切らないというか……」


「だったらいっそ、シスター本人にはっきり聞けばいいじゃねえか」

セージが言うと、ミモザたちはそろって「「「ダメよ!」」」と声を上げた。


「ショックで呪いが再発したらどうするの!?」

「そりゃそうだけど。いつまでも伏せてるのも無理があるっつーか。必ず再発する訳じゃねえんだろ?」

「可能性があるんだから、怖くて聞けないわ」

そう言うと、ミモザは俯いて身震いした。


「シスターの呪いが再発したとき、私は目の前にいたの。……すごく怖かった。二度と目覚めてくれなかったらどうしようって」

涙声になるミモザを見て、セージは申し訳なさそうに口を閉じた。


「もう、あんな思いしたくない。だからレイも慎重になってるんだわ……」

「分かったよ。軽はずみに言って悪かった」

しんみりと、場が静寂に包まれる。


やがて空気をとりなそうと、フェンネルが立ち上がった。

「みんな。ともかく、落ち着きましょう」

あごに手を添えながら、思案する表情で彼は続ける。

「今までの様子から察するに、シスターはレイを嫌ってはいないはずです。しかし、『まだ結婚を考えられる心境ではない』というのが実際のところなのでは?」

「あー……。たしかに」

みんなは、合点のいった顔をした。


女性陣のひとりが、ぽつりとつぶやく。

「シスターったら、素直に落ちちゃえばいいのに」

ほかの女性たちも、うなずいていた。

「そうね。レイはいろいろ歪んでるけど、まあ、いい男だし?」

「あれだけ一途に愛してくれる男って、そうそういないと思うわ」

「腹黒くてしつこいけど、いい奴だよね」

「うん」

その場の全員が、互いに顔を見合わせた。それぞれのグラスに酒を注ぎ直し、気合を入れて乾杯し直す。


「ともかく新生アルシュバーン侯爵家のためにも、あの二人には幸せになってもらわなければ。がんばりますよ、皆!」

「「「「「「「「「「「「おー!!」」」」」」」」」」」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。