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観測余録 ― 第四記録、接続完了
事件後の中央記録塔。
主弁は閉じられ。
《レギストラ》は、暗い出力室で沈黙していた。
人の気配はない。
それでも。
圧力式印字機の排出口から、一枚の黒い穿孔票が滑り落ちた。
票面には、銀色の文字が二つ。
レオン=クラウス。
ノクス=モリアン。
黒い手袋をした小さな手が、床へ落ちる前に票を受け止めた。
黒い車掌礼装。
深紫の帯を巻いたシルクハット。
細身の杖。
ドワーフの姿を借りた、妙に端正な男が。
誰もいないはずの出力室に立っていた。
エル=ネフリドは、二つの名前を確かめる。
真鍮の鋏を開き。
その中間へ、一つの穴を穿った。
――ぱちん。
「探偵役、照合」
鋏を閉じる。
「教授役、照合」
黒い票を照明へ透かした。
一つの穴から差した光が。
二人の名前へ、同時に触れる。
「第四記録、接続完了」
エル=ネフリドは票を黒い外套へ収めた。
「殺人記録、収束」
わずかな間。
「対照記録、開始」
次の瞬間。
出力室には、誰もいなかった。
扉は閉じたまま。
床にも、足跡はない。
停止したはずの《レギストラ》の奥で。
歯車が一度だけ。
かすかに動いた。
そして。
一枚だけ。
まだ何も記されていない白い記録票が。
ゆっくりと、排出口から送り出された。




