表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
4/4

後日談

 −−正式に王太子と結婚し、未来の王妃となったエレナの朝は、一本の丁寧なスープの仕込みから始まります。


 コトコトと音を立てる鍋からは、香ばしいハーブと厳選された地鶏、そして野菜の旨味が凝縮された、文字通り「黄金色」の湯気が立ち上っていました。


「ふふ、今日も完璧な出来栄えですわ」

 味見をしたエレナが満足げに微笑んでいると、背後から力強い腕がそっと彼女を抱きしめました。


「おはよう、エレナ。朝から君の料理の香りで目が覚めるなんて、僕は世界一の幸せ者だな」

 耳元で囁いたのは、夫となったユリウスです。


「おはようございます、ユリウス様。もう、仕込みの最中ですから危ないですわ」


「いいじゃないか、夫婦なんだから。それに、君のスープを毎朝飲むようになってから、僕の体調は万全そのものだし、公務の効率も上がった。我が国の重臣たちも、君の『健康管理』の素晴らしさに、全員が最敬礼しているよ」


 かつてミゼルに「可愛げがない」「口うるさい」と言われたエレナは、この国では「至高の賢妻」として、称賛されていたのです。


 そこへ、お茶の準備を持ってきた執事のヘンリーが、クスクスと笑いながら話しかけてきました。


「エレナ様、ユリウス殿下。本日はミゼル様の国から『風の噂』が届いておりますが、お聞きになりますか?」


「ああ、相変わらずかい?」

 ユリウスが尋ねると、ヘンリーは肩をすくめました。


「はい。ミゼル様は幽閉先で、毎日出される普通の食事を『マズい、エレナのスープを出せ!』とひっくり返し、完全に孤立しているそうです……今や、普通の食べ物を受け付けず、日に日に干からびているとか」


「……哀れなものだな。自分を支えていたものの価値に、失ってから気づくとは」

 ユリウスは冷ややかにそう切り捨てると、すぐに愛しい妻へと視線を戻します。


「そんなことより、エレナ。今日の夜は久しぶりの二人きりの晩餐だろう?食事の後に、僕が君にマッサージで癒してあげる番だ」


「あら、ユリウス様の指圧マッサージは、まだまだ見習い……本当に私を満足させられますの?」


「ああ、エレナが癒やされるまで挑戦するさ。言っただろ、僕の生涯をかけて君を愛し、幸せにするって」


 

 エレナは顔を赤くし照れながら、少し悪戯っぽい顔で小首をかしげました。


「ふふ、ユリウス様。もう一度伺いますわ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ