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狐さんと行く歴史探索  作者: 貝石箱
中二、最強説ホラー

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閑話①.名前検索ホラー

ちょっと、ひとやすみです。閑話なるものを書いてみました。本編とは関係ない感じのやつです。


 よくネットで自分の名前を検索したら……ってホラーありますよね?

 僕もそれ、試してみたんですけど……。


 自分の名前を検索したら「山田項君を愛でる会」という匿名のネット掲示板を見つけてしまったんです。

 恐る恐るそのスレッドを開くと、そこにいたのは「毛」「竹」「墨」「海女」「咲」という、僕のプライベートに詳しい住人たちでした。


 これは、僕の知らないところで繰り広げられていた、あまりにもコミカルで、ちょっとだけ恐ろしい(?)ネット板の記録です。






掲示板『山田君を愛でる会 其の十七』


1:毛

本日の山田君報告。歴史探索部の部室に隠してあった、お徳用パックのチョコをつまみ食いしていました。相変わらずのつまみ食い、実にかわいいです。


2:竹

それ、私が部室に置いておいたやつ。山田、相変わらず罠にかかるのが早すぎ。まるで猪。でも、美味しそうにモグモグしてる顔は、確かにちょっとだけ、ほんのちょっとだけ癒やされるかも……。


3:海女

あら、竹さん素直じゃないわねぇ。でも山田君、最近ちょっと歴史の勉強を頑張りすぎじゃないかしら? 昨日も放課後、図書室で資料を読みながら「うーん」って頭を抱えてたわ。先生、そんなに難しい課題を出した覚えはないのだけれど。


4:墨

海女先生、それはきっと私のせいです……。私が昨日、神社の古い縁起物の資料を「これ、解読できたら面白いよ」って、ちょっとドヤ顔で渡しちゃったから……。山田君、私の期待に応えようとして、夜遅くまで目をこすりながら頑張ってくれたみたい。……健気、尊い……。


5:咲

まぁまぁ! 墨ちゃん、それは山田君をこき使いすぎよぉ? でも、人のために一生懸命になっちゃうのが山田君の良いところよね。あ、安心しなさい。昨日の夜、うちの墨が夜更かししてる山田君のために、特製の夜食(おむすび)を差し入れに行かせたから!


6:竹

ちょっと待って、咲さん!? 墨に夜食の差し入れに行かせたって、それ夜中に男の家に行かせたってこと!? 防犯意識どうなってんのよ!


7:毛

竹さん、落ち着いてください。我が情報網によると、山田君は玄関先でおむすびを受け取った瞬間、嬉しさのあまり犬のように尻尾を振る勢いで感謝していたそうです。そして墨さんは顔を真っ赤にして逃げ帰った模様。


8:墨

毛さん、それ以上は言わないで……! 恥ずかしすぎて、思い出すだけでお湯が出そう……。


9:海女

ふふ、青春ねぇ。でも山田君、おむすびを食べた後、ものすごい勢いで勉強を再開して、結局課題を全部終わらせたらしいわよ。今日の授業、ものすごいドヤ顔で提出してきたもの。「先生、できました!」って。あのキラキラした目がたまらないわ。


10:咲

まぁ! やっぱりうちの娘の愛情おむすびが効いたのね! 山田君、もううちの婿養子に来てくれないかしら。毎日美味しいご飯を作ってあげるのに。


11:竹

咲さん、気が早すぎる! っていうか、墨も咲さんも、山田を甘やかしすぎ! あいつはちょっと叩けば響くタイプなんだから、もっと厳しく、こう、スパルタ教育を叩き込まないとダメなのよ!


12:毛

竹さん。そう言いながら、今日の昼休み、山田君が購買の焼きそばパンを買い逃して落ち込んでいた時、自分の分のサンドイッチを「余ったからあげる」って無造作に投げつけていましたよね?


13:竹

なっ……!! 毛、なんでそれ知ってんのよ!?


14:毛

私は常に、山田君の観察を怠りません。それが「愛でる会」の筆頭としての義務ですから。ちなみに山田君は「武田さん、ツンツンしてるけど実は女神かも……」と涙目を流しながらサンドイッチを拝んで食べていました。


15:竹

め、女神って……あいつ、アホじゃないの……(赤面)


16:海女

あらあら、竹さんもすっかり山田君の魅力にやられてるわね。でも本当に、山田君がこの部活に来てくれてよかったわ。彼がいるだけで、なんだか毎日が退屈しないもの。


17:墨

はい……。山田君がいると、歴史探索が、何倍も楽しくなります。


18:毛

同感です。さて、そろそろ放課後の部活の時間ですね。本日のターゲット(山田君)が部室に向かっているのを確認しました。


19:竹

よし、全員、何食わぬ顔で部室に集合ね! 山田にこの板のことがバレたら承知しないから!




 ……と、書き込みはここで途絶えていました。


 僕はスマホを握りしめたまま、冷や汗を流しました。

 毛(毛利さん)、竹(武田さん)、墨(住吉さん)、海女(尼子先生)、咲(住吉さんのお母さん)。完璧に、僕の周りの歴史探索部のメンバーです。


「――あ、山田君! やっと来た。遅いよ!」


 部室のドアを開けると、武田さんがいつも通りのツンとした顔で僕を睨んできました。その横で、住吉さんがノートで顔を隠しながら、耳まで真っ赤にしています。毛利さんはノートパソコンをパチパチと叩きながら、不敵な笑みを浮かべていました。


「あ、あの……みんな、何してるの?」

「何って、歴史の調べ物です。山田君、今日もたっぷり『探索』しましょうね?」


 毛利さんの目が、怪しく光った気がしました。



 ネットのホラーよりも、現実の部室の方が、よっぽど心臓に悪いと思う項なのだった。




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