第9話 日経平均が急落した日----何もしないという判断
2026年10月15日。
日経平均株価が、大きく下落した。
終値は6万4,425円95銭。
前日から3,318円34銭安。下落率は4.90%だった。
市場には、AI・半導体関連株への警戒が広がっていた。
株式市場全体が売られる。
こういう日は、保有株が心配になる。
明日は、もっと下がるのだろうか。
今のうちに売ったほうがいいのだろうか。
それとも、安くなったところで買い増すべきなのか。
投資をしていれば、そんなことを考える日もある。
ところが、この日。
僕の保有株は、日経平均とは違う動きを見せた。
日経平均が急落するなか、僕の保有株は幅広く上昇した。
そして、含み益は過去最高の約920万円に達した。
翌16日には、930万円になった。
市場全体が大きく下がっているのに、僕の資産は増えていた。
不思議なものだ。
以前から、日経平均が下がっても、僕の保有株が上がることはあった。
ただし、それを狙って銘柄を選んだわけではない。
僕が考えていたのは、長く持ち続けられる企業を選ぶことだった。
安く買って、長く持つ。
配当をもらう。
高値で売る技術がないなら、売り時に悩まなくて済む投資を考えればいい。
そう考えて銘柄を選んできた。
結果として、日経平均とは違う動きをすることもあった。
今回も、そうだった。
もちろん、今回の結果が、次も続くとは限らない。
保有株が市場全体の下落に強いと決まったわけでもない。
相場の状況が変われば、これまでとは違う動きをすることもある。
だから、この結果だけで安心するつもりはない。
では、日経平均が急落したとき、僕はどうすればいいのだろう。
買い増すべきか。
それとも、現金を残しておくべきか。
あるいは、何もしないのか。
株価が下がれば、安く買えるチャンスに見える。
でも、下がったからといって、必ずしも割安になったとは限らない。
企業の利益が落ち込むのであれば、株価が下がっても、まだ高い可能性がある。
反対に、市場全体の不安で売られただけなら、長期投資家にとって買い場になることもある。
大切なのは、株価の下落だけで判断しないことだ。
企業の業績はどうなのか。
配当を維持できるのか。
財務に問題はないのか。
そして、今の株価は企業の価値に見合っているのか。
そこを確認したうえで、買うかどうかを考える。
もちろん、買い増すための現金を残しておくことも、一つの判断だ。
急落したからといって、必ず行動しなければならないわけではない。
何もしないという選択も立派な投資判断だと思う。
僕は、短期間で利益を出すために投資をしているわけではない。
配当を積み重ね、将来の年金に上乗せすることが目的だ。
だから、日経平均が大きく下がったという理由だけで、投資方針を変える必要はない。
もちろん、保有企業の業績や配当の前提が崩れたなら、話は別だ。
そのときは、売却も含めて考え直す。
放置することと、何も考えないことは違う。
市場が急落した日も、普段と同じように企業を見る。
そして、自分の投資目的を確認する。
その結果、買う理由がなければ買わない。
売る理由がなければ売らない。
それでいい。
今回の経験で、改めて感じたことがある。
市場全体の動きだけで、自分の投資を判断する必要はない。
株価が上がる日もあれば、下がる日もある。
予想どおりに動くこともあれば、予想外のことも起きる。
だからこそ、目先の値動きだけに振り回されないようにしたい。
「放置」は、何も考えないことではない。考えたうえで、動かないことも選べるということだ。
安く買う。
長く持つ。
配当をもらう。
そして、必要なときには考え直す。
日経平均が急落した日も、僕の投資の基本は変わらなかった。
それが、僕なりの「投資は放置」だった。




