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海の音が聞こえる  作者: 渡白 斐陽
星も積もれば宙になる
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22/28

2章6話「良かったじゃん」




 4月の4週目。そろそろ部活を決めなきゃって時。


 今日はどの部活に行こうかってなっちゃんと話してたら、クラスの坂下くんに呼び出された。


 なんだろうって思ったら、告白だった。私はびっくりして何も言えなくて、何も答えられないままなっちゃんの元へ戻ってきた。


「坂下、なんだって?」


「……告白された」


「告白ぅ? 脈もないのによくやるわ」


 呆れた顔でお弁当の卵焼きを食べるなっちゃんが、急に何か思いついた顔をする。


「吉野に話してみなよ」


「ケンちゃんに!?」


「それなら吉野も流れで告りやすいしょや」


 あのケンちゃんから、告白? 信じられない。でもこの前なっちゃんが言った通りの反応をしてたし、またその通りになるのかな。


 そうなったら、私とケンちゃんは付き合うことになっちゃうんだ。想像つかないけど。


「……なっちゃんは、その方が良いんだよね」


「なんべん同じこと言わせんのさ」


「……わかった。今日、ケンちゃんに話してみる」




 なんて流れで、ケンちゃんに告白されたことを伝えることに決めたんだけど。


 いざ防波堤でケンちゃんと会うと、なかなか切り出せない。すごく恥ずかしいし、ちょっと怖かった。


「ケンちゃん。あのさ」


「うん。どうしたの?」


「今日さ……」


 私はケンちゃんの顔が見れなくなって、膝を抱えて俯いた。どうしよう。ケンちゃんと付き合うことになったら。何か変わっちゃうのかな?


「今日、学校でさ……」


 でも、言わなきゃ。なっちゃんはきっと、もっと怖い思いをたくさんしてきたんだから。


「……告白、された」


 ケンちゃん、なんて言うんだろう。ドキドキしながら待ってたら、返ってきたのは素っ気ない言葉だった。



「良かったじゃん」



 なっちゃん、話が違うよ。ケンちゃんは私が告白されても、なんとも思ってない。止めてもくれないよ。


「で、誰にされたの? 僕の知ってる人?」


「高校のクラスメイトだから、知らない人」


「そっか」


 ケンちゃんは私から顔を背けてしまった。


 でも、なっちゃんの予想が外れたって決めつけるのは早いかもしれない。私がもう少し、ムードを作らなきゃいけないのかも。


「ねえケンちゃん。私、どうしたらいいと思う?」


 これなら、ケンちゃんは流れで告白してくれるかな。なっちゃんが言ったみたいに。そんな期待をしたけど、ケンちゃんは冷たく言った。


「どうして僕に聞くの。自分で考えないとダメだよ」


「――なして止めてくれないの……」


 思わず、口から醜いセリフが溢れる。でもその瞬間、大きな波の音が辺りに響いた。私の声をかき消してくれたようだ。ケンちゃんに聞かれなくて良かった。


 波の音のあと、私たちはお互いに黙っていた。


 そっか。ケンちゃん、私のこと好きじゃないんだ。告白がどうとか両思いがどうとか、全部なっちゃんの勘違い。


「今日はもう帰るね」


「そう? じゃあ僕も帰るよ」


「また明日」


「うん、また明日」


 お別れを言ったあと、最近の習慣でケンちゃんの背中を覗き見した。今日は綺麗な物がなんにも見えない。


 私ももう帰ろう。そう思った時。


「えっ、うみちゃん? 何してるの!」


 ケンちゃんが振り返ったんだ。今日に限って。


「ケンちゃんこそ、なしたの!」


 今日はケンちゃんの顔、見たくなかったなぁ。


「……ケンちゃん、いつもは振り向かないくせに!」


 そのあとのことは、あんまり覚えてない。記憶に残ってるのは、この日の空に星ひとつなかったことだけ。


 少しずつケンちゃんの特別な瞳に近づいてたつもりだったけど、もうなんにも見えなくなってしまった。




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― 新着の感想 ―
うぐぅ………:(っ;ὢ; c): うぐぅ…(´つД⊂)ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛
ああ...すれ違いが...やんなっちゃうってばよ............ なんて...こと....
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