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海の音が聞こえる  作者: 渡白 斐陽
星も積もれば宙になる
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2章2話「ずーっと応援してたんだかんね」




「吉野と違う高校になって寂しいねぇ、宇美」


 高校の入学式を終えた、帰り道。一緒に帰っていたなっちゃんが、私をからかうように言った。


「うーん……寂しい、のかなぁ」


「防波堤で会えるから、寂しくないって?」


 なっちゃんは幼稚園の時からずっと、私の一番の友達。だからケンちゃんと私がいつも防波堤の上でおしゃべりしていることも知ってる。


「うん、そうかも」


「ほんと、あんたたちはすごいよね。毎日よくやるわ」


「家が近いから、だよ」


「なわけあるかい。両思いじゃなきゃ続かないべさ」


 私の頭をポンっと優しく叩くなっちゃん。いつからか忘れちゃったけど、なっちゃんは私とケンちゃんが両思いだって言ってくる。


 ケンちゃんが私を好きだって言ったことはないし、私もケンちゃんを恋愛的な意味で好きって思ったことはないのに。


 なっちゃんの方が、ケンちゃんを好きに見えた。


 なっちゃんとケンちゃんが同じクラスになった、中学2年生の時。ずっとショートヘアだったなっちゃんが髪を伸ばし始めた、あの時から。


「ケンちゃんのこと好きなのは、なっちゃんでしょや」


「だーかーらー、違うって!」


 どれだけ追及しても、なっちゃんは認めないけど。私がケンちゃんと仲良くしてるから、遠慮してるんだろうな。優しい子だもん。


 私はそういうなっちゃんの優しさを、どう返していいのかわからなかった。


「したら、私とケンちゃんが付き合ったらどうする?」


「なんまら喜ぶ! ずーっと応援してたんだかんね」


 なっちゃんの笑顔はいつも眩しい。ピカピカって光ってて、直視できない太陽みたい。だからそこに嘘が隠れているかもわからないんだ。


「吉野が早く告ればいいのに」


 押していた自転車に跨って、なっちゃんが手を振る。


「したっけね! 今日も吉野と楽しんできな!」


 私が何か返事をする間もなく、赤い自転車は港の方へ去っていった。早く前に進みたいって気持ちが、ペダルを漕ぐ足に表れてる気がした。




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― 新着の感想 ―
自分の好きな人と親友が両想いなのはどこからどう見ても明白。 届かないとわかっているけれども消えない、好きという気持ち。 自分の気持ちを振り切る為に二人をくっつけようとしていた面もあるのかもしれません…
なっちゃん(河口)見てると、苦しい... 直視できない輝きに隠れてしまう嘘...こういうの見るといっちゃん心がくるし...うおお... 続き楽しみです。。。
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