↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海の音が聞こえる  作者: 渡白 斐陽
海の音が聞こえる
PR
14/28

1章14話『約束、守れてないのに?』




 お祭りの前日の夜。僕は河口にメッセージを送る。


『ごめん』


 その一言で、河口はすべてを察したようだった。


『ポンコツめ』


 相変わらず返信が早い。そして辛辣だ。でも結果を出せなかったのは僕なので、謝ることしかできない。


『本当にごめん。でもお祭りは行ってくれ』


『約束、守れてないのに?』


『うみちゃんはお前と行くの楽しみにしてる』


『うちだって楽しみだったよ。あんたのせい』


『色々と努力はした。でも、恋愛対象になれない』


 少し間隔を空けて、河口から返事が来た。


『うちと同じだね』


『難しいんだなぁ、恋愛って』


『そうだよ。告白したって伝わらないしさ』


 河口の返信に、僕は一人で頷く。

 告白しても実演だと勘違いされたり、別の物が好きだと勘違いされたり、本当に大変だよな。


『ところで、告白の再チャレンジはどうだった?』


『再チャレンジって?』


『1回目に失敗したなら、普通やり直すべさ』


 僕はこの1週間の言動を思い返す。うみちゃんに好きになってもらおうと、たくさんアピールしたつもりだ。だけど、よく考えてみれば……。


『告白やり直すの、忘れてた』


 メッセージを送ると、すかさず河口から電話が掛かってきた。多少の覚悟と共に、電話のマークを押す。


「こんの、バカタレがぁ!!」


 スマホがビリビリと振動するほどの怒鳴り声。僕はただひたすら反省の意を示すことしかできなかった。


「すみませんでした」


「宇美はあんたの気持ちを信じてないんだよ?」


「はい」


「したら、まず好きだってわかってもらわないと」


「その通り、です」


「マジでポンコツすぎて信じられないわ」


 スマホの向こうで大きなため息が聞こえる。ここは挽回すべきところだ。一刻も早く。


「河口。お祭りのあと、うみちゃんに告白する」


「……ハァ。わかった、頑張んなよ」


「じゃあ、お祭りはうみちゃんと行ってくれる?」


「行く。うちも宇美と話したいし」


「本当にありがとう! そしてごめん!」


「もういいよ。したっけね」


 喜ぶ僕に、無慈悲な機械音が浴びせられた。でも、用事が済んだらすぐに電話を切るのだって河口の優しさだ。


 こんなに僕のことを想ってくれる女の子に応えられないなんて、申し訳なさで胸が潰れそうになる。


 いや、それでも。それでも僕はうみちゃんのことが好きなんだ。うみちゃんと向き合うことが河口への誠意にもなると信じて、自分を奮い立たせた。


 明日こそ、絶対にバシッと決めてやる!


 ベッドの中で告白の言葉を考えながら、僕はぎゅっと目を閉じた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。