キスだらけの青春～キスした女の子に忘れられるウイルスに感染した俺は最高の青春を送っている（はずだった）～

「君はラヴに感染している」

　喜入（きいれ）颯真（そうま）は高校入学後まもなく訪れた病院で唐突に告げられた。

　恋愛拒絶ウイルス（Love Apocalypse Virus）と訳されるラヴ（LAV）の感染者は好きな人にキスをすると忘れられてしまうと聞いた颯真は絶望してしまう。

　なぜなら颯真にとって青春とは恋愛であり、かわいい女の子と胸がキュンキュンするような毎日を過ごすことだったから。

　しかし、颯真はすぐに気づいた。

「ウイルスの力を使えば、いろんな女の子にキスし放題だ」

　少し付き合って飽きてしまえば、キスをして忘れられてしまえばいい。
　幸い、モテる努力を重ねてきた颯真は彼女選びに苦労しなかった。
　
　クラスで一番かわいいと評判のあの子。
　演劇部でいつも主演を張る先輩。
　美人だけどどこか陰のある同級生。

　次から次へと相手を変えてキスをして。
　颯真はキスだらけの青春を送っていた。

　ただ、妹の葵や生徒会長の菊池加那、幼馴染の谷山さくらの様子が少しおかしい。
　女の子と楽しい毎日を送ることだけを考えている颯真の青春は徐々に変わり始めていく。　

※この物語はフィクションです。登場する地名や団体名などは実在するものと一切関係ありません。念のため。