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追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第4章 次期城主

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4-51.サイクロプスを転ばせる

 格好いいことを言えたと悦に入るアンリだけど、役目を忘れたわけではなかった。もふもふに声をかけてサイクロプスの方へと走る。

 足元で注意を引きつければいいのかな。それから矢で攻撃しよう。ひとつしかない大きな目を狙えば視界を奪えるだろうけど、あの高さまで正確に矢を射る自信がない。


 もっと低い位置、膝とかを狙って動きを止めよう。あ、でも、街の中であの巨人が倒れて周りの建物を潰しちゃうのは駄目だな。程々にやろうっと。


 森に誘導してからは、ヨナのやり方に従おう。何をするかわからないけれど。


 家の方から、狼の遠吠えのような声が聞こえた。

 ホイのものだった。


 狼は自分の縄張りを主張するために遠吠えするらしい。


 でも、今のホイがそんな目的で鳴くとは思えなかった。



――――



「あのヨナ様!」

「なに?」

「サイクロプスを森に誘導して、それからどうするつもりでしょうか!?」

「考えてない! とりあえず被害の少ない所に連れていくしか考えてなかった!」

「そうですか! しかし街の被害を考えるのはご立派です!」

「だよね!」

「ねえふたりとも! もう少し真剣に考えて! というかティナはヨナくんのこと安易に褒めすぎ!」

「キアさんみたいなこと言いますね」

「キアがいないから代わりに言ってるの!」


 セイホラン像まで走りながら会話する。その間も、周りに目を向けながら対策を考えていた。森に連れて行った後は本当に無策だ。街の兵士に討伐を任せてもいいとは思う。自分の街のことだから、自分で蹴りをつけるべきだ。


 けど、せっかく派手に動いているんだから、僕もできることはしたい。


 ふと、雑貨屋が目に入った。何か使えるものはないかと入ったところ、店主は避難しているのか姿が見当たらない。


「ヨナ様なにしてるんですか!? サイクロプスに追いつかれちゃいますよ! というかセイホラン様行っちゃいますよ!」


 そうとも。セイホラン像は既に動き出している。キアも一緒にいて、そこに追いつかなきゃいけない。というかサイクロプスの方が像よりも足が早いから、追いつかれてしまう。それは阻止しないと。


「そのための方法を探さないと。何か使って……ああ。これだ」


 ロープが売っていた。一番太いのを掴んで、店のカウンターに金貨を一枚放り投げてから外に出る。


「ティナは引っ張るの手伝って! ゾーラはそっち側でロープを固定して!」

「ロープを張って足を引っ掛けるのね!?」

「そう!」

「さすがですヨナ様! 咄嗟にそれを思いつくなんて!」

「でしょ? えへへ……」

「やっぱりその全肯定するの、控えた方がいいわよ! というかヨナくんも調子に乗らない!」


 たしなめながらも、ゾーラは建物の頑丈そうな外壁から闇の蔓を生やしてロープを絡め取らせていく。僕たちにはそんな芸当はできないから、縛りつける場所を探さないと。

 すぐに見つかった。馬を繋げておく杭だ。そこにロープをぐるぐる巻きにする。


 そしてサイクロプスが来た。奴は逃げていくセイホラン像に目を取られていて、足元を見ていなかった。

 足がロープに引っかかり、巨体がバランスを崩す。力がかかって杭がみしりと音を立てた。


 サイクロプスはなんとか転倒を阻止しようともがいたが、無駄だった。大通りに沿うように倒れて、轟音が響く。石畳が砕けてめくれ上がる。左右の建物に被害が出ていないのは幸いだ。


「すぐに離れよう。セイホラン像に合流しないと」

「そ、そうですね!」


 サイクロプスが起き上がろうと地面に手をついて石畳の被害が拡大するのを見ながら、奴の進行しようとしていた方向に出る。

 同時にサイクロプスが顔を上げた。こちらを見ていた。


 正確には、ゾーラの持っているガラス玉を。


 巨人が咆哮を上げる。その風圧によろめいてしまったのを、なんとか立て直す。


「ゾーラ。僕と一緒にセイホラン像に合流。ガラス玉と像で完全にサイクロプスの注意を惹く。ティナはできるだけロープを集めて。森の中で木を支柱にしてロープを張って、サイクロプスを取り囲んで動けなくしたい」

「その上で集中攻撃して倒すんですね! わかりました!」


 僕とゾーラはセイホラン像の方へ走り、ティナはさっきの雑貨屋に戻る。立ち上がろうとするサイクロプスの向こう側に、街の兵士たちの姿が見えた。


「彼らに協力を求めますね! すいませーん! そこの兵隊さんたち!」


 僕が何か言う前に意図を察したティナ。起き上がろうとしている巨人を、脇道に退避してやり過ごしながら、兵士の方に近づいていく。

 兵士の中にはさっきの警備隊長もいた。見知った顔がいるなら話が通りやすいな。


「いい考えがあるので協力してもらえませんでしょうか!?」


 サイクロプスがティナの方に行く気配はない。向こうは任せてもいいだろう。すぐに街中からロープがかき集められて森に運ばれることだろう。

 僕も自分のやるべきことをしないと。


「ゾーラ行くよ」

「ええ。セイホラン像に追いついて、あたしたちは何をするの?」

「僕は下で準備会を手伝って像を動かす。想定外の動かし方をして、みんな疲れるだろうから」

「あたしは?」

「像の頭に登って。目線の位置にガラス玉があった方が、サイクロプスは引き付けられるだろうから」

「えー……」

「追いつかれそうになったら、闇で攻撃して引き離して」

「なんでそんな危険な仕事を任せてくるのかしら! 仕方ないからやるけど! でも像の上に登るなんて無理よ!」

「そこはキアになんとかしてもらおう」

「あの子ならできるでしょうけど!」

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