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追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第4章 次期城主

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4-45.無人の家

 とはいえ、今はヨナをなんとかしないと。


「あなたを宿屋に預けてから、あたしたちは行くわ。ヨナくんを取り戻してくる」

「わたしも行きます!」

「いいえ。城にはドラントがいるでしょう。あなたを近づけさせるわけにはいかない」

「……わたしは無力ですね」

「あなたは自分に出来ることをしなさいな」

「今のわたしに何が出来るって言うんですか?」

「自分の意思を貫きなさい。好きな男が別にいるんでしょ? ドラントの物になんかならないって、そう強く想いなさい」


 想いだけでどうにかなる状況でもない。けれど大切なことだった。


「わかり、ました……」

「オルソンさんは今どこかしら」

「お祭りの実行役なので、事件の対処に追われていると思います」

「だったら、家に帰るまでは時間が掛かるわね。リーサここで一番近くの宿屋はどこ?」

「あっちにあるぞー」


 頭上からキアが代わりに返事をした。近くの建物の壁を登って周りを探したのだろう。屋根の上から声をかけた。


 リーサも少しは回復したのか、自分で歩けるようになっていた。宿屋に急いで泊めさせて、四人で城の方に向かう。


「ねえ。リーサさんを家に帰さないのは、ドラントがそっちに行くからなのよね」

「ええ。そうよ。オーゲルの家は危険」

「もふもふが心配なんだけど」

「あの子なら大丈夫でしょ。並の兵士なら蹴り殺せるわ。あの男もね」


 だったらいいんだけどな。



――――



 兵士たちに城まで戻るよう促されたドラントは、なおも留まろうとしてリーサの姿を探した。しかし人が多くて見失ってしまった。庶民どもが邪魔をするなんて。権力を握ったら覚えておけよ。


 間違いなく有事なのだから、自分のような重要人物は安全な城の中に入るべき。わかっているし、重要な扱いを受けることに優越感もある。

 だがドラントは、危険など無いことを知っている。殺したのは自分なのだから。自分でも惚れ惚れするくらいに美しい一撃を当てられた。誰かに自慢できないのが残念だ。


 それに目的は全部が果たされたわけではない。


 邪魔なナーサを殺して、不敬なガキを捕らえさせた。しかし肝心な仕上げがまだだ。

 客人に姉を殺されて失意の中にいるリーサに優しく声をかけてあげなければ。そうすればリーサは惚れるはずだ。こっちには権力も金もある。女が夢中にならないはずがない。


 なのにリーサがいない。一番大事な目的が果たせないなら、この計画の意味はない。婚約者が死んでオーゲル家との関係が切れて、議論の必要がなくなった貴族たちが喜ぶだけで終わってしまう。


 早くリーサと接触しなければ。彼女がいるとすれば、どこだ?


「オーゲルの家に行きたい! そこにリーサはいるはずだ! 保護しなければ!」


 兵士たちに命じるが、あまり反応は良くない。だから続けた。


「あのガキには仲間がいる! 奴らがリーサを襲うかもしれない! 人質にしてガキの解放を求めるかもしれない! だから保護するんだ!」

「……わかりました」


 どうしても意見を曲げないドラントに兵士は根負けして、オーゲル家まで向かう。


 静かだった。中に人がいるとして、息を潜めているのだろうか。

 庭の一角に馬が繋げられていた。普通よりもふた回りも大きい、黒い毛並みの馬。それがこちらに目を向けた。


「ひっ!?」


 その眼光にドラントは怯み、一歩下がってしまった。たかが馬なのに、なんだこの迫力は。


「お、おい。お前ら。家の中を調べろ」

「しかし」

「早く行け! 住人が居留守を使うなら扉をぶち破れ!」


 命令された兵士たちは、気が乗らない様子ながらオーゲルの家に踏み込んだ。鍵がかかっていたから、命令どおりに扉を破って中に入った。すると悲鳴が聞こえてきた。

 一瞬だけ、やはりリーサが帰ってきてたのかと期待したが、悲鳴は男のものだとすぐに気づいた。


 家中を探した兵士が連れてきたのは、ホイだった。家でひとりで留守番させられていたのか。リーサは帰っていなかった。


 ドラントにとっては無人も同じだ。無駄足だったか。じゃあどこにいる? 街中探すわけにはいかない。兵士も、今度こそ城に帰れと言いたそうだ。

 この家で待っていれば、いずれ帰って来るだろうか。しかし兵士の催促と、こちらを睨む不気味な馬を跳ね除けて居座る気にはなれなかった。


「わかった。城に戻る。お前とお前、ここで見張りをしていろ。リーサが帰ってきたら保護して、城につれてこい」


 兵士に指示を出すと不満そうな顔をされたが、了解してくれた。


 こうしてドラントは城に向かう。少し振り返れば庭に出て所在なさげなホイが見えたが、そんなつまらない人間のことなどすぐに忘れてしまった。



――――



 まいったな。まさか兵士に取り押さえられて牢にいれられるなんて。


 あいつら、本当に僕が人を殺したって思っているのかな。というか殺されたのは誰だろう。人混みの中でうまく見えなかった。立ちはだかったあの人影は明らかに素人だったから、ティナたちがやられることはないと思うけれど。


 外の様子が知りたいな。ぶち込まれた牢の隅で横になりながら考える。


 ここは城ではなく、その近くにある兵舎だ。兵士の詰め所とも呼ばれているいる、街の軍事と治安維持の統括を行う場所。そして兵士が寝泊まりする場所だ。

 犯罪者もここにぶち込まれる。今の僕みたいに。

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