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追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第4章 次期城主

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4-42.眷属の祝福

「キアさんの考え方がわからないんですよね。普段の痴女みたいな格好の方が、絶対に落ち着かないでしょう?」

「誰が痴女だよ。動きやすいんだよ。こんな格好、森の中ならあちこちで引っかかる」

「ここは森じゃないんですよ」

「壁も登りにくいし、トカゲを見つけた時にすぐには動けない」

「どっちもやらないでくださいね。できれば普段から」


 とにかく、化粧もして準備万端。リーサも気合いの入った格好をしていた。


 その後ろにはナーサの姿もあった。相変わらず不機嫌そうな顔をしていたけれど。


「ナーサさんも行くんですね。そういうの、好きじゃないと思ってました」

「お祭りは、街のみんなが好きですよ。姉さんも小さい頃は大はしゃぎして、楽しみにしていました。今も嫌いじゃないはずです。人混みは苦手でしょうけれど、誘ったら来てくれました」

「そうですか。良かったです」


 身重の体を抱えて人混みに行くのは、ちょっと大変かもな。それでも気晴らしになるなら良いことだ。


 キアもナーサの立場は聞いている。婚約者に愛されていない状態で、愛し合う恋人たちの祭りを見て嬉しいかって疑問はあるけど。賑やかな街を見るだけで意味はあると思いたいな。


 ふと、外が騒がしくなった気がした。


「おい! 像が来てるらしいぞ! 急げ急げ」


 別にキアとしては、ヨナに抱きついて貰っても嬉しくもなんともないのだけど、ヨナの方はそれなりに覚悟をしているはずだ。

 こっちが姿を見せないで、覚悟を無碍にはしたくない。みんなの背中を押して外に出す。



――――



 祭りの日までの数日、ドラントは本当に城から出してもらえなかった。部屋に監禁はされなかったものの、常に見張りがついていて、自由に動くことができなかった。


 代わりに父から、城主としての仕事を学べと言われた。


 そんなつまらないもの、やってられるか。城主の仕事は城主になってから身につければいい。今は別のことに専念したい。自分の結婚のこととか。


 なんとしてもリーサを手に入れたい。なのに周りは邪魔ばかりする。


 城内にいる、仲のいい貴族を使って情報は集めていた。どうやらナーサとの結婚自体を反対する声が大きいらしい。


 オーゲル家には金をやって、しかし爵位はやらずに庶民でいさせる。そしてドラントとの関係は断たせる。

 生まれてきた子供の処遇は割れていて、こちらで引き取るべきか認知せずにオーゲル家に育てさせるかで議論がされている。

 どうせ愛してはない女の赤子など、ドラントにはどうでもいい。けどオーゲル家やリーサとの関係が切れるのは嫌だ。


 それに、あのガキだ。あいつは許せない。復讐しなければ。この俺を敵に回したこと、後悔させてやる。


 貴族仲間使用人に木製の仮面を買いに行かせた。今日は街の男の半分以上がつけているものだ。人混みに紛れるにはちょうどいい。

 外出禁止も解かれた。始まってしまった以上、もう祭りを止めることはできない。準備会の奴らを捕らえることも、今更無理だと父上は考えたのだろう。


 最高だ。計画を実行する時が来たようだ。



――――



 セイホラン像は大通りを進んでいる。いつもは屋台なんかが立ち並ぶ一角では、有志たちがセイホラン様と眷属たちにおもてなしするために、食べ物を振る舞っていた。

 肉屋が骨つき肉を配っている。仮面を少しずらして食べてみた。美味しい。


 この肉屋は近くに店を構えていて、新しい味付けを試してみたと眷属に話しかけていた。美味しかったらまた買いに来いという宣伝だ。神様へのお供え物でもあるけど、実利もあるわけだ。

 そういう目的で、街中の食べ物を屋さんがお供え物を眷属に配っていた。大人たちはお酒まで飲んでいるぞ。眷属なんだから、酔っ払って醜態を見せることだけは避けてほしいな。


 やがて、庶民たちが集まる住宅街からほど近い場所まで来た。もうすぐ、ティナたちがいるはずの地点に来る。

 彼女たちの姿はまだ見えない。そろそろ見えるはずなんだけどな。姿を求めてきょろきょろ周りを見回していると、別の知った顔が見えた。


 商人のザサール一家だ。興味深そうに祭りを見物していた。ラマルは眷属役は街の若者に譲って、仮面を被りはしてなかった。


 一応、祝福はしてあげようか。既にお子さんがいるソノレナよりも、どちらかというと子供の方に。


 子供用のドレスを着て、お祭り用におめかししているアルレナの前に立つ。内向的な彼女は、仮面姿の異形が街中に溢れる祭りを少し怖がっているようだ。

 そして、その仮面が目の前に立つと、泣き出しそうな顔をしながら後ずさる。


「大丈夫よ。あなたを守ってくれた、優しいお兄さんだから」


 ソノレナが娘に語りかけた。今の僕は眷属で、ヨナではないんだけど。


 でも、アルレナが安心してくれるなら構わない。実際、彼女は僕だと気づいたらしい。微かに目を見開いてから、はにかんだ笑顔を見せた。

 そんなアルレナの頭を木の枝で撫でてあげる。


「ありがとうございます、眷属さん。あなたが探している人たちは、あちらにいましたよ」


 ソノレナがお礼と共に、一方向を指差した。たしかにティナたちがいる。

 頭を下げてそちらへ向かった。


 実際のところ、一度そちらに目を向けて探してはいた。けど気づかなかった。さっきまでいなかったのか、それとも普段と雰囲気が違ったからか。


 服装が変わっていた。さほど華美ではないけれど、きれいなドレス姿。そして化粧もしてるのかな。ゾーラは服装こそ変わらないけど、髪型を変えて印象がかなり違っていた。


 綺麗だった。それに目をとられて、足が止まってしまった。

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