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追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第4章 次期城主

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4-40.お祭り当日

 翌日からも、ホイへの教育は行われた。そしてティナは食事を作るしリーサにそれを教える日々。僕はその手伝いをしながら、常に外へと警戒を向けていた。

 ドラントが兵士を引き連れて乗り込んできた場合、すぐに対応できるようにだ。けど、そんな心配はする必要なかったらしい。


 動きはなかった。準備会が酒場で流したという噂は街中に広まって、みんなドラントの醜態を楽しげに話していた。僕も市場でそれを聞いた。


 今なにか動きを見せれば、恥の上塗りになる。本人のものかは知らないけど、そんな判断が行われたのだろう。

 けど、ドラントが恨みを忘れるほど器の大きな人間じゃないことは明らか。いつか仕掛けてくるはずだ。



 ホイは、文字の読み方は理解できるようになってきた。単語を読むことはまだ無理だけれど、大きな前進。

 書く方も、ペンを握るくらいならできるらしい。だったら文字を書けるようきなる日も近いはず。


 残念ながらゾーラが手伝えるのは、そこまでのようだけれど。



 祭りの当日が来た。


 朝から、市民たちはそわそわしている様子。はしゃぎたいって人もいるだろうけれど、恋が叶うかもしれないって日だから、若い人ほど緊張している。


 僕? みんながセイホラン様の眷属になってほしいって言っただけだから、緊張とかはしてないよ。


 でも、ちょっと楽しそうな感じはするかな。非日常っていいよね。特に僕は、仮面を被って自分ではない存在になりきるわけで。未知の経験に心が高揚しているのは確かだ。

 みんなの願いは叶えてあげたいって気持ちも、実はあるし。


 自分で彩色した仮面を見つめていると、自然に笑みが浮かんでくる。


「おはようございますヨナ様! 朝ごはんを食べたら、さっそく森の方に向かってください! さあさあ! 今日は忙しいですよ!」


 ティナにそう促された。いや、なんでだ。


「もう少しゆっくりしてもいいと思うんだけど」

「何を言いますか! 今日のヨナ様はセイホラン様の眷属! 早いところ森に入って、眷属っぽい心構えするとかの準備をしないと!」


 なんだよ。眷属っぽい心構えって。


「まあなんだ。行ってやれ。ティナたちにとっても大事なんだよ」


 キアがテーブルに肘をつきながら、ちょっと気怠げに言った。


 ティナだけじゃない。ゾーラもアンリも楽しそうで、そして僕には早く行ってほしい様子で。


「わかった。また後でね」

「大通りの、この家の方に入る交差点のあたりにいますから! 見つけてくださいね!」


 期待しているって様子のティナの声を聞きながら朝食を食べた。



 仮面を持って、服装は普段のままで森の方へ向かう。仮面さえ被れば眷属になれるから、着ているのは何でもいいらしい。

 凝った人なら、森で捕れた獣の毛皮で身を包んだりするらしい。それが文献にある眷属の正確な姿。森の恵みの中には、そこで捕れる獣の肉も含まれるから。


 そんな格好しなくても、普通に参加していいのがお祭りだ。


 森までの道には迷わなかった。周りにも目的が同じ男の姿がちらほら見えたから、それについていけばいい。仮面を持っているし、顔に緊張が見えるから目的は明らかだ。

 森の入口にはジェゾたちの姿もあった。


「よう! ヨナ! 来たか!」

「はい! おはようございます」

「おはよう! ヨナは、あの近衛兵ちゃんに告白するのか? それとも歳が近いあの子か?」

「モテる男は辛いねー」

「頑張れよ少年!」


 準備会の男たちは大役を前に緊張しているのか、いつもよりも口数が多い。僕をからかう言葉も乗っている。


「告白はまだですよ。誰から祝福するか、まだ決めてません」


 僕の返事に、おおー、と声が上がる。


「モテることは否定していない」

「マジで、あの四人全員に惚れられてるのか?」

「様ってつけて呼ばれてるくらいだからなあ」

「子供なのにすごいな」

「てか何者なんだ」


 なんか僕について、謎の憶測が広まっている。四人全員に好かれてるわけじゃないよ。あと様つけるのはティナだけだから。


「みんな。世間話は後だ。像を組み立てるぞ」


 僕に関する憶測が広まり続けるのを止めるように、ジェゾが声をかけた。準備会の男たちも、さっきのは本気で言ってたわけではない様子で。こちらに笑いかけながら手を振った。

 街の男たちが徐々に森まで集まってくる間にも、セイホラン像は組み立てられていった。前に街の中で一度組まれているのは見たけれど、森の中だと違った印象を受ける。


 太古からこの街にあり続けた森を構成する、大きな木々。その間に立っている巨像は、独特の神々しさを持っていた。


「綺麗だ」


 自然に声が漏れた。祭りに参加して、像を動かして守り、人々に崇めさせたいって感情が湧き出てきた。

 つまり、この神の眷属になりたいと考えてしまったわけだ。


 なるほど。仮面を被る男たちは、単に好きな女に想いを告げるためだけにやってるわけじゃない。間違いなく彼らは、セイホラン様の眷属になっていた。


 実際、周りの男たちもセイホラン像に見惚れているようだった。みんなで眷属になろうね。

 それから気づいた。像が森の中に佇んでいる姿を見ることができるのは、眷属として参加できる男だけ。女は森から出て街を練り歩く姿しか見れない。


 残念だな。みんなと一緒に見たかった。特に、ティナと。


 ああそうか。この気持ちが……。

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