表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第4章 次期城主

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

180/198

4-38.最悪の夫婦

 リーサは、ジェゾには笑顔を向けていた。離れるとまた暗い顔に戻ったけれど。

 あまり話してほしくない様子だけれど、しないわけにはいかない。


「あの。リーサさん。ドラントさんのことですけれど」

「はい。わかっています」


 ティナが切り出して、リーサもゆっくり頷いた。


「ドラント様は姉ではなく、わたしに興味があるようです」

「はい……でも、どうしてですか? 好きでもないお姉さんと、どうして婚約なんか」

「姉とドラント様は一夜の過ちだった。ドラント様がそう言っているのは聞いたことがあります。それに姉さんも、お腹にいるのが自分の子かも怪しいとも、わたしにこっそり言ったことがあります」


 それは、誰かに言うべきことじゃないと思うな。あの女は何を考えてるんだ。


「ドラント様の方も、自分の子ではないって言うことがあるそうです」


 最悪の夫婦じゃないか。どうなってるんだ。


「とにかく、その夜の後に姉の妊娠が判明して、婚約となりました。ドラント様は気が進まないながらも、わたしの家に挨拶に来て。そして彼の目が姉ではなくわたしに目が向いていることに気がつきました」


 その時に惚れたのか。以来、ドラントはナーサではなくリーサと関係を持ち続けたいがために、結婚準備を進めた。ナーサと結婚すればリーサも手に入るとか、そんな魂胆。

 リーサに他の想い人がいるのは邪魔だから、それは排除したがっている。さっきちょっかいを出しに行ったのは、そういう理由。


「リーサさん、用心してくださいね。好きな方がいるなら、早く想いを告げましょう! こういうのは、早いところ言い張った方がいいです!」

「は、はい。でも。その。向こうから、告白するタイミングを探っているようで。お祭りの日とかに」

「素敵ですね! でもこういうのは、女性の方から行くのもありだと思います! 男性に声をかけられるのを待っているだけじゃ良くないですよ!」

「えぇ……」


 ぐいぐいと迫ってくるティナに、リーサは少し引いている様子。


「ティナ。声が大きいよ。気持ちはわかるけど。でもどうして? なんか力が入りすぎているような気がして」

「すいません、ヨナ様。……わたし、ナーサさんにも幸せになってほしいんです。旦那さんと幸せな結婚はできないかもしれませんけれど、せめて良い環境でお城暮らしをしてほしいなと」

「なんで?」


 あの人の人間性を考えても、そんなに同情的に見たいとは思わないけれど。


「見たんです。ナーサさんが泣いているのを」

「え?」

「ドラントさんが暴れてヨナ様が出てきたのを、わたしは物陰から見てました。そして、やはり離れたところからこっそりと様子を伺うナーサさんの姿に気づいたんです。彼女は泣いていました。何に対する涙かは、想像するしかないですけれど」


 なんでナーサが外に出ていたのかは知らない。まあ、ゾーラたちがうるさくしてたとかだろうな。


 あてもなく街を歩き、騒ぎを聞いてそちらに向かった。そして、婚約者が自分の方を向いていない事実を改めて突きつけられた。

 ドラントが公衆の面前であっても、リーサを好きであると隠そうとしない姿を見た。婚約者の、そして自分の幸せを保証してくれる男の醜い姿。


「その後、ナーサは?」

「走って行ってしまいました。たぶん帰ったのでしょう。心配になって声をかけたのですが、無視されてしまって」

「そっか」


 今頃、また部屋にこもっているのかな。


 かわいそうだと思う。同情しかけた。けど、こちらからやれることは何もなかった。



――――



 逃げるように城に戻ったドラントは、すぐに城主である父に告げ口しに行った。


 あの庶民たちや旅人のガキがやったのは、立派な反逆だ。貴族に逆らうなど、なんと罪深い。

 兵を動かして処罰させなければ。特に、あのガキだ。異能使いなんて不気味な人間は、街にいるべきじゃない。さっさと捕らえて処刑しよう。そうしなければ。

 自分に都合の悪いことは全部隠した上で、された仕打ちを報告した。


 しかし父からの返事は。


「この大馬鹿者がっ!」


 そんな罵声と拳だった。


 頬を思いっきり殴られたドラントは床に倒れて、信じられないという顔で父を見上げた。

 父は怒りをなんとか抑えている様子で。


「現場から報告が上がっている。お前の横暴が全て悪いと。しかも大勢に見られていたそうだな。今頃、街中にお前の悪評が流れているだろう」

「なんでそんなことが! 噂を流した奴らを捕らえて」


 父が再び拳を握りしめたのを見て、ドラントは言葉を続けられなかった。


「お前は、しばらくおとなしくしていろ。城から出るな。何もするな。結婚についても、今は保留にする。結婚を認めるべきか、あの家に爵位を与えるかどうか、貴族たちの意見は割れている。お前が口出しできる問題じゃない」

「俺の問題だ! 俺の結婚なんだ!」

「オーゲルの娘の腹にいるのは自分の子ではないと、周りに言っているそうだな? それを評議会の前で繰り返せ。すぐにでも結婚は取りやめになって、問題がひとつ解決する」

「……」


 それはできない。ナーサみたいな性悪女と結婚したくはないし、子供を作ったつもりもない。けれどリーサは欲しい。あんな美人は見たことがない。


 だからナーサと結婚してリーサを妹にしてしまおうと考えた。関係を持つことができれば、後から乗り換えることは簡単だ。こちらには金も権力もある。

 リーサに金を積んだり贅沢な暮らしを覚えさせれば、すぐになびくだろう。後はナーサに適当な罪を着せて排除した上で、リーサを娶ればいい。あるいは妾にしてもいいな。


 ドラントは、自分の計画は万全だと考えていた。なのに、なぜ邪魔ばかりが入る。


 しかも下賤な庶民が邪魔をしてくるなんて。なんて傲慢な。身の程をわきまえていない愚か者が。


 城から出るなと謹慎を命じられたドラントだが、反省などしなかった。


 どうにか、奴らにやり返す方法を考える。


 城の窓から見える街はお祭りムードで、みんな楽しそうで。

 それがドラントの心をさらに苛立たせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ