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追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第4章 次期城主

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4-17.兵士の動きが早い

 例の村については、既に街に情報が流れているらしい。人から人へと伝わる噂話で、街が公式に発表したものではない。しかし人々の興味を集めるには十分だった。


 大昔から旅人を捕まえては存在しない神に捧げていた、謎の村。気にならないはずがない。

 村から来たというキアの話に夢中になる人が大勢いるのは必然だった。


「あたしたちに絡まないだけ、いいわね。飲みまくってるから明日は確実に二日酔いになるけど。あと、飲みすぎて倒れたら助けてあげないとね」

「そうだね。止めないと永遠に飲み続けそうだ」

「良からぬことを考えてる男が、酔い潰れたキアを自分の部屋に連れ込むかもしれないし」

「そんなことあるの?」

「あるの。女が飲むのは危険なのよ。キアはそういうの、よくわかってないから。ま、こういう高い宿の客は、それに見合った良識とか品格を持ってることが多いから。そんなに気にしなくていいと思うけどね。場末のバーとかは危険よ」

「へぇー」

「キアさんのことは、わたしが見ておきますから! ヨナ様はお気になさらず食事をしていてください!」

「うん。わかった」

「はい。あーん」

「自分で食べられるから。てか僕に食べさせてたらキアを見れないでしょ」

「それはそうですけど。最悪誰かに持ち帰られても、別にいいかなって」

「良くはないでしょ」

「それれにゃ! アタシは言ってやたんら! おーかみどもかくごーって!」

「よし、キアはそろそろ限界ね。ほら、ここまで。お酒終わりでーす。ほら、散った散った。キア、もう飲むのやめなさい」


 キアの呂律が回らなくなったのを見て、ゾーラがすかさず連れ戻しに行った。


 そのついでに、ふと思い出したように、聞き手だった客たちに尋ねる。


「例の村について一報が来た時、城門の周りの様子はどうだった?」


 客たちは顔を見合わせた。一報と言っても、門の外に立つ兵士に旅人が口頭で告げただけ。その瞬間を市民たちは見たわけじゃない。

 けれど彼らの意見は一致していた。兵士の動きが急に慌ただしくなって、中央の城まで馬が全力で駆けていった。城門の守備兵から精鋭を選んで先行隊として行かせる決定まで、時間はかからなかったようだ。城門周りにある軍馬を総動員して行かせたという話もあった。


「思ったよりも大事(おおごと)ね。城に遣いをやってるということは、街の最高権力者まで絡む案件ってことかしら。あの村で何か探そうとしていたらしいけど、なんなのかしら……」


 ゾーラは深く考え込む様子を見せた。


 ホラン様を名乗る偽りの神が現れて三十年。そんな昔に何が起こったというのだろうか。


「でもまあ、街の偉い人たちが絡む案件なら、あたしたちが深く関わることもないわよね。偉い人に任せましょう」


 気にはなるけど、深く考えても意味はない。ゾーラはすぐに切り替えたようだ。キアを連れて戻ってきた。


「もうすぐお祭り。奇妙な村の事件は騒ぎになったけど、既に終わったこと。それよりも街の周りを騒がせていた狼の大量発生が解決して、みんな喜んでるみたいよ」


 そうだった。お祭りが近いんだよね。ザサール商会は、そのために必要なものを運んでいたわけだし。


「明日は街の中央に行きましょう。どんなお祭りなのか詳しく知れるかも」


 それは楽しみだ。


「まつりってのはー。のめるのかぁー?」

「キアはお酒を控えようね」

「やだー。おいヨナー。お前も飲めー」


 顔を赤くして僕に絡んでくるキア。抱きついてこないで。周りがうるさいから。



 全員でキアを押さえつけてベッドまで運び、そこで縛り上げて動けなくする。こうして、みんな心穏やかに夜を過ごせた。

 やっぱり高い宿のベッドっていいよね。


 ところで宿屋だけれど、ベッドが五台ある部屋はなかった。大きめのベッドがふたつ並んだ部屋だ。


 誰かが一緒に寝なきゃいけない。僕が一台を専有すると、あと四人は窮屈な思いをすることになる。


 女の子と一緒に寝ることについて思うことは無くはないけれど、今更だ。で、どの組み合わせで寝るかだけれど。


「ではヨナ様、一緒のベッドで寝ましょうか」

「なんでさ」

「皆さんそうしたいって顔をしているので。近衛兵として、不埒な巨乳に先んじてヨナ様の貞操を守らなければなりません」

「何が不埒な巨乳よ。まな板のくせに」

「なっ!? なんですか失礼な! これでも少しはあります!」

「いいえ。ティナの胸は真っ平らよ。背中と見分けがつかないわ。わたしの方が、まだちょっと大きいもの」

「こ、子供に負けた!?」

「というわけでヨナくんは、あたしと一緒に寝ましょうね。一番胸の大きな」

「ちょっと待って! わたしもヨナと一緒に寝る!」

「わたしが寝ます!」


 三人とも一切譲る気はないらしい。駄目だこれは。

 こういう時は、冷静なキアを頼るしか。


「うへー。なんか目がチカチカする。天井に星が見える」


 駄目だこれは。


 結局、キアがベッドをひとつ使い、残る四人でもう一台のベッドで寝ることになった。


 狭いけど、みんな僕に抱きつき身体をくっつけているから、なんとか四人寝られた。


 なんか気まずさで寝付きが悪かったのも事実だけれど。

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「良からぬことを考えてる男が、酔い潰れたキアを自分の部屋に連れ込むかもしれないし」 「そんなことあるの?」 「あるの。女が飲むのは危険なのよ。 ゾーラ先生! 折口先生にも言ってください。  狭い…
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