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追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第4章 次期城主

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4-7.捧げ物

 ゾーラとアンリも起きてそれぞれ武器を取った。


「もふもふの所に行きたいから、誰かついてきてくれないかしら」

「あたしが行くわ。外の様子も知りたいし。窓から逃げられるようなら、商人たちを脱出させる」


 一応は護衛の手助けという仕事は忘れていなかったか。アンリとゾーラが窓から外の様子を伺って、開けて出た。

 商人が窓から逃げられるにしても、娘がいないから夫婦は動かないだろうな。こっちとしても、ヨナを助けに行かないと。


「いつまで寝てるんだティナ。起きろ」

「ひんっ!?」


 割と騒がしいのに、呑気に寝続けていたティナの尻を叩いて強引に起こした。まったくこいつは。


「敵襲らしい。ヨナがもう戦ってる」

「本当ですか!? ヨナ様今行きます!」

「ヨナのことだったら切り替えが異常なんだよなあ……」


 けれど、ティナは一瞬にして臨戦態勢に入り、枕元に置いていた剣を取って大部屋の入口まで駆ける。商人の護衛たちは、多くが護衛対象の周りを固めていた。部屋の外の様子を見ているのはふたりほど。

 その背中越しにキアも外のヨナたちを見る。アルレナが捕まって、ヨナが死体になったはずの敵に突き飛ばされたところだった。衝撃で木の棒を落としてしまい、背中から壁に激突。


「ヨナ様!?」

「全員動くな! このガキがどうなってもいいのか!?」


 男のひとりが声を張り上げた。彼は剣を持っていて、床に座り混んでいるヨナの首に向けていた。ヨナはといえば、息はしているものの目を瞑り動かないでいる。


「お前ら、なんのつもりだ?」


 動くに動けない状況だけれど、とりあえずキアは尋ねてみた。すると返事があって。


「悪いがあんたたちには、捧げ物になってもらわにゃならん」


 男たちの間をかき分けて、先程の老婆がやってきた。


「捧げ物? なんの?」

「ホラン様のじゃ」

「ホラン様?」


 確か、今から行こうとしている街の神様が、セイホランって名前だったか。関係あるのかな? ゾーラがいないと何もわからない。ヒソヒソ話をする余裕もなさそうだし。

 老婆は勝手に話を進めていく。


「ホラン様は若い女が特に好きじゃ。お前のような、なあ……」

「へぇー。そうかい」


 老婆がこちらに舐めるような視線を向けてくるのを気持ち悪く感じながらも、キアは余裕を装う。


「通りがかった奴らをこっちに呼び寄せて、捧げ物にするんじゃ。持っていた荷物もなあ。そうすればホラン様は満足なさる。捧げ物がなきゃ、村の娘をやらんといかんからなあ。悪く思うんじゃないぞ」

「そんなことでアタシらが納得すると思うか?」

「別に納得などせんでいい。じゃが、お前たちが捧げ物に」


 老婆の話は、馬のつんざくような嘶きによって途切れることになった。


 全員がそれに驚いている中で、ヨナだけがひとり目を開けて冷静に動いていたのを、キアは見た。座った状態で横に転がり向けられていた剣から逃れると、アルレナを捕まえていた男に突進していく。


「よし! ティナ行くぞ! こいつらぶっ殺せ! ババアだけは生かして事情を聞きたい!」

「はい! ヨナ様を危ない目に遭わせた極悪人は死ぬべきです! 死んで侘びてください! 特におばあさん!」

「何聞いて、はいって言ったんだよ!? あいつは生け捕りにしろ! お前はヨナ以外にも考えることがあるべきって思うんだよ!」


 言い合いながら、敵に向かっていく。



――――



 窓から出たアンリとゾーラは、もふもふがいる馬屋へと向かった。幸いにも、泊まっていた建物全体が敵に囲まれているわけではなかった。正面入口に人員を集中させて、裏口から逃げられないように人を配置している感じらしい。

 一応、窓から人が出ないように、女がひとり見張りをしていた。彼女はアンリたちを見つけて仲間に知らせようとした。しかし。


「静かにしててね」


 ゾーラが杖を向けると、女の顔に黒い闇が膜のように貼り付く。呼吸ができないのか顔を抑えて剥がそうと藻掻いていた。当然、声を上げて仲間を呼ぶことはできない。

 アンリは外しようがないくらいに至近距離まで近づくと、彼女の首を矢で射抜いた。


「行きましょう」

「今更だけどね。あたし個人の感想としては、子供が躊躇なく人を殺すようになるのは、どうかと思うのよね」

「こうしなきゃ、みんなが危ない目に遭うわ。それにアンリーシャなら、こういうことを躊躇わない」

「みんなのためっていうのは正しいけどね。あたしはアンリちゃんにも、健全に育ってほしいのよ。ヨナくんと一緒にね」

「ヨナとわたしが一緒に大きくなって結婚するとか、そういう意味?」

「そういう意味ではないのよ」


 話しながら馬屋へ行くと、そこにも村人と思しき人影がいた。しかも十人ほど。


 馬には目もくれず、商人たちが運んでいた荷馬車の中を見ていた。食料品があれば、略奪して食べてしまうつもりだろうか。金目のものがあれば奪う。そういうことかな。


「悪い人たちね。商人を襲って盗むなんて」

「けど、わからないのよ」

「なにが?」

「商人を襲って扱ってる品物を盗めば、確かに儲かるわ。けど商人にひとりでも生き残りがいて、それを村の外に知らせたら。その時点で村は終わりよ。村ぐるみでこういうことをしてるというなら、なおさら。近くの街から兵士が大挙して押し寄せて、村ごと焼き尽くす」

「そ、そんなことするの? ……するかもしれないわね」


 悪いやつは倒さないといけない。村全体が悪いことをしてるなら、丸ごと焼くっていうのは良い考え方なのかも。


「村人たちに逃げ場はない。こんなことをして、リスクが大きすぎるわ」


 なるほど。一時的に儲かったとしても、その後が怖いのか。だから、村人たちがなんで、こういうことしたのか謎だって。

 ゾーラは頭がいいな。


「でも、とにかくこの人たちを倒さないといけないのよね」

「ええ。そうなるわ」

「よしやりましょう! もふもふ!」


 難しいことはわからない。だから自分は、英雄のようにやれることをやるだけだ。

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「商人を襲って扱ってる品物を盗めば、確かに儲かるわ。けど商人にひとりでも生き残りがいて、それを村の外に知らせたら。その時点で村は終わりよ。村ぐるみでこういうことをしてるというなら、なおさら。近くの街か…
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