第15話_朝の光と、隠しきれない想い
朝の光がカーテンの隙間から差し込んでいた。
私は誠二のベッドで、ゆっくりと目を覚ました。
隣に彼の体温を感じて、昨夜のことを思い出す。
キス。
抱きしめられた感触。
そして「今夜はここまでにする」と言って、私を優しく腕の中に閉じ込めた誠二。
私はそっと彼の方を向いた。
誠二はまだ眠っている。
いつも完璧に整えられている前髪が少し乱れていて、寝顔が意外と幼く見えた。
(……可愛い)
そんなことを思った瞬間、顔が熱くなった。
私は彼の胸にそっと手を置いた。
規則正しい鼓動が、指先に伝わってくる。
「ん……」
誠二が小さく身じろぎして、目を開けた。
朝の光の中で、私と目が合う。
「おはよう……香織」
低くて、眠そうな声。
でも、そこに甘さが混ざっている。
「おはよう、誠二」
私は少し照れくさくなって、視線を逸らした。
誠二は私の腰に腕を回し、引き寄せた。
「逃げるなよ」
「逃げてないわ……ただ、ちょっと恥ずかしい」
彼は小さく笑って、私の額にキスを落とした。
「昨夜は我慢したけど、朝は……もう少し、いいか?」
その言葉に、心臓が跳ね上がる。
誠二の唇が、私の唇に重なった。
朝のキスは、昨夜より少し優しくて、でも確実に欲情が混ざっていた。
手が背中を滑り、腰を引き寄せる。
私は彼の首に腕を回し、応えるようにキスを返した。
息が混ざり、身体が熱くなる。
「ん……誠二……」
名前を呼ぶと、彼の腕に力がこもった。
「もっと、呼んで」
「誠二……」
彼は満足そうに笑って、私の首筋に唇を這わせた。
「可愛い」
朝の光の中で、二人の影が重なる。
でも、誠二はそこで一度止まった。
「……仕事があるな」
私は少し残念そうに彼の胸に顔を埋めた。
「ええ……今日は月曜だし」
誠二は私の髪を優しく撫でながら、ため息をついた。
「オフィスでは、今日も『佐藤さん』だな」
「そうね……」
私は彼の胸から顔を上げて、微笑んだ。
「でも、誰も見てないときは……誠二でいい?」
誠二の目が、優しく細められた。
「もちろん」
彼はもう一度、軽く私の唇にキスをした。
「これからは、毎日こうして朝を迎えたい」
私は彼の言葉に、胸が温かくなるのを感じた。
(この関係……ちゃんと守っていけるかな)
朝の光の中で、私は静かに彼を抱きしめ返した。
オフィスではまだ、秘密のままだ。
でも、昨夜と今朝の温もりは、確かな現実だった。
(第16話へ続く)
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