表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嘘つきなキスは、甘口で  作者: 桃宵闇 顔


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/24

第14話_誠二の部屋で

誠二のマンションは、駅から少し歩いた高層階にあった。

エレベーターで上がる間、私たちはほとんど言葉を交わさなかった。

ただ、彼の指が私の指に絡まったまま離れなくて、心臓の音がうるさかった。

ドアが開くと、広くてシンプルな部屋が広がった。

照明は落とされていて、夜景が大きな窓から見える。


「入って」


誠二は私のコートを優しく脱がせて、ソファに掛けた。

その仕草が、妙に優しくて、胸がざわついた。


「飲み物、いるか?」

「いらない……」


私は小さく首を振った。

誠二は私をじっと見てから、ゆっくりと近づいてきた。

壁に背中を預けさせ、彼の両手が私の頭の両側に置かれる。


「香織」


名前を呼ばれただけで、身体が熱くなる。


「俺はもう、我慢できないって言ったよな」


彼の顔が近づいて、唇が重なった。

先週のタクシーでのキスとは違う。

もっと深くて、もっと欲情が絡みついたキス。

舌が絡み合い、息が混ざり合って、頭の中がぼんやりする。


「ん……っ」


私は彼のシャツを掴みながら、必死に息を整えようとした。

でも誠二は離してくれない。

首筋に唇を這わせ、耳元で低く囁く。


「お前が欲しい。

 ずっと、こうして抱きしめたかった」


熱い息が耳にかかって、背中が震えた。

私は彼の背中に腕を回し、ぎゅっと抱きついた。


「……誠二さん」

「誠二でいい」


彼は私の腰を引き寄せ、身体を密着させた。

シャツ越しに伝わる彼の体温が、熱い。

私は彼の胸に顔を埋めながら、小さく呟いた。


「怖い……けど、嬉しい」


誠二の腕が、私を強く抱きしめる。


「怖がらなくていい。

 俺はお前を傷つけない。

 ただ……お前が俺のものだって、ちゃんと実感したいだけだ」


彼はもう一度、私の唇を奪った。

今度はゆっくりと、味わうように。

手が背中を滑り、腰を撫でる。

私は彼の首に腕を回し、応えるようにキスを返した。

部屋に響くのは、二人の荒い息遣いだけ。

誠二は私の唇を離すと、額を私の額にくっつけて、息を整えた。


「……今夜は、ここまでにする」

「え……?」


私は少し驚いて彼を見上げた。

誠二は苦笑しながら、私の髪を優しく撫でた。


「本気で欲しくなったら、ちゃんと準備してからお前を抱きたい。

 今はまだ……我慢する」


私は彼の胸に顔を埋めて、小さく笑った。


「……意外と紳士なのね」

「本気だからだよ」


誠二は私をソファに座らせ、自分も隣に座った。

そのまま、私を横に引き寄せて抱きしめる。


「香織」

「ん?」


「これからは、毎日お前を想う時間が、増えそうだ」

私は彼の胸に寄りかかりながら、静かに目を閉じた。


(この温もり……本物だ)


夜はまだ長い。

でも、今はこの抱擁だけで十分だった。


(第15話へ続く)

第14話までお読み頂きありがとうございます!

もし宜しかったらブックマーク、評価など励みになりますのでよろしくお願い致します!


スピンオフ作品でR18のお話もムーンライトノベルズにて制作中です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ