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転生国物語 〜50歳強制転生の世界で神に0点と蔑まれた中華屋のおばちゃん、無限連結国家群メガロモールステーツの国王に成り上がる件〜  作者: 稲盛 皆藤
第三章:人情の掟とメガロモールステーツ建国編

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第36話 0点の宣戦布告! 無限連結国家群メガロモールステーツ宣言!

 第36話:0点の宣戦布告! 無限連結国家群メガロモールステーツ宣言!


【前書き】

 まいど! Q35の正解は「※※※」だねぇ!

 すべての命を温かく包み込む、わーしの「究極の形」さね。

 これからのストーリーで「※※※」の答え合わせを楽しみにしておくれよ。

 さて、決死の炊き出しで数千人のスラム住民を救い出したわーしらだけど、管理都市の親玉(システム)がついに本気で「一斉消去(フォーマット)」を仕掛けてきたよ。

 だけどね、わーしらには第1話から少しずつ積み上げてきた「絆」と、現世のあんたたちがポチポチしてくれた「応援」の蓄積があるんだ!

 今日は、世界の冷酷な理を「人情味」で煮込み直す、最大規模の宣戦布告! 究極の大まかないの開幕さね!


【♪ 始祖のファンファーレ(幾千もの楽器と歌声が重なり合い、世界の夜明けを告げる壮大なシンフォニー) ♪】

「さあて、冷え切ったこの世界を、わーしらの味で塗り替えてやろうかねぇ!」


【本文】

『警告。警告。対象エリア全域における致命的な論理破綻を確認。メガロモールステーツおよびその周辺区画を「修正不能な重大なバグ」と認定。物理削除(フォーマット)プロトコル、最終フェーズへ移行します』


 無機質で冷徹なシステムアナウンスが、黒みがかった灰色の空から降り注いだ。

 見上げれば、メガロモールステーツの上空を埋め尽くすほどの無数の執行官たちと、漆黒の装甲に身を包んだ魔導ドローンの大群。彼らは一糸乱れぬ隊列でモールを取り囲み、その中心へ向けて巨大な魔法陣を展開し始めていた。

 境界線上では、システムの理(ルール)そのものが物理的な「透明の壁」となって出現し、マリアンたちの築き上げた国を全方位から握り潰そうと、まるで大きな歯ぎしりのような、ギリギリという不気味な音を立てて収縮を開始している。


「サトル社長! 通信網がシステムの直接干渉で焼き切れそうです!  外部とのパケット通信、パニック状態でロスト率が80パーセントを超えました! 各An-Padの画面表示すらも正直厳しいです」


 メガロモールステーツ二階、中央事務所。

 かつては閑古鳥が鳴いていたその場所は今、真っ赤なエマージェンシー・アラートの光に染まり、けたたましい警告音が鳴り響いていた。

 情報統括を担うシュンが、インフラを統括する『コア・ルーター』としての進化により、八つへと増殖した複眼を血走らせながら、複数の魔導板(ダッシュボード)を同時に操作し、必死にシステムの侵食を防ごうとしている。


「各区画責任者! 各テナントの避難誘導を急ぐだちゅ! 忘れ物してても、絶対に取りに戻したらダメだちゅ! いのちだいじに!  地下シェルターの防壁出力を最大にするちゅよ!  このままじゃ建物どころか、うちらの存在データごと完全に消されるちゅ!」


 メッキーが自身のネズミ髭を限界まで逆立てながら、各階層の責任者へインカムで怒鳴り散らす。

 サトルもまた、額に脂汗を浮かべながらメインコンソールを叩いていた。だが、彼らが今まで駆使してきたどんなビジネスロジックも、システムの絶対的な「管理者権限」の前では、まるでおもちゃの盾のように無力化されていく。


「くそっ……!  ただの物理攻撃なら冒険者ギルドの力で押し返せるが、『空間そのものの定義』を削除しに来てるんだぞ!  これが、管理都市(ディストピア)の本当の力だっていうのか……!」


「サトル社長、諦めないでください! 俺とセリアで、奴らの攻撃ロジックの隙間を探します!」


 特級内部監査官のアレンが、白煙を上げ始めた端末に食らいつく。

 その隣では、聖女セリアが静かに、だが尋常ではない速度で手元の水晶板(オラ・クルス)に術式を打ち込んでいた。


「アレンの言う通りです。いかに強大なシステムといえど、実行には必ず『リソース』を消費する。これだけの規模のフォーマットを展開している以上、管理都市(ディストピア)の中枢である『中央演算銀行(セントラル・バンク)』への接続ラインがどこかに露出しているはず……。そこへ逆ハッキングを仕掛けます。前世のマルサを舐めないでいただきましょうか」


 セリアの瞳には、かつて国税局員として巨大な脱税組織を追い詰めた時と同じ、冷徹なハンターの光が宿っていた。

 とはいえ、状況は絶望的だ。モールの外周部では、ついに防護結界にヒビが入り始め、ガラスが砕けるような轟音が響き渡る。


「……フム。我が自警団が構築した防犯プロトコルの限界を超えつつあるな。だが、逃げるという選択肢は我々には存在せん」


 一階の正面エントランス。最前線に立つ猫獣人のジッジーが、落ち着き払った鋭い眼光で、迫り来る透明な削除の壁を睨み据えた。

 その横では、ミノタウロスのミノが、自身の背丈ほどもある巨大な戦斧を、まるでおもちゃの杖のように軽々と大地に突き立て、隆起した筋肉を震わせて踏ん張っている。


「ガァァァッ! 俺たちの造った国を、俺たちの居場所を! ただのバグ扱いで消させてたまるかよぉぉぉッ!」


 ミノの咆哮に呼応するように、ガロワ率いる冒険者ギルドの面々、そして救出されたばかりの数千の住民たちもまた、武器や瓦礫、あるいはその身一つで、迫り来る「理不尽な死」の壁を押し返そうと群がった。

 だが、冷酷なシステムの力は絶対だ。彼らの足元の地面が、まるでポリゴンが崩れるようにパラパラとノイズ混じりのブロックに変換され、虚無へと吸い込まれようとしていた。


 絶望が、メガロモール全体を深い闇で飲み込もうとした、まさにその時である。


 ――ダンッ!!!


 一階の奥、セントラルキッチンの方角から、世界中の空気を震わせるほどのすさまじい音が響いた。

 それは、巨大な金属の塊が大地を叩き据える音。

 そして次の瞬間、これまで魔界のどこにも存在しなかった、とてつもない「熱量」と「匂い」が爆発的に膨れ上がったのだ。


「しけた顔してんじゃないよ、あんたたち!!」


 凛とした、それでいて太陽のように温かい一喝。

 翠色の大きな羽根をバッサバッサと羽ばたかせ、マリアンが姿を現した。

 彼女の背後には、ドワーフの鍛冶師ペンジがこの日のために不眠不休で鍛え上げ、モール中の魔導炉を連結して造り上げた特製の超巨大調理器具――『万物包摂の大鍋(メガロ・ポット)』が鎮座している。直径十メートルはあろうかというその大鍋の下では、すでに業火が轟々と音を立てて渦巻いていた。


 マリアンの後ろには、この国が抱える「全眷属」が、各地の最高の食材を両手いっぱいに抱えて集結していた。

 モール内の農業区画で泥まみれになって作物を育ててきた鬼人族やコボルト。物流を担ってきた竜人。そして、かつてシステムに「不要」と切り捨てられ、マリアンの飯に救われた名もなきスラムの住人たち。


「バウさん!  まずは土の匂いがいっぱいのネギと白菜を、ありったけ大鍋にぶち込みな!  システムの無機質なデータなんかじゃ生み出せない、命の根源の味さね!」


「任せてくだせぇ、大女将!  この日のために、特製堆肥から見直して育てた極上野菜だぜ!」

 コボルトのバウが、荷車に山積みされた新鮮な野菜を次々と大鍋へ放り込む。


「ドガルド!  もっと火力を上げな!  絶望ごと煮溶かすくらいの地獄の業火以上の極上の火加減だよ!」


「オウサ!  ドワーフの意地、見せてやらぁ!  魔導炉、限界突破(オーバーロード)だぁ!」

 ドガルドがレバーを引き下げると、大鍋の底から吹き上がる炎が黄金色に輝き、凄まじい熱波がモールを包み込んだ。


「セリアちゃん!  アレン!  あんたたちはシステムの『裏帳簿』から、奴らが今まで住民から中抜きして溜め込んでた最高級の魔力をハックして持っておいで! 出し汁に加えてやるからさ!」


「「了解!!」」


 二階の事務所から、アレンとセリアの声が響く。

 セリアの指先が目にも止まらぬ速さで踊り、システムの防壁に生じた僅かな綻びから、管理都市(ディストピア)の根幹たる『中央演算銀行(セントラル・バンク)』へとアクセスを確立した。


「見つけました。第9区画の住民たちから不当に搾取されていた、莫大な生命力データ……!  これより強制差し押さえを実行し、大鍋の魔力回路へと全額転送します!」


「俺が転送のバイパスを繋ぐ!  シュン、大鍋の受け入れ容量の最適化を頼む!」


 異種族たち、そして転生者たちの息の合った連携。

 マリアンの号令の下、あらゆる「命の証」が一斉に大鍋へと投入されていく。


 ジュワァァァァァァァァァッッッ!!!


 食材と魔力が弾け、旨味の結晶となって爆発する強烈な調理音。

 それは、空を覆う魔導ドローンの不快な駆動音や、迫り来るシステムの削除音を、強引に、そして痛快にかき消していった。


「シュンちゃん!  現世との『シンクロ率』はどうだい!」


 お玉を構えたマリアンが上を向いて叫ぶ。

 天井のモニター群を見上げていたシュンが、信じられないものを見たかのように声を震わせた。


「……異常です。ミクさんの配信枠を通じて繋がっている、現世の視聴者の『評価(☆)』と『ブックマーク』の量が……カンストどころか、もはやサーバーが計測不能なレベルで暴走(オーバーフロー)しています……!」


 サトルの魔導板(ダッシュボード)が、見たこともない黄金の閃光を放ち、アラートをすべて幸せの詰まった「祝祭」の色へと塗り替えていく。


 次の瞬間、世界からすべての音が消えた。


≪♪システム音完全停止――荘厳にして不可侵な『天の声』が、全宇宙へ響き渡る♪≫


 〓〓〓〓〓【 最終警告:因果律の臨界点を突破!! 】〓〓〓〓〓

 【 現世人類の観測者による全承認プロトコルを確認 】

 【 シンクロレート:測定不能(∞) 】


『告。個体名:マリアンの魂に蓄積された「人情バフ」が、世界の許容量を超過しました。

 これより、現世と魔界を繋ぐ全回路を解放。

 最終進化プロセス――『世界の再調理(リメイク)』を実行します』


 パリィィィィィィィンッ!!!!

 魔界の空が、まるで薄いガラスのように粉々に砕け散る。

 その亀裂から流れ込んできたのは、現世の人々がポチポチと押した「ブクマ」と「評価」の結晶――数千万、数億の光の粒子だ。


『究極能力【大衆包摂聖域(アットホームゾーン)】を『根源』へ統合……成功しました。

 固有権能【無自覚の強制眷属化(フィーディング)】を世界の基本法へと昇華……成功しました』


『条件が整いました。

 種族:『極楽厨房の饗食天使《パラダイス・キッチン・エンジェル》』から、

 唯一無二の神性種族――【慈愛の始祖(マザー・マリアン)】へと最終進化します』


 ピキィィィィィィンッッッ!!!

 マリアンの身体が、太陽よりも眩い慈愛の光輪に包み込まれる。

 ちび女将の面影を残しつつも、その姿は後光を背負った、ふっくらと温かい「聖母」そのものへと変貌を遂げていく。


『進化に伴い、究極能力【概念調理】を獲得しました。

 これより世界の理(システム)を「いただきます」の精神で煮込み直します』


【♪ 創世のファンファーレ(全楽器が咆哮し、聖歌隊のコーラスが世界の夜明けを告げる、圧倒的なカタルシス) ♪】


 宇宙創生ビッグバンのように光の粒子が爆発し、マリアンが巨大なお玉を天高く掲げた。

 その背後には、これまで仲間になった全種族――鬼人、ドワーフ、竜人、コボルトたちが、一つの巨大な「家族」として光の鎖で連結されていた。


「……要するにさ!  理屈や数字じゃ、お腹は膨らまないんだよッ!!」


 ブワァァァァァァァァァァァァッッッ!!


 システムの理(ルール)が煮崩れ、世界が包み込まれていく。

 マリアンがお玉を振り抜いた瞬間。

 火鍋から溢れ出した濃厚な湯気が、物理的な津波となって全方位へ猛烈な勢いで吹き荒れた。

 それは単なる熱ではない。「食事の温かさ」「誰かと食卓を囲む喜び」「命を頂く感謝」……そうした感情の概念そのものが、抗うことのできない旨味の奔流となって、迫り来る管理都市の軍勢と、冷酷なシステムの壁を完全に飲み込んだのだ。


 湯気をモロに浴びた上空の執行官たちの動きが、ピタリと止まる。

 彼らの感情を殺していた「死んだ目」が、驚愕と、そして微かな戸惑いに見開かれた。


「な、なんだ……!?  削除対象のバグデータから……『懐かしい母ちゃんの味』が検出されるだと……!?」

「馬鹿な……我々はシステムによって感情をデリートされているはず……。だが、涙が……止まらない……!」


 武器を取り落とし、両手で顔を覆って泣き崩れる執行官たち。

 さらに、無敵を誇った漆黒の魔導ドローンたちも、湯気に触れた端からシステムのエラー音を吐き出し、機能停止して次々と地上へ墜落していく。

 物理削除プロトコルを構成していた透明な壁は、マリアンの人情のスパイスによってドロドロに「煮崩れ」、ただの温かい霧となって消え去っていった。


「冷酷なコードが……ただの『いただきます』という意志によって、完全に上書きされていく……!」

 モニター越しにその光景を見ていたアレンが、震える声で呟く。


 すべてを制圧したマリアンは、空高く浮かぶシステムの巨大な眼――『閻魔モニター』を真っ直ぐに指差し、高らかに、そして世界中に響き渡る声で宣言した。


「聞きな、腐れシステム!  数字でお腹は膨らまないし、効率だけで心は温まらないのさ!  今日、この瞬間からここは、あんたたちの管理下じゃない。わーしのごはんを食べた者は全員が家族、誰一人見捨てない、自由で温かい国――『無限連結国家群(メガロモールステーツ)』の誕生だよッ!!」


 ワァァァァァァァァァァァァッッッ!!!


 地響きのような大歓声が、メガロモール全域から巻き起こった。

 それは、システムから0点と蔑まれ、無価値だと切り捨てられてきた者たちによる、世界の理に対する、最も美味しくて最も泥臭い「宣戦布告」の瞬間だった。


「……素晴らしいですね。これがマリアンさんの言う『眷属化』の正体ですか。計算式で言えば、愛と食事のデータ量が、システムの処理能力を完全に超えた……幸福なオーバーフローですね」


 セリアが水晶板(オラ・クルス)を胸に抱き、この世界に来て初めて、心の底からの満面の笑みを浮かべた。

 その傍らで、大鍋の近くに墜落した魔導ドローンの残骸から、ペンジが淡く光る「中枢結晶(コア・クリスタル)」をこっそりと拾い上げ、ニヤリと笑う。この未知のシステムコアが、後の彼らの技術をさらなる次元へ引き上げる重要な鍵となることを、まだ誰も知らない。


「さあ、みんな!  宣戦布告の後は、お待ちかねの大宴会さね!  冷めないうちに、たっぷりお食べ!」


 マリアンの合図とともに、朝日が昇る荒野に、全住民の「いただきます!」の大合唱が響き渡る。

 一人の「家族」から始まった小さな下町の中華屋杏(あん)は、ついに世界の理を揺るがす巨大な「国家」へと、レゴブロックの如き強固な絆で連結されたのだった。


【後書き】

 最後まで読んでくれてありがとねぇ!

 ついにやっちゃったよ、管理都市への宣戦布告! 世界の冷たいルールを火鍋で煮込み直すなんて、わーしも進化するまで思いつかなかったさね。

 でもね、あんたたちが今まで毎日積み上げてくれた応援の「☆」や「ブクマ」が、最後にシステムをハックする最大の鍵になったんだよ。本当に、画面の向こうにいる家族のみんなのおかげさね!

 次回からは、いよいよ第4部「世界変革編」のスタートだよ!

 この無限連結国家群を中心に、魔界全体の狂った経済とシステムを、うちらの人情と商売で根こそぎハックしていくからね! ペンジがこっそりと拾ったあの「謎のクリスタル」も、とんでもない新事業の火種になりそうさ……!


 システム(閻魔)からの出題【Q36:究極能力の秘密】

 第4形態【慈愛の始祖】になったマリアンが獲得した、世界の理を味付けし直す究極能力の名前は何かな?

  ① 宇宙炊飯(コスミック・ボイル)

  ② 概念調理《コンセプト・クッキング》

  ③ 大衆包摂《マス・インクルージョン》


「ヒントはねぇ、調理こそが世界の不平等を正す唯一の手段だってことさね!

 さあ、応援の評価☆☆☆☆☆とブックマークのバフ、これからも全開でよろしく頼むよ!」

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