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転生国物語 〜50歳強制転生の世界で神に0点と蔑まれた中華屋のおばちゃん、無限連結国家群メガロモールステーツの国王に成り上がる件〜  作者: 稲盛 皆藤
第三章:人情の掟とメガロモールステーツ建国編

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第27話 荒くれ者たちの就職活動と鉄壁の門! 冒険者ギルドとスタミナ排骨麺!

 まいど! Q26の正解は「② 『不要なリソース』として治療もされずに廃棄・放逐される」だねぇ!

 怪我しただけでゴミみたいに捨てるなんて、本当に胸糞悪い連中さね。

 わーしらの国じゃ、エルザたちが絶対にそんなことさせないよ!


 さて、復興会議を経て、わーしらのモールも本格的な『独立国家』の計画が整ってきた。

 でも、人が増えれば治安も悪くなるし、食料や資源の調達も追いつかなくなる。

 今回は、ジッジーさんの鉄壁の入国管理と、ウチでタダ飯食って暴れた荒くれ者たちの

「就職活動」のお話さ!


【♪ 男の勲章(泥臭くも力強い、哀愁漂う昭和歌謡) ♪】


「さあて、皿洗いが終わったなら、次はガッツリ稼いできてもらうよ!」

 メガロモールステーツの正面には、現在大きく分けて二つの入口が用意されていた。

 一つは、食事や買い物に訪れる一般客を華やかな光と音楽でスムーズに迎え入れる

『ウェルカムゲート』。

 そしてもう一つが、かつての廃墟の面影を完全に消し去り、ミノが率いる土建ギルドによって

幾重もの魔導防壁が施された、威圧感すら漂う『鉄壁の門』だ。


 こちらは純粋な客ではなく、この新天地に定住を希望する者や、一旗揚げようと職を求めて

やってきた者たちのための『入国管理および従業員専用ゲート』である。

 門の前には、国境を越えてやってきた数万の魔物やならず者、転生者たちが列を作って

ひしめき合っていた。その光景はまるで、新しい国家の産声を聞きつけ集まってきた巡礼者の

ようでもある。


「次。魔力スキャン完了。不審物なし。……よし、ゲート・オープンだ。

 モール内での揉め事は即刻『自警団』が制圧する。ルールを守って楽しむことだ」


 一階の警備室。モニターの向こう側で、猫獣人のジッジーがパイプを燻らせながら、鋭い眼光

で監視を続けていた。モニターには、列の端から端までが網羅されており、ほんの僅かな挙動

不審者さえ見逃さない。彼がトップを務める『自警団』は、いわゆる警察・防衛局・入国管理を

纏めて扱う。メガロモールステーツという独立国家を樹立するために、最も重要な組織である。


「おい、そこの猫野郎! 俺たちはCランクの凄腕冒険者だぞ!

 飯も食ってねぇんだ、いちいち並んでられるか! さっさと通せ!」


 列に割り込もうとしたのは、鋭い爪と牙を持つ血の気の多い獣人たち。彼らは武器を誇示し、

威嚇するように列を乱した。周囲の入国希望者たちが怯えて身を引く中、ジッジーは動じない。

彼は耳をピクリと動かし、煙を吐き出すと、静かに通信機を手に取った。


「……プロトコル発動。我が門前にて威嚇行為を確認。排除せよ」


 次の瞬間、列に潜んでいた自警団の鬼人族が、風のような速さで男たちの背後へ回り込んだ。

男たちが気づいたときには、すでに武器は弾き飛ばされ、冷たい石畳に顔面から押さえつけられ

ていた。


「……我が防犯プロトコルに、列を乱すチンピラの入国許可はない。

 力自慢がしたければ他所へ行け。ここはお前らの遊び場じゃない。

 武器を没収し、裏口へ連行しろ。女将さんの『特別指導』を受けてもらう」


「は、離せ! 特別指導ってなんだよ! 痛ぇ、離せってんだよ!」


 ジッジーの冷徹な一言に、男たちはあっという間に自警団に引きずられていった。

 抵抗の余地など欠片もない。彼らが送られた先は、モールで一番恐れられている「聖域」、

中華屋『杏(あん)』の厨房裏だった。



 そこは、熱気と蒸気に包まれた戦場だった。先ほどの獣人たちを含む数十人の屈強な荒くれ

者たちが、エプロン姿で汗と洗剤の泡にまみれながら、必死にスポンジを動かしていた。

 マリアン名物『皿洗いの刑』である。


「おい! そっちの寸胴鍋、まだ油が残ってんぞ! 女将さんに殺される気か!」


「バカ野郎、すすぎが甘い! キュッキュッと音がなるまで磨き上げろって言われただろ!

 終わらねぇと飯抜きだぞ!」


 彼らを指揮するのは、先に捕まったならず者たちの中の古参格だ。最初は反発していた彼ら

だが、今や完全に「皿洗いのプロ」としての自覚が芽生え始めていた。かつては魔界の荒野で

略奪や野盗を繰り返し、システムからも「粗大ゴミ」と見なされて捨てられた彼ら。だが、

ここでは一味違う。

 一皿、一鍋を洗うたびに積み重なる成果。暴力ではなく、泥臭い労働の達成感が、彼らの

荒んだ心を少しずつ溶かしていた。


「……へへっ、見てくれよ。俺たちの仕事、ほらピカピカだろ。

 何だか心が洗われていく気分だぜ」


 誰かが呟くと、周囲から「ああ、悪くねぇ」「ここだと、俺たちでも役に立ってんだな」

という声が漏れる。それは、システムに刻み込まれた「無価値」という烙印を、自らの手で洗い

流すような光景だった。



 二階の中央モール事務所から、ガラス越しにその様子を見下ろしていたゴブリンのサトルが、

魔導板(ダッシュボード)を操作しながら深いため息をついた。


「……ジッジーさんのおかげで治安は盤石っす。

 エルザさんの治癒士ギルド、ペンジさんの鍛冶屋ギルドも順調に機能してる。

 街の骨組みはできた。でも、次の課題は『外部資源』っすね」


「ちゅっ。モール内の循環農業のおかげで、野菜や穀物は自給できてるだちゅ。

 でも、それだけじゃ『国家』としては不十分だちゅよ」


 ネズミ獣人のメッキーが、髭をピクリと動かして答える。


「魔界特有のレアな香辛料や、強力な魔獣の肉、それに魔導具のコアになる希少な鉱石……。

 これらを安定して仕入れるための『外回り専門の部隊』が圧倒的に足りないだちゅ。

 管理都市から見放された資源を、自ら獲りに行く手段を作らなきゃいけないだちゅよ」


 そこへ、背中の美しく大きな翠色の羽根を揺らし、ふっくらとグラマラスな美女へと成長した

マリアンが、巨大なお玉を肩に担いで現れた。彼女はガラス越しに、階下で必死に泡まみれで皿

を洗う荒くれ者たちをピタリと指差した。


「だったら、うってつけの連中が下で泡まみれになってるじゃないのさね!」


「えっ? あの皿洗いの刑を受けている荒くれ者たちをっすか?」


 サトルは怪訝そうな顔をする。


「そうさ! あいつら、腕っぷしは立つし、何よりこの数日で『働くことの筋』ってもんを

 体が覚え始めてる。昨日までただのチンピラだった奴らが、今日には俺たちの仲間として

 皿を洗ってるんだよ。あとは、帰ってくる『家』と、魂まで温まる美味い『飯』を与えて

 やればいいのさね!」


 マリアンは一階の厨房へと降り立ち、白い割烹着姿の神崎と共に、凄まじい熱気の中で巨大な

鉄鍋に向き合った。


「神崎さん! 今日は外で体を張る連中のための、特別メニューだよ! ガッツリいくよ!」


「御意!!」


 神崎が見事な包丁さばきで、極厚に切られた豚の骨付きあばら肉(排骨(パイコー))を下処理する。

マリアンはそれに、特製の醤油ダレと五香粉(ウーシャンフェン)、たっぷりのすりおろしニンニクを

豪快に揉み込んだ。

 片栗粉をまぶし、高温の油が波打つ巨大な中華鍋へと一気に放り込む。


 ジュワァァァァァァァ……ッ!!


 爆発的な油の音と共に、スパイシーで暴力的なまでの肉の香りが厨房全体に広がる。

 きつね色にカラッと揚がった排骨(パイコー)を引き上げ、包丁でザクッ、サクッ! と豪快に叩き

切る。肉汁がまな板にジュワっと溢れ出した。


 その横では、マリアンが鶏ガラと豚骨を極限まで煮込んだ濃厚な醤油スープを温めた丼に注ぎ、

平打ちの太麺を勢いよく湯切りして泳がせた。

 茹でたての青梗菜を添え、その上に、切り分けた熱々の排骨(パイコー)をドカッ!と山盛りに

乗せる。


「お待たせ、野郎ども!

 疲れた体に染み渡る、『ドカ盛り・スタミナ排骨麺(パイコーメン)』の完成さね!」


「……終わった……。今日の分の皿洗い、全部終わったぞ……」


 疲労困憊でへたり込む荒くれ者たちの前に、マリアンと神崎が巨大な丼をドンッ!と並べた。

 立ち上る濃厚なスープの香りと、五香粉の甘くスパイシーな匂いが、彼らの空腹を限界まで

刺激する。


「さあ、食いな! あんたたちへのまかないだよ!」


 リーダー格の狼獣人の男、ガロワが、震える手で箸を取り、黄金色に輝く排骨(パイコー)にかぶり

ついた。


「……ザクッ、ジュワァァ……ッ!」


 カリカリの衣を突き破り、豚肉の強烈な旨味とニンニクのパンチが口いっぱいに弾ける。

それに濃厚なスープをたっぷりと吸い込んだ太麺が絡み合い、胃袋の底からマグマのような活力

が湧き上がってくる。


「う、美味え……! なんだこれ、美味すぎる……ッ!!」


 無我夢中で麺を啜り、骨付き肉を噛みちぎる男たち。気がつけば、ガロワの目から大粒の涙が

ボロボロとこぼれ落ちていた。


「……俺たち、ずっとシステムから『価値なしのゴミ』って捨てられて……

 誰かから奪わなきゃ生きていけなかった。それなのに……

 なんで、こんなに温かくて美味い飯を……俺たちなんかに……」


 ガロワは言葉を詰まらせた。マリアンは腕を組み、ニッと笑って言い放った。


「あんたたちは、わーしの店でしっかり働いて、皿をピカピカにしてくれた。

 立派なわーしらの家族さね! ……これからは、その有り余る体力と剣術の腕で、

 わーしらの国のために外の珍しい食材や鉱石を集めてきな!」


 マリアンは巨大なお玉を担ぎ直し、背後に控えていた屈強な男を指差した。


「あんたたちをモール公認の組織、『冒険者ギルド』の初期メンバーに任命するよ!

 そして、そのトップとして、ギルドマスターを務めるのは――」


「ザン! あんたのその腕っぷし、いつまでも倉庫の荷運びだけで終わらせる気はないさね!

 倉庫は他の竜人たちに任せて、あんたはこの荒くれ者たちを率いて外で暴れてきな!」

 

「……フン。応よ、女将。この命、あんたの国の『牙』として使い切ってやるぜ」


 隻眼の竜人・ザンが、自慢の戦斧を地面に突き立てて一歩前へ出た。

 かつて同じく「0点」として管理都市に捨てられ、マリアンの人情飯に魂を救われた彼だから

こそ、その眼光にはガロワたちを圧倒する説得力があった。


「ぜ、前世で伝説の戦士だったっていう、あのザンさんが俺たちの頭に……!?」


「冒険者ギルド……俺たちが、公認の……!」


 驚くガロワたちに、マリアンはさらに畳み掛ける。


「外で怪我しても、エルザの治癒士ギルドが絶対に治してやる。

 武器が壊れたらペンジの鍛冶屋ギルドが叩き直す。

 そして、稼いだ金で美味い飯を食い、安全なベッドで寝な!

 だから、安心して暴れてきな! 街の外にあるお宝を根こそぎ持ってくるんだよ!」


「う、うおおおおッ!! ザンのお頭! 女将さん! 一生ついていきます!!」


 男たちは空になった丼を抱きしめ、子供のように声を上げて泣き崩れた。

 彼らは生まれて初めて、「帰るべき場所」と「誇り」を手に入れたのだ。


 こうして、荒野を彷徨っていた荒くれ者たちは、国家の外部資源を一手に担う『冒険者ギルド

(資源調達局)』として力強く生まれ変わった。

 ジッジーの自警団による鉄壁の守りと、ザン率いるガロワたち荒くれ者のギルドによる

資源供給。無数の歯車がレゴブロックのようにガチッと噛み合い、メガロモールステーツは、

もはや一つの『国家』としての圧倒的な鼓動を鳴らし始めていた。


 システムが支配する非情な管理都市(ディストピア)の外側で、彼らは今、新しい国という「家族」

を見つけたのだ。その鼓動は、やがて来るであろうシステムとの全面戦争に向けた、夢と希望、

何よりも力強い響きとなっていた。

 最後まで読んでくれてありがとねぇ!

 最初はただのチンピラだった連中も、しっかり叱って、美味い飯を食わせて、居場所を作って

やれば、こんなに頼もしい国の宝になるのさね!

 システムみたいに数字だけで切り捨てるなんて、本当にもったいない話だよ。

 ジッジーさんの自警団と、ガロワたちの冒険者ギルド。これでわーしらの国も外の脅威に

負けないくらい強くなったさね!


 さて、次回はさらにインフラが拡大! 冒険者たちが持ち帰った鉱石を使って、何やら面白い

ものが作られるみたいだよ。お楽しみにね!


 システム(閻魔)からの出題【Q27:荒くれ者たちの更生】

 マリアンが荒くれ者たちを冒険者ギルドの立派なメンバーへと鍛え直すために課した、

わーしの店の名物の「刑」とは何かな?


 ① 吸血スライムのプールで泳がせる刑

 ② 一日中魔導板(ダッシュボード)に入国者名簿を入力する刑

 ③ 厨房の裏での皿洗いの刑


「ヒントは、今日は無しさね。 あんた達なら、どれが正解かすぐ分かるよねぇ?

 応援の評価☆☆☆☆☆とブックマークのバフ、よろしく頼むよ!」

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