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転生国物語 〜50歳強制転生の世界で神に0点と蔑まれた中華屋のおばちゃん、無限連結国家群メガロモールステーツの国王に成り上がる件〜  作者: 稲盛 皆藤
第三章:人情の掟とメガロモールステーツ建国編

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第26話 モール復興会議と治癒士ギルド開設に、滋養強壮・参鶏湯サムゲタン風スープを添えて

 まいど! Q25の正解は

 「③ 天使の羽根もエルフの耳も併せ持つ、ふっくらグラマラスな『絶世の美女』」だねぇ!

 驚いたかい? わーしも鏡を見てひっくり返りそうになったさね。でも、中身はいつもの下町の

おばちゃんだから安心してちょうだいな!

 さて、二色火鍋で敵も味方も丸め込み、ウチのモールはいよいよ次のステップへ進まないとね。

 システムにぶっ壊されたモールを直すんだけど、ただ元通りにするんじゃ意味がない。

 これからは人々の生活に欠かせないインフラを、計画的に誘致していくのさ。

 それじゃあ、第26話、元気いっぱいにいってみようかねぇ!


【♪ 癒やしのワルツ

 (優しく包み込むようなストリングスと、柔らかな木管楽器が奏でる昭和ポップス調の旋律) ♪】


「さあて、痛いの痛いの、全部美味しいスープで飛んでいきな!」

 閻魔システムによる大規模粛清部隊の襲来と、それに対抗して結成された「自警団」。

 そして、敵味方問わずすべてを胃袋で飲み込んだマリアンの『二色火鍋』の宴から数日後。

 半壊したメガロモールステーツの広場に立てられた仮設テントの中で、生き残った主要

メンバーたちによる「緊急復興会議」が開かれていた。


「……いいっすか、皆さん。

 ただ崩れた建物を元通りに直すだけじゃ、また同じことの繰り返しっすよ」


 ゴブリンのサトルが、ひび割れた魔導板(ダッシュボード)を指先で弾きながら、真剣な顔で一同を

見回した。


「これだけ多種族の人口が爆発的に増え、さらにシステムという明確な『外敵』が

 存在する以上、僕たちは単なる巨大な商業施設から、『国家』としての機能を有する

 メガロモールステーツへと全システムを移行させなきゃいけないんすよ」


「ちゅっ。サトル社長の言う通りだちゅ」


 ネズミ獣人のメッキーが、腕を組みながら深く頷いた。


「人間や魔物が安全に暮らすためには、商業施設だけじゃダメだちゅ。

 病院、警察、役所、裁判所、議会……そういった人々の生活に絶対に欠かせない

 『インフラ機能』を、計画的にこのモールへ誘致していく必要があるだちゅよ」


 二人のエリートビジネスマンの提案に、巨大な腕を組んで聞いていた一級建築士、

ミノタウルスのミノが鼻息を荒くした。


「フン、なるほどな……。その『インフラ機能』とやらを、この世界のシステムに合わせて

 『冒険者ギルド』や『鍛冶屋ギルド』といった組織にモジュール化し、俺たちのモールに

 レゴブロックのようにガチッと組み込むってわけだな!」


「そういうことやな!」


 オークのペンジが身を乗り出して膝を叩く。


「ワイらの『ファクトリー・ウイング』も、単なる作業場やのうて、

 インフラを支える、その『鍛冶屋ギルド』として正式に機能させるっちゅうことや!」


「……フム。ならば、私が先日立ち上げた自警団も、警察と軍隊を兼ねた『治安維持局』みたいな

 新しい名称が必要になるのかもな……いや少し響きが重いな。まあ『自警団』でいいのか?

 今度、モールマネージャーに相談してみるか」


 包帯姿の猫獣人・ジッジーが、満足げにパイプの煙をくゆらせた。

 商業、技術、治安。それぞれのプロフェッショナルたちが、自分たちの役割を「国家基盤」と

して再定義していく。無機質なシステムに対抗するための、泥臭くも強固な血の通った国造りが、

今まさに始まろうとしていた。

 だが、その熱気を帯びた議論を、ピシィィン! と小気味よい音が遮った。


「はいはいはい! 難しい計画を立てるのは結構だけどさぁ!」


 テントの入り口から現れたのは、背中に翠色の美しい羽根を生やし、ピンと尖ったエルフの

耳を持つ、ふっくらとグラマラスな絶世の美女。先日、第3形態【極楽厨房(パラダイス)の饗食天使(キッチン・エンジェル)】

へと進化を遂げたマリアンだった。


「あーもう! この羽根、あちこち引っかかって邪魔くさいねぇ!」


 バサバサと翠色の羽根を揺らしながら愚痴をこぼすマリアン。その下町のおばちゃんの豪快な

口ぶりに、びくびくしながらひそひそと小声で会話するスライムアイドルたち。


「マリアンのおばちゃん、その羽根引っ込むちゅよ!」 


 臆病なスライムアイドルたちに代わって、恐れずズケズケ代弁するメッキー。


「あら、そうなのかい。よいしょっと。あらやだ、背中に引っ込められたじゃない。

 早く教えなさいよ」


 彼女は背中の大きなエルフの羽根が制御できたことに満足だったが、右手の巨大なお玉でテント

の奥、ひときわ忙しなく人が出入りしている一角をピタリと指差した。


「……それはともかく、あんたたち、国を造るんなら、

 何よりもまず『一番最初』に作らなきゃいけない場所があるじゃないのさね!」


「一番最初……ですか?」


 サトルが首を傾げると、マリアンは力強く頷いた。


「そうさ! どんな立派な役所や裁判所があったって、怪我して苦しんでる仲間を見捨てちゃ、

 そんな国に明日はないよ! 今一番必要なインフラは、命を救う場所さね!」


 マリアンの指差す先。復興現場の片隅に設けられた巨大な臨時医療テントでは、壮絶な戦いが

繰り広げられていた。


「ウサミチ! 次の負傷者を第一テントへ!

 シュンちゃん!各エリアの負傷者数のデータをリアルタイムで更新して!」


「了解! 爆速で搬送します!」


「バックエンド、最適化完了。医療リソースの配分状況を魔導板(ダッシュボード)に同期します!」


 飛び交う怒号と電子音の中、ハーピー族のエルザが、血や泥で汚れた白衣を翻しながら、

野戦病院と化したテント内を飛び回っていた。


「そこ、止血が甘いわ! もっと強く圧迫して!

 エルフの回復魔法部隊、魔力配分を計算しなさい。

 次の患者、バイタルチェック急いで!」


 彼女の足元には、モールの防衛戦で傷ついた鬼人族やドワーフたちだけでなく、システム側

から送り込まれ、負傷兵として捨てて行かれた「光の兵士」たちや、闇の「魔族」たちまでも

がズラリと寝かされていた。


「エルザさん! 鬼人族の若手の傷が深いです!」


「どきなさい!」


 エルザは瞬時に駆け寄り、両手から柔らかな光を放って傷口を塞いでいく。


「……おい、俺たちはあんたたちの敵だぞ。なぜ、手当てをする……」


 腹部に深い傷を負い、エルザの治癒魔法を受けていたシステム側の元兵士が、信じられない

ものを見るような目で呟いた。

 彼の常識――いや、効率と数字が支配する『管理都市(ディストピア)』の常識では、

ポイントが尽き、戦闘不能になった兵士は「不要なリソース」としてその場で廃棄されるのが

当たり前だった。回復魔法という高コストなリソースを、使い捨ての末端兵士に割くなど、

システム上絶対にあり得ないのだ。

 エルザは冷ややかな視線を元兵士に向け、手元のカルテ代わりの魔導板(ダッシュボード)にペンを

走らせながら言い放った。


「勘違いしないで。私はあなたたちの思想に共感して助けているわけじゃないわ」


「だったら、なぜ……」


「……でもね、私の前世の仕事は『看護師』。あの過酷な救急救命病棟で、

 ポイントなんかじゃなく『命』そのものと向き合ってきたのよ。

 目の前に怪我人がいるなら、治す。それが、『遠佐(えんさ)』と呼ばれていた人間の頃から、

 こんな魔物の体になった今も変わらない、私の生きる信条よ」


 エルザは元兵士の目を真っ直ぐに見据えた。


「ここでは、システムじゃなくて私がルールなんだから、黙って治療を受けなさい!」


 その圧倒的な迫力と矜持に、元兵士は呆然とした後、静かに涙を流した。冷酷なシステムの中

で一度は捨てられた命が、泥臭い人情の街で無条件に救われたのだ。



「……エルザさんの部隊、凄まじい稼働率っすね」


 テントの入り口からその様子を見ていたサトルが、感嘆の息を漏らす。


「ちゅっ。管理都市(ディストピア)が『怪我人は切り捨てる』という恐怖のマネジメントで

 回っているのに対し、ウチは『誰一人見捨てず、必ず治して現場に復帰させる』。

 この圧倒的な『安心感(セーフティーネット)』こそが、これからのメガロモールステーツの国家と

 しての最大のブランド価値になるだちゅ!」


 メッキーの言う通り、エルザの献身的な治療は、モール全体の士気と忠誠心を爆発的に高めて

いた。

 しかし、不眠不休で働き続けるエルザ自身も、限界に近づいていた。


(……ダメよ。ここで私が倒れたら、誰がこの子たちを助けるの……。

 私が、私がしっかりしなきゃ……!)


 視界が揺れ、エルザの膝がガクンと折れそうになった。

 その時だった。


「――はい、そこまで!

 働き詰めのナースも、怪我したはらぺこ共も、全員揃ってこれをお食べ!」


 心地よい足音と共に、マリアンが巨大な配膳カートを押してテントに乗り込んできた。


 ジュワァァァ……ッ!! グツグツグツ……!!


 カートの上には、真っ赤に熱せられた巨大な石鍋が乗っており、中から白濁した濃厚なスープ

が爆ぜるように音を立てている。途端に、生薬と鶏肉の甘く深い香りが、血の匂いが充満して

いたテント内を完全に塗り替えた。


「マリアンさん! これは……!」


「わーし特製の『滋養強壮・参鶏湯(サムゲタン)風スープ』さね!

 丸鶏のお腹に、高麗人参やナツメ、ニンニク、もち米をギッシリ詰めて、

 骨の髄までホロホロになるまで極限まで煮込んであるんだ。

 閻魔システムの野郎が何言ってやがるんだか知らないけどね、

 身体の芯から温まる本物の栄養ってやつを、その胃袋に刻み込みな!」


 マリアンが器にたっぷりとスープを注ぎ、エルザや負傷兵たちに次々と手渡していく。


「ありがとう、マリアンさん……」


 エルザが震える手でスープを口に運ぶ。


 サクッ、ホロリ。


 スプーンを入れるだけで、若鶏の肉が繊維からほどけるように崩れていく。


「……っ! 美味しい……。濃厚な鶏の旨味と、生薬の香りが身体中の細胞に染み渡っていく……。

 すり減っていた魔力まで、信じられないスピードで回復していくわ……!」


「うめぇぇぇっ! なんだこの温かさは!

  俺たちの街の合成食には、こんな温もりはなかった……っ!」


 敵も味方も関係なく、極上のスープの前に涙を流して器を空にしていく。システムの冷酷な

法則が、マリアンの人情スープによって完全に溶かされた瞬間だった。

 エルザは空になった器をそっと置き、まっすぐにマリアンを見つめた。


「マリアンさん。私、決めたわ」


「ん?」


「この街のインフラの第一号として、正式な『治癒士ギルド』を立ち上げる。

 誰が怪我をしても、病気になっても、私が全員、完璧に治してあげる。

 だから……あなたのそのスープで、私たちの命を繋いでちょうだい」


「ヒヒッ! 任せときな! ウチの厨房は、魔界一の『命の補給所』だからね!」


 こうして、メガロモールステーツという新たな国家のインフラ第一号として、エルザを局長

とする『治癒士ギルド(衛生福祉局)』が、レゴブロックのようにガチッと組み込まれた。

 さらに、衛生管理において不可欠となるゴミや死体の正しい処理問題も、スライムアイドル

たちの協力で解決に向かった。彼女たちの友達である「クリーンスライム」たちを呼び寄せて

もらい、処理施設部門としてエルザの傘下に加わることとなったのだ。


 公衆衛生管理と総合医療の完全実装は、管理都市の冷酷な切り捨てシステムとの絶対的な格差

を見せつけ、この街を真の「国家」へと一歩近づけたのだった。

 最後まで読んでくれてありがとねぇ!

 単なるお店の修復じゃなくて、病院、警察、役所なんかのインフラを計画的にモールに誘致

して、本物の「国」を造っていく。サトルたちの頭脳とミノさんの建築が合わされば、凄い国

になりそうさね!

 そして、エルザ(遠佐さん)たちの「治癒士ギルド」、本当に頼もしいねぇ。

管理都市の連中は、ポイントが低い奴や怪我人をゴミみたいに捨てるけど、ウチの国は絶対に

誰一人見捨てやしないさね!

 参鶏湯風スープの熱々パワーで、敵だった連中までウチの常連(眷属)になっちまったしね!

 

 システム(閻魔)からの出題【Q26:管理都市の非情な医療】

 システムが支配する『管理都市(ディストピア)』で、戦闘不能になったりポイントが尽きたりした

負傷者は、どんな扱いを受けるんだったかな?


 ① ポイントを前借りして最高級の治療を受けられる

 ② 「不要なリソース」として治療もされずに廃棄・放逐される

 ③ 全員平等に合成薬だけ支給される


「ヒントはねぇ、あいつらの冷たいやり方さ。ウチのエルザが一番許せないやつだよ。

 さあ、どれが正解か分かったかい?

 応援の評価☆☆☆☆☆とブックマーク、よろしく頼むよ!」

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