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RE:WIND

作者:SM
最新エピソード掲載日:2026/09/04
―風が止まっても、俺はピッチを去らない―
「お前は速い。だが、それだけだ」

高校一年生の神谷蓮は、誰よりも速く走ることができる。

左利き。
一瞬でトップスピードまで到達する異次元の加速。
50メートル走なら、同年代に敵はいない。

本人も、自分が特別な存在であることを疑っていなかった。

――俺は、世界一になる。

そのためなら、何だってできる。

高校サッカーで頭角を現し、18歳でプロ入り。
やがて海外へ渡り、世界最高峰の舞台へ。

順風満帆に見えたサッカー人生。

しかし、世界はそんなに甘くなかった。

才能だけでは勝てない。
努力しても報われない。
愛する人を傷つけることもある。
仲間と別れることもある。

そして何より――

彼の最大の武器である「速さ」は、永遠ではなかった。

度重なる怪我。
失われていく身体能力。
若い選手たちに追い抜かれる恐怖。

30歳を過ぎたある日、神谷蓮は言われる。

「もう、昔のようには走れない」

かつて「日本で最も速い少年」と呼ばれた男は、そこで初めて自分の人生と向き合うことになる。

速さを失ったら、自分には何が残るのか。

その答えは、十年以上かけて積み上げてきた「別の才能」の中にあった。

見る力。
考える力。
人を動かす力。
試合を読む力。

そして――

サッカーを愛し続ける力。

これは、16歳の少年が世界を夢見る物語ではない。

夢を追い、何度も挫折し、傷つき、失い、それでもピッチに戻り続けた一人の男の22年間を描く物語。

少年はやがて、世界最高のウイングを目指す。

そして最後には――

世界で最も長く、サッカーを愛した男になる。

風が止まっても、俺は走る。
第1章「疾風」
第三話 一年生
2026/09/04 10:57
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