真山爽〜爽やかと言わないで
二話連続投稿です。
思いつき話でふんわりしてますが
お時間あればぜひお付き合いくださいませ。
真山 爽は、
市立高校に通う16歳。
父子家庭だったのだが高校に合格したタイミングで親が海外転勤になり、さすがに一人暮らしは不安ということで父の知り合いの下宿に身を寄せることになった。
「麗鳴館」。
それが下宿先の名前だ。
同じ高校の生徒がたくさん集まっていて、美味しいご飯が食べられて、爽は毎日楽しんでいる。
階段を降りてリビングに向かうと、縁側のほうからなにやら音が聞こえた。
「の……っせい!」
ぱかん!
小気味良く割れたのは……薪。
「あ、真山くん、おはよー!」
斧を手に額の汗をぬぐいながら挨拶をしてきたのは、下宿先の次女でクラスメイトでもある相田花音だ。
「おはよう!えっと…何してんの?相田。」
「薪割り!」
それは見ればわかる。
聞きたいのはなぜ平日朝から大量の薪を割っているのかだ。
「いやー最近運動不足だから体を動かさなきゃなぁと思ったんだけど、動かしながら家の手伝いになれば一石二鳥だと思ってさ〜!」
そう言って笑う声は鈴が鳴っているように心地良く響く。
思わず薄く目を細めて笑い返す。
「よーしじゃあ俺も一緒に身体動かしてみるかな!」
頭の中でこのあとの準備の予定を変更しながら、腕を回す。
キョトンとしてから見せた花が咲くような笑顔に、どきっと高鳴った胸の音が聞こえてしまわないようあわてて斧を手に薪割りを始めた。
薪割りしてても爽やかってすごいね!と言われて微妙な表情になってしまうのは誤魔化さなかったが。
このあと2人で薪を割るのに夢中になりすぎて遅刻しそうになったことで、クラスメイトにさんざんからかわれてしまうのだった。
「なぁ、真山って相田と付き合ってんの?」
この質問は入学してから数え切れないほどされているのでまたかと思いながら、「いや」と短く答える。
色素の薄い瞳と同じく薄い色合いで短めに切りそろえられた髪。
溌剌とした雰囲気にいつも笑顔の花音は、男女問わず人気がある。
爽自身も学年ではかなり人気がある方なので、2人セットに見られることも少なくない。
爽にしてみれば嬉しいことではあるが、事実ではないのが辛い。
「へぇ〜可愛いよなぁ相田!オレでも望みあるかな?」
可愛いだけじゃないけどね。
そう思いながら、頭の中では麗鳴館の豪華な面々が脳裏をよぎる。
「んー……ライバル多くて手強いよ?」
俺も含めてね。
心の中でそう付け加えて、小さなため息をこぼした。
こんな風に心の中で思う俺のことを冗談でも爽やかなやつ扱いしないでほしいんだよなー…
みんなが心を寄せる麗鳴館の密かな宝物。
手に入れるのは誰か?
読んでくださりありがとうございます!
現代の学園モノに憧れをいだきつつ
練習がてら書いてみてます…