06-01.国造り
「魔王城の進捗は?」
「もう住めるよ♪ 魔王様♪」
「結構よ。魔獣たちの移住を急ぎましょう」
「イエス♪ マイロード♪」
魔獣たちは変わらず急激な成長を続けている。
制御が利かなくなる前に秩序を構築したい。
四神獣たちを通じて魔獣たちを統べる計画を進めよう。
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魔王城は大陸の最北端に位置し、暦の上では秋のこの時期でも、雪景色の美しい山脈に囲まれている。
山脈の麓には打ち捨てられた廃都が存在していた。
ヒマリとヒマリンがこの地をダンジョン化したことにより、早くも人の住める町並みが蘇っている。
ダンジョンは地下階層も存在し、幾層にも別れて様々な環境が用意されている。
ヒマリの言う通り準備は万端だ。これより世界中の魔獣たちを集めていくとしよう。
集めた魔獣たちを魔王国首都のダンジョン内に住まわせ、魔王国の基盤を築き上げるとしよう。
そのための最後の仕上げとして、私たちは四神獣たちのフィリアス化と新たな幹部魔物たちを産み出すことにした。
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「ダンジョンコアに色々お願いするには生贄が必要なのね」
「うん。そこらの魔獣で構わないよ。ただフィリアスを新たに産み出すにはかなりの数が必要だね」
「構わないわ。私たちが成すべきは世界に溢れる魔獣たちの管理よ。魔獣たちの扱いで神経質になる必要はないわ」
将来的に魔獣たちが魔王の忠実な配下になるとしても、現状の魔獣たちが人間の敵でしかないことに違いはない。
これは必要な犠牲だ。殺戮を目的とするわけではないが、過剰な倫理観を持ち出すのは筋違いだ。魔獣を素材として武器や道具にするのは古の時代から行われてきたことだ。ただそれだけのことであると割り切ろう。
私たちは躊躇っている場合じゃない。こうしている間にも魔獣たちは力を増している。先日のワイバーンだけでなく、オーガたちだってそこらの個体とは大きく異なっていた。離島の強者たちが太刀打ち出来ない程の速度で成長していた。
放っておけばいずれ間違いなく人類は滅びるだろう。
この世界の守護神であるイロイが何か隠しているのは間違いないが、私たちが転生したのはこの魔獣災害とも関係があるのだ。それだけはイロイも肯定していたから間違いない。
誰も勝てない最強の魔獣が誕生する前に、世界中から魔獣たちを間引いていく必要がある。
いっそ全ての魔獣たちをダンジョンコアに食わせ、フィリアスたちを魔王の臣民たる魔族としても構わない。
もちろん簡単な話ではない。世界中の魔獣たちを集めるなんて何年掛かるかもわからない。一生終わらないかもしれない。けれど特に強大な魔獣たちを優先して狩っていくことくらいは出来る筈だ。目につく魔獣を片っ端から拾い集めていくことくらいは出来る筈だ。
それで一人でも多くの人間を救えるのなら本望だ。魔王たる私は魔獣の管理者ではあっても守護者ではないのだから。
「……計画を変更しましょう。生け捕りは無しよ。魔獣は全てコアに取り込んでしまいましょう。今あるコアは三つ。この方針なら三組に別れて活動出来るでしょ」
「イエス。マイロード」
生け捕りでは転移を使える私の存在が必要不可欠だ。ダンジョン内の魔獣たちを生きたまま運搬する術は無いからだ。コアの力でダンジョンを撤去した時点で、コアの中にいる魔獣たちは全てコアに取り込まれるのだ。
つまり私たちは戦う必要すらないわけだ。コアを持って魔獣たちに近づき、ダンジョンを展開して魔獣たちごと囲い込む。それからダンジョン化を解除すれば、自動的にコアが内部の魔獣たちをリソースに変換して取り込んでくれる。いちいち戦うよりも遥かに効率的だ。使わない手はない。
「幹部たちを産み出すのは必要十分なリソースを集めてからにしましょう」
「がってん」
魔獣たちを生きたまま集めないなら急ぐ必要もない。
「クラリスはモミジとユキノを同行させなさい」
「はいですわ!」
「ヒマリにはアヤメを貸し出すわ」
「ありがとう♪ クーちゃん♪」
「ノーラとルヴィ、それからモーラには魔王城へ移り住んでもらうわ。どのみち貴女たちはアルミディアで活動するわけにもいかないもの。構わないわね?」
「「「はい!」」」
よろしい。
ノーラたちには玄武もついている。魔王城組の防衛戦力も当面は心配要らないだろう。
とはいえフィリアス化の最優先はテストゥードね。あの巨体では小回りも利かないし、四神獣の中で唯一飛行能力を持っていないもの。
ノーラたちも何かあれば念話で私を呼べるけど、もう少し扱いやすいボディーガードくらいは付けておきたいものね。
一先ず計画はそんなところね。
それでは始めましょう。私たちの国造りを。




